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2022.09.15

CARS

テスラと真っ向勝負　乗ったらわかる電気でも走りはBMW流！　4シリーズ・グランクーペに電気自動車、i4が登場！！

森口将之

BMW　i4　eドライブ40Mスポーツ。

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EVならではの駆けぬける歓びとは？

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デザイン面で4シリーズ・グランクーペとの最大の違いである、横長の巨大なディスプレイを前に、メイン・スイッチを押す。エンジン車と共通のボディを持つBMWのEVとしては、少し前にiX3の試乗記をお届けしたばかりだが、i4はそれとはかなり違う印象だった。

モーターの最高出力が340ps、最大トルクが430Nmと、256ps／400NmのiX3を明確に上回るうえに、車両重量は逆に2200kgから2080kgへと軽くなっている。そしてこうした数字以上に、エンジン車から乗り換えても違和感を抱かなかったiX3とは対照的に、モーターならではの立ち上がりや伸び感が強調されているようなフィーリングだった。

しかもそれを、長年慣れ親しんできた背の低いボディで味わう。最初に書いたようにEVはSUVやクロスオーバーが多いというイメージなので、低いシート位置で体感する加速は鮮烈だった。テスラを仮想敵としているのかもしれない。

横長のディスプレイが目立つインパネはメーター表示も一新。

気になったのは減速時のマナー。回生ブレーキの効かせかたがやや人工的で、フットブレーキは停止の瞬間にカックンとなりがちだった。こちらも5ドア・クーペということで、スポーティな演出としたのかもしれない。

ただし、高速道路では渋滞時にハンズオフも可能とするADAS（運転支援装置）を積極的に使い、それに任せてクルージングすれば、減速時の違和感は抱かなくなる。そういうシーンを前提としているようだった。

リアにハッチゲートを持ちながら、ロード・ノイズの遮断はiX3以上に優秀だった。おかげでドライブ・モードごとに発せられる擬似的なサウンドを、クリアにチェックすることもできた。

「エコプロ」ではほぼ無音なのに対し、「コンフォート」ではエンジンに近い音が流れる。「スポーツ」モードは少し前のF1を電子音で再現したような感じで、絶妙なサウンドチューニングだと思った。EVであっても駆けぬける歓びを目指そうという哲学が伝わってくる。

BMWと言えば前後重量配分50：50にこだわることで有名だが、i4は車検証によればフロント940kg、リア1140kgなので45：55とややリア・ヘヴィになる。

床下に電池を収めながら居住性を確保しているのは立派だ。

なので記憶に刷り込まれたエンジン車のBMWと比べると、やや前が軽く感じる。直線ではもう少しステアリングのしっとり感が欲しい。一方コーナーでは、進入で前荷重を増やすと気持ち良くターンインし、立ち上がりでは明確なトラクションを伝えてくるという、ミドシップ風のフィーリングが味わえる。

乗り心地は走行モードによる違いはあまり感じられず、どれを選んでも良好だった。とりわけコンフォートは低く構えたフォルム、Mスポーツの脚まわりを考えれば望外の快適さで、車体の重さと重心の低さが良い方向に働いていると思えた。

価格は750万円からで、取材したMスポーツは791万円。2リッター直列4気筒ターボを積む420iグランクーペとの差は約100万円に過ぎない。しかもiX3とは違って、ガソリン車とは違う種類の「駆けぬける歓び」を明確にアピールしている。EV経験の長いブランドならではの技を感じる1台だった。

文＝森口将之　写真＝望月浩彦

Mブランド50周年記念エンブレムは今年のみ装着。リアのエグゾーストがあった位置はディフューザーとなる。

■BMW　i4　eドライブ40Mスポーツ
駆動方式　リア・モーター後輪駆動
全長×全幅×全高　4785×1850×1455mm
ホイールベース　2855mm
トレッド（前／後）　1590／1605mm
車両重量（車検証記載前後軸重）　2080kg（940/1140kg）
モーター形式　交流同期モーター
モーター最高出力　340ps/8000rpm
モーター最大トルク　430Nm/0-5000rpm
変速機　1段固定
定格電圧／電池総電力量　399V／83.9kWh
一充電走行距離（WLTC）　604km
サスペンション形式　前／後　ストラット式／マルチリンク式
ブレーキ　前後　通気式ディスク
タイヤ　前／後　245/45R18／255/45R18
車両価格（税込）　791万円

（ENGINE2022年9・10月号）

■モータージャーナリスト森口将之さんのBMW iX3の試乗記はこちら！
EVでもBMWの魅力に陰りナシ！　BMW・X3ベースの電気自動車「iX3」に乗った

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