驚くべき新兵器のサスペンション・システムを持つフェラーリ・プロサングエ
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フェラーリ初の4ドア4シーター・モデル、その名もプロサングエ(イタリア語で“純血”の意)。イタリア北部ドロミティ地方のピンツォーロを起点にドロミティ・ディ・ブレンダなどスキーリゾート地を周遊するコースで行なわれた国際試乗会に参加したエンジン編集長のムラカミが、最も驚き、そして感動したのが乗り味だった。その走りを生み出す新兵器、FASTとは一体どういうものなのか。現地の限られた時間のなかで聞いた、情報をここでお伝えする。◆プロローグから読む場合はコチラ!新兵器の秘密を解明する!さて、ここはやはり、プロサングエにこの走りをもたらしたキモであるフェラーリ・アクティブ・サスペンション・テクノロジー(FAST)の秘密を解明しなければなるまい。みんなよりずっと遅れてホテルに戻った後、待っていてくれた先のマーケ担当者氏を捕まえて、改めてFASTの説明を聞いた。それによれば、カナダのマルティマティック社と共同開発し、4つのパテントを取ったというこのシステムは、路面から入ってくる情報を元に瞬時に48Vの高出力電気モーター2つを稼働させ、ダンパーのピストンロッドに直接結合されたネジを回転させて、その高さを変えるものなのだという。発表会の時に私は減衰力を変えるものだと理解して、そう書いたのだが、どうやら間違っていたらしい。あくまで大雑把な数字だが、と前置きしてマーケ担当者氏が続けるところによれば、このシステムではネジの回転により最大8cmほど高さを変えることができる。ただし、通常は下から2cmあたりにセットされていて、状況に応じて4本の脚をそれぞれ必要に応じて上げたり下げたりすることによって、ロールを消したり、ノーズダイブやスクワットを減らしたりしているというのである。減衰力を変えないから、基本的な乗り心地は変らない。しかし、反応速度や高さの変化量を変えることによって、それぞれのモードに合わせた味を作っているのだとか。そのセッティングが一番大変で、フェラーリのテスト・ドライバーが長い時間をかけてテストして、最適な数値を決めていったのだという。実は、プロサングエには他のフェラーリが段差を超える時にノーズを上げるために使うのと同じボタンがセンターコンソールに付いているのだが、これを押すとFASTのシステムを使って、フロントのみならず4輪すべての車高が上がるようになっているのだそうだ。それにしても、こんなに素晴しい技術をほかのスポーツカーに使わない手はないだろう、と質問したら、「残念ながら、このシステムはとても高価なのだ」という答えが返って来た。エアサスの倍くらいか? と尋ねたら、「いやいや、それよりもっと高い。だから、本当に必要なクルマにしか使えない。たとえば、ローマの顧客が、果たして、それだけの値段を出してもこれが必要だと考えると思うかい。もっと高価なスポーツカーには、今後使うことになるかも知れないね」だって。なるほど、FASTというのは、とんでもなく画期的で素晴しいけれど、とんでもなく高価なシステムだということらしい。この話の裏付けを取りたくて、マルティマティック社のサイトや様々な技術リポートを探してみたが、私の調査力では正確な情報を掴むことができなかった。今後、その全容が明らかにされることを楽しみに待ちたい。いや、それ以上にもう一度、プロサングエにじっくりと乗ってみたい。できれば、今度はノーマル・タイヤを履いて。
◆フェラーリ・プロサングエの試乗篇はコチラ!▶「フェラーリのおすすめ記事」をもっと見る文=村上政(ENGINE編集部) 写真=フェラーリS.p.Aフェラーリ・プロサングエ駆動方式 フロント縦置きエンジン4WD全長×全幅×全高 4973×2028×1589mmホイールベース 3018mm車両乾燥重量 2033kg重量配分(前:後) 49:51エンジン形式 65度V12DOHC48バルブ、ドライサンプ排気量 6496ccボア×ストローク 94×78mm最高出力 725ps/7750rpm最大トルク 716Nm/6250rpm最高許容回転数 8250rpmトランスミッション ツインクラッチ式8段自動MTサスペンション(前)ダブルウィシュボーン/コイルサスペンション(後)マルチリンク/コイルブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ(前/後) 255/35R22 /315/30R23燃料タンク容量 100リッタートランク容量 473リッター最高速度 310km/h0-100km/h加速 3.3秒車両本体価格(税込み) 4760万円(ENGINEWEBオリジナル)
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