1970年の初代登場から50年余。第5世代になった新型レンジローバーがこの夏、日本上陸を果たした。見た目も中味も一新した新型の走りを、軽井沢で試した。エンジン編集部のムラカミがリポートする。凄味を感じるデザインまず何よりも、その外観デザインの“新しさ”に圧倒された。すでに東京で開かれた発表会で見てはいたけれど、軽井沢の大自然の中に置いてみると、このクルマの徹底して人工的なデザインの美しさが、より際立って見えるようだ。ランドローバーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるジェリー・マクガヴァン氏が、突起物をなくしたユニークなデザインを最初に打ち出してきたのは、2017年にヴェラールがデビューした時だったと記憶するが、そのコンセプトがこの新型レンジローバーで完成を見た、と言っていいだろう。とにかく、ボディの表面がこれでもかと言うくらいにすべすべである。2000年代の初めには、“コンベックス&コンケイブ”なんて謳い文句とともに凹凸を醜くなるスレスレまで強調したデザイナーが大活躍した時代もあったが、振り子が再び振れて、ちょうどその真反対側にいるのが、この新型レンジローバーだと言えるのではないか。そして言うまでもなく、“いま・ここ”のデザインの最先端を体現しているのはこちらの方だ。
たとえば、何に似ているかと考えてみると、一番近いのはアイフォンを始めとするアップル社の製品なのではないかと思う。そういえば、2017年にロンドンで開かれたヴェラールの発表会の時、マクガヴァン氏自身がアイフォンのデザイン・コンセプトへの親近感について語っていたような気がする。しかし、そうは言っても、余計なスイッチ類を一切排して、表面を完全にスリークにするやり方を、家電製品やコンピューターならともかく、内燃機関を搭載してタイヤもついた、巨大なクルマという製品で具現化してしまったところに、このデザイナーのほとんどエキセントリックと言ってもいいような凄味を感じるのである。
                                            
                    
                        
                    
                                                                
                    
                 
             
            
            
            
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