2022.11.09

CARS

新型クラウンに似ているというのはシトロエンに失礼! 超個性的なデザインのC5 X、その乗り味やいかに!!

シトロエンC5 Xシャイン・パック

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本命は可変ダンパー付きか

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たとえばフロント・サスペンションはマクファーソンストラット、リアはトーションビームと一般的なシンプルな形式だ。それが直接問題というわけではないが、プジョーのフラッグシップたる508はリアがマルチリンクとなり、さらに電子制御ダンパーが標準装備されるから(C5 XもPHEVには備わる)、そちらと比べると見劣りすると言わざるを得ない。

その代わりにC5エアクロスなどと同じく、シトロエンが「ハイドロニューマチックの現代的解釈」と主張するPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)という新しいダンパー・システムが採用されている。

とはいえ、油圧とガスによる車高調整機能付きエア・サスペンションだったハイドロニューマチック(進化しながらC6まで採用された)とはまったく別物で、PHCは一般的なバンプストッパーの代わりにセカンダリー・ダンパーをチューブに内蔵した簡潔なメカニカル・システムである。おかげで小入力時の減衰力を低く設定できるために、常用域ではソフトな乗り心地を提供、大入力時でもバンプラバーからの反発を生じさせない利点があるという。

シトロエンのエンブレムであるダブルシェブロンをモチーフにしたパターンがトリム・パネルやステッチからシートの柄に至るまであらゆる所に忍ばせてある凝った内装。

高密度ウレタンシートなどとともにアドバンスト・コンフォートを標榜するシトロエンの特徴だ。ただし、都内中心の試乗ということもあってか、そこまで快適な乗り心地には感じられなかった。

19インチ・タイヤが路面に追従し切れないようなゴトゴト感もあり、しなやかさもいまひとつ。新型308よりは洗練されていないと感じたほどだが、期待値が高すぎたのかもしれないし、オープンロードではまったく違う顔を見せるかもしれないので、今のところは保留とさせていただきたい。

同様にストップ&ゴーが続く街中や、せいぜい60km/hぐらいまでで微妙な加減速が必要な一般道などで気になったのが例の前後の揺動である。この傾向は最近のアイシン製EAT8を搭載するプジョー/シトロエン各車に大なり小なり共通するものだが、C5 Xでもやはり無視できないものがある。

シフト制御なのかロックアップ制御か、あるいはエンジン・マウントの影響なのかは定かではないが、ゆっくり一定速で走っているつもりなのに不意にシフトアップしたりしなかったり、また変速直後にガクガク揺れるという具合である。もっとしっとり滑らかに走るのが大型シトロエンの美点だったはずだから、ちょっと戸惑っているのが正直なところだ。

文=高平高輝 写真=望月浩彦



■シトロエンC5 Xシャイン・パック
全長×全幅×全高 4805×1865×1490mm
ホイールベース 2785mm
トレッド(前/後) 1600/1605mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1520kg(920/600kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V直噴ターボ
総排気量 1598cc
ボア×ストローク 77.0×85.8mm
エンジン最高出力 180ps/5500rpm
エンジン最大トルク 250Nm/1650rpm
変速機 8段AT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 205/55R19 97V
車両価格(税込) 530万円

(ENGINE2022年11月号)

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