2023.03.20

CARS

全長5m弱で最小回転半径はなんとコンパクトカーなみの4.9m! メルセデス・ベンツEクラス・サイズの電動サルーン、EQEに試乗! ベンツは本気を出すと凄い!!

メルセデス・ベンツEQE350+

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メルセデス・ベンツ電気自動車群の頂点に立つ高級サルーンのEQSに続き、ひと回りコンパクトなボディ・サイズを持つEQEに乗ることが叶った。EQSが持つ完成度の高さを考えると、EQEの出来にも期待せざるを得ない。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

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航続距離は余裕の624km

EQCから始まってEQA、EQBと続いたメルセデスの電気自動車(BEV)シリーズがいわば「リフォーム物件」だとしたら、2022年から立て続けに発表されたEQSとEQE、そしてそれらのSUV版(日本未導入)は基礎から専用設計したこだわりの注文住宅といったところだろう。EV専用プラットフォームに90.6kWhの大容量リチウムイオン電池を搭載し、誰もが振り返るエアロダイナミック・ボディをまとったミドル・クラスのBEVサルーンがEQEである。



EQEはEクラス相当ということだが、実際ボディ外寸は現行Eクラスとほぼ同じだ。全長×全幅×全高=4970×1905×1495mmの外寸はEクラスと比べると全高のみ若干高い。ただし、ホイールベースは3120mmとEクラスより180mmも長い(Sクラスのスタンダード・ホイールベース3105mmよりも長く、フラッグシップのEQSは3210mm)。これだけのロング・ホイールベースともなると当然取り回し性が気になるところだが、最大10度までステアするリア・アクスル・ステアリングのおかげで最小回転半径は何と4.9mと発表されている。これはもうFWDのコンパクト・カーと遜色ない数値である。とはいえ、低速で交差点を曲がる際などに、予想以上に内側に寄ることに、そしてEQS同様ワンボウ(一筆書きの弓)のツルリとしたボディの見切りが良くないことに最初は面食らうかもしれない。代わりにCd値は0.22と飛びぬけている。格納式のドア・ハンドルをはじめ、徹底的な細部処理の賜物だろう。



EQEには今のところ日本仕様として後輪駆動の350+と、4WDのAMG53・4マチック+の2モデルが用意されている。今回取り上げたEQE350+は、永久磁石式交流同期モーターと補機類を一体化したeATSと称する駆動ユニットをリア・アクスルに1基搭載し、292ps(215kW)と565Nmの最高出力とトルクを生み出す。いっぽうAMGとEQのダブルネームとなるEQE53・4マチック+はeATSを前後に搭載、システム最高出力とトルクは625ps(460kW)/950Nmとはるかに強力で、さらに「レース・スタート」というモードを選ぶと687psと1000Nmに引き上げられるというから凄まじい。もちろん350+でも欧州仕様のデータは0-100km/h加速が6.4秒、最高速は210km/hというから不足はないはずだ。



EQE 350+のWLTCモードでの航続距離は624km(AMG53は549km)と発表されている。EQEは6kWまでの普通充電と150kWまでの急速充電(チャデモ規格)に対応しており、両方の充電ポートが右リア・フェンダーのフラップ内に収められている。ちなみに駆動用バッテリーは10年または25万km(残容量70%)保証、さらにいわゆるV2HやV2Lといった双方向充電が可能(別途機器が必要)なこともEQEの日本仕様の特長である。

EQE350+は可変ダンパーとエア・スプリングを採用したエア・サスペンションを備えるが、80km/hぐらいまでの低中速では若干ゴロゴロした硬さを感じるのが惜しいところ。それ以上になるとピシッと落ち着き、当たりも滑らかになるようだ。言うまでもなく高価だが、その代わりに日常使用ではほとんど我慢する必要がない。メルセデスが本気を出せば、BEVも、少なくとも車側は言い訳いらずとなる。

文=高平高輝 写真=望月浩彦

価格は1248万円。

(ENGINE2023年4月号)

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