2022.10.22

CARS

恐ろしいほどの美しさ! 新型レンジローバー、日本上陸、初試乗!

レンジローバー・オートバイオグラフィーD300

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V8+ロング・ホイールベース

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さて、そんな新しい革袋に入れられた酒はどんな味がするのか。今回は短い時間ながら、530ps/750Nmのパワー&トルクを発揮する4.4リッターV8ターボ・エンジンを搭載したロング・ホイールベースのオートバイオグラフィーP530と、300ps/650Nmの3リッター直6ターボ・ディーゼルを搭載するノーマル・ホイールベースのオートバイオグラフィーD300に乗ることができた。

まずはP530からスタート。コクピットまで最低限のスイッチ類のほかは排した徹底ぶりにも感心したけれど、そうは言っても、ハンドルやペダル類がちゃんとあるべきところについていることに安心もした。なにしろ、このコンセプトを推し進めて行ったら、すでにドア・ノブがそうなっているように、ハンドルやペダルも、必要な時以外は仕舞い込まれていたっておかしくないのだ。



それはともかく、走り出してそう長くは行かないうちに、さらに大きな安心感が私を包み込んでくれたのである。ねじれ剛性を旧型比で50%も向上した新しいアーキテクチャーを与えられ、前後のサスペンションをストラット/ウィッシュボーンからダブルウィッシュボーン/マルチリンクへと進化させた新型の乗り味は、明らかに旧型より一段と洗練されたものになっていた。路面の荒れなど外乱に対するボディの揺れや捩れは、まったく気にならないレベルまで抑えられているし、余計な騒音もしっかり遮断されている。操舵に対するレスポンスも、旧型では少し感じた曖昧な領域がなくなり、正確さが格段に増したと思った。

しかし、私が安心感を受けた最大の理由はそこではなく、進化を遂げながらも根本的にはまったく変わらない、当たりが柔らかで、けれど骨太なレンジローバーならではの乗り味が色濃く残っているのが感じ取れたからだった。浅間山に向かうワインディング・ロードを、慌てず、でも決して遅くはない速度で走りながら、程よい大きさで響いてくるV8サウンドを聞いていたら、そのあまりの気持ち良さに、「これよ、これこれ!」と膝をドンと打ちたくなった。

その後に乗ったD300の、これはスポーツカーかと錯覚するキビキビとした走りっぷりにも感心させられたが、味の濃さではV8+ロング・ホイールベースには及ばない。あたかも新しい革袋に入れられた極上の古酒を飲む思いであった。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ジャガー・ランドローバー・ジャパン



■レンジローバー・オートバイオグラフィーP530LWB
駆動方式 フロント縦置きエンシン4輪駆動
全長×全幅×全高 5265×2005
ホイールベース 3195mm
車両重量 2640kg
エンジン形式 直噴V型8気筒DOHC ツイン・ターボ
排気量 4394cc
ボア×ストローク 89×88.3mm
最高出力 530ps/5500-6000rpm
最大トルク 750Nm/1850-4600rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア・スプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 285/40R23
車両本体価格(税込) 2261万円

(ENGINE2022年11月号)

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