2022.05.09

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サリンジャー・ファンは必見! 映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』が明かす伝説の作家をめぐる物語

9232-2437 Québec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac (C)  2020 All rights reserved. 

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1990年代に伝説の作家と交流した女性の自叙伝を映画化した『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』。サリンジャーのファンにお勧めしたい愛すべき小品だ。

ファンレターにこめられた思い

『ライ麦畑でつかまえて』や『ナイン・ストーリーズ』などの小説で、日本でも多くのファンを持つJ.D.サリンジャー(1919~2010)。40代にして作家業を引退した彼は、その後ニューハンプシャー州の小さな町で静かな生活を送っていたという。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』は、そんな伝説の作家と1990年代に交流した若き女性の物語。当時、ニューヨークの出版エージェンシーでアシスタントを務めていたジョアンナ・ラコフの自叙伝に基づく作品だ。

有名作家の代理人業務を行う老舗の出版エージェンシー。ジョアンナはビジネスライクなボス、マーガレットの下で働き始めるが、彼女に命じられた仕事は、大量に届くサリンジャー宛のファンレターを処理することだった。手紙を受け取らない本人に代わって、定型文の詫び状を出す気の進まない毎日。そんなある日、サリンジャーから会社に電話がかかってきて……。

ファンレターに綴られた読者の体験に心を揺さぶられながら、自らの人生を切り拓いていくヒロイン。シガニー・ウィーバー扮する手強い上司とのやりとりも楽しいが、最後に印象に残るのは、優れた文学作品に対する人々の愛着の深さだ。さりげなく再現された90年代のニューヨークの空気感とあわせて、紙の本や肉筆の手紙の味わいを感じ取りたい小品である。

『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
ニューヨーク出身の作家、ジョアンナ・ラコフが2014年に発表した『サリンジャーと過ごした日々』(柏書房刊)を映画化した。ヒロインを演じるのはマーガレット・クアリーで、私生活での母親は女優のアンディ・マクダウェル。ヒロインが勤務する出版エージェンシーは1929年に設立されたハロルド・オーバー・アソシエイツ。アガサ・クリスティやF・スコット・フィッツジェラルドといった文豪たちの作品の契約、著作権の管理などを行ってきた。監督はフィリップ・ファラルドー。101分。配給:ビターズ・エンド。5月6日(金)新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー



9232-2437 Quebec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac (C) 2020 All rights reserved. 

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2022年5月号)

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