2022.12.18

CARS

マイナーチェンジで進化したレクサスの末っ子SUV、UXに試乗した FもいいけどおすすめはL!

レクサスUX250h

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スポット溶接の打点を増やして、ボディ剛性を高めるなど、見た目の刷新や装備の充実以上の改良が行われた新型レクサスUX。その効果は走りにどのような進化をもたらしただろうか。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

ポイントは走りの進化

現在のレクサスの末弟ともいえるコンパクトSUVが2018年末に発売されたUXである。レクサスはハッチバックとSUVのいいとこどりを狙った意欲的なクロスオーバーであると主張していたが、まあ世間的にはお洒落なSUVクーペである。ようやくレクサスに待望のコンパクトSUVが加わったとして鳴り物入りでデビューするも、その後はあまり目立たなかった。レクサスの主戦場が米国と中国であることはご存知の通り、2021年の世界販売台数76万台に対して国内販売は5.1万台に留まる(北米と中国だけで全体の7割以上を占める)。その中でUXは昨年国内で8000台強を売ってレクサス・ブランド一番の売れ筋ではあるが、いまひとつ物足りないのは否めない。



今回のマイナーチェンジでは“走りの進化”のための改良が強調されている。すなわちドアやハッチゲート周辺部へのスポット溶接打点を20点追加してボディ剛性を向上させ、その上でパワーステアリングやダンパーの設定を見直したという。さらにスポーティ・グレードのFスポーツでは、可変制御ダンパーの「AVS」とボディ後部のパフォーマンスダンパー(ヤマハ特許の振動吸収ロッド)を標準装備(従来もオプションで選択できた)したうえにステアリング・ギアにブレースを追加、またブリヂストン製ランフラット・タイヤもロードノイズ低減のために新規開発したという。ただし今回の試乗車はハイブリッドのバージョンLである。

もっとも、UXは初めからドア開口部や前後サスペンション周辺にレーザー・スクリュー・ウェルディング(LSW)を採用、構造用接着剤の使用も延べ33mに上るというほど、コンパクトでも贅沢な造りが自慢だったはず。そこにスポット溶接打点をさらに20ポイント追加した、と聞いても、正直ピンとこない。250h用のハイブリッド・パワートレインは従来と同じ。自然吸気ガソリン2リッター 4気筒にモーターを加えている。今回のマイナーチェンジでもスペックはそのままで、エンジンは146ps/188Nmを発生、モーターは109ps/202Nmを生み出す。システム最高出力は184psという。

12.3インチに大型化されたタッチ・スクリーンが新しい。しかも以前よりもずっと鮮明だ。ただしインテリアの造形には迷いも感じられる。

ほとんどの場面で静かにスムーズ

普通に走る分には目一杯踏み込まなくても流れをリードできるせいか、エンジン音が耳につくこともなく、ほとんどの場面で静かにスムーズに走ることができる。ただし、ペースを上げようという場合は高回転域の耳障りな音が気になり、しかも山道では184psもあるのにちょっと非力に感じる。一方、下り坂ではステアリング・フィールが正確で頼もしく飛ばしてもまったく不安はない。パワーに違いはないからスポーティ志向のFスポーツよりもこのバージョンLのほうが個人的にはお薦めだ。

今回12.3インチの大型タッチ・スクリーンが全車に装備されたことに伴い、インフォテインメントシステムや「レクサスセーフティシステム+」も最新型にアップデートされただけでなく、操作系も色々と変更されている。使いにくいタッチパッド式リモートタッチが廃されたのは歓迎できるが、あれだけこだわって開発したアームレスト前端に設けられたオーディオ・ダイヤルスイッチも姿を消した。こういう所に迷いが見えるのである。

文=高平高輝 写真=望月浩彦



(ENGINE2022年12月号)

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