2023.01.06

CARS

速さを全面に押し出す愚かなブランドとは一線を画するデキ! 7人乗れる電動SクラスのSUV版、EQS SUVに試乗!!

メルセデス・ベンツEQS SUV

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サルーンのEQSに続いて登場した巨大なSUVバージョン、EQS SUV。アメリカ・デンバーで行われた国際試乗会より、モータージャーナリストの渡辺敏史がリポートする。

メルセデス・ベンツの電動化の波が止まらない!

2022年に入り、競うようにBEVのラインナップを拡大するドイツ御三家。とりわけメルセデスは欧州で6モデルを展開、ここ日本でもすでに5モデルが上陸を果たしている。

EQS SUV 4マチック(ボディカラー:ソーダライトブルー)

そして7番目のモデルとなるのがこのEQS SUVだ。すでに現時点で登場が予告されているEQE SUVと合わせると、BEV専用プラットフォーム「EVA2」をコアとするのはセダンを含めて4モデルとなる。この展開もまた、他メーカーに先駆けるかの勢いだ。

EQS SUVのバリエーションはリアモーターによる後輪駆動の450+、ツインモーターによる四輪駆動の450 4マチック、そのハイパワー版である580 4マチックと3つが用意される。日本に入ってくるグレードは未定だが、可能性の高い580を中心に全グレードを試乗することができた。

EQS SUV 4マチック(ボディカラー:ソーダライトブルー)

EQS SUVの搭載するリチウムイオン・バッテリーはNMC811。使用するニッケル・マンガン・コバルトの比率をポピュラーな622から、採掘問題に関わる社会性に配慮しコバルトの比率を下げた新しいタイプを採用している。容量は107. 8kWhとなり、航続距離はWLTC値でグレードに応じて609~671kmとなる。

EQS SUVのホイールベースは先に登場したEQSと同じ3210mmだが、アップライト・パッケージとスクエア寄りのキャビンによって、後席の居住性はEQSにはっきりと勝っている。一方でCd値はEQSの0.20に及ばない0.26だが、これはEQSの側がクレイジーであって、EQS SUVはその成り立ちや目的からすれば、破格に優れた効率を実現しようとしていることが察せられる。

EQS SUV 4マチック(ボディカラー:ソーダライトブルー)

内装の意匠やアーキテクチャーはEQSに準じていて、最大の特徴である3画面を面一化したハイパー・スクリーンもEQSと同じ仕立てだ。3列シート・7人乗りもEQS SUVのウリの1つだが、最後列のスペースはあくまでオケージョナルで、普段は荷室で使うが吉と考えておくべきだろう。

流儀がきちんと感じられる

走りの印象はBEVであるというバリューをあからさまにしない、至って良識的なものだと感じた。発進時のスロットル・コントロールや加速の立ち上がり、回生と機械とが深いところで連携するブレーキのコントロール性、絶対的低重心を基にしながら、勘違いさせない程度に質量を伝えてくるハンドリング……。踏めば息詰まるほど速くても、それを全面に押し出す愚かなブランドとは一線を画する、そこにはメルセデスの流儀がきちんと感じられる。

一方、オフロード・モードで走らせるEQS SUVは水を得た魚のように自在な振る舞いをみせてくれた。エアサスによって車高は25mm上がるものの、無茶はできないクルマであることは間違いない。でも圧倒的に緻密な駆動コントロールに最大10度の舵角を実現する後輪操舵も手伝って、相当なセクションも鼻息混じりでこなしてくれる。この卓越した性能を味わえるという点においても、BEV+SUVの親和性は無視できないものだと思い至る次第だ。

文=渡辺敏史 写真=メルセデス・ベンツ

EQS SUV 580 4マチック(ボディカラー:オブシディアンブラック)

(ENGINE2022年12月号)

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