2023.05.21

CARS

ランボルギーニはこれからどうなるのか? ウラカンSTOとエヴォRWDスパイダーに乗って、スーパーカー・メーカーの未来を占う!!【前篇】

ランボルギーニ・ウラカンSTOとEVO RWDスパイダー

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新しいフラッグシップ・モデル、レヴエルトの発表会から帰国したジャーナリストの山崎元裕と、エンジン編集部のムラカミ、ウエダの3人がSTOとスパイダー、2台のウラカンに乗って、ランボルギーニの最前線を語り合う座談企画。今回はその前篇をお送りする。

ついに登場したレヴエルト

上田 スーパースポーツ最前線といえば、いま一番注目すべきはやっぱりランボルギーニでしょう。

村上 ついに次世代フラッグシップ・モデルのレヴエルトが出たのが一番のポイント。シアンFKP37っていうV12+モーターの限定車はあったけど、それ以外に電動化モデルは出していなくて、ランボルギーニは電動化については最後発だった。

上田 それがついに出た!

山崎 レヴエルト、すでにオーダーしても2年待ち。アメリカでの発表の時に、代表のステファン・ヴィンケルマン氏がそう言っていたらしい。



上田 イタリアでのお披露目では、彼が今後のランボルギーニの展開も話したらしいですね。それによると、まずウルスとウラカンのハイブリッド版が出て、24年中には全モデルをハイブリッド化。28年と29年にはBEVを出しますが、先に出るのは2+2のGT。それにウルスのBEVが続く、ということだそうで。

山崎 ウラカン、ウルス、レヴエルトに続く第4のモデルのGTは、2ドアになるか4ドアになるかは分からないけどね。過去にエストーケっていう4ドア・コンセプトはあったけど、内燃エンジンが前提だった。

上田 ポルシェ・タイカン・ベースのハイパーBEVになるんですかね。

村上 日本人の考えるランボルギーニってカウンタックのイメージが強いからスーパーカー・メーカーなんだけど、350GTからはじまったという成り立ちからすれば元はGTカー・メーカーなんだから、第4のモデルが出るのは整合性がある。

上田 ウラッコみたいなモデルだってあったから2+2でもいいですよね。それにしても、ランボルギーニは勢いがあるなぁ。

山崎 稼ぎ頭のウルスがある以上、経営的には安定している。ランボルギーニの中で、スポーツカーの占める比率はそんなに高くないから。



上田 ランボルギーニ全体の6割くらいがウルスなんですかね。

山崎 いや、もっとじゃないかな。アヴェンタドールからレヴエルトの切り替えの時期でもあったし。本社に行くと分かるんだけど、その名も“ウルス”っていう別棟の最新の巨大な工場があるくらいだから。

村上 かたやV12を造っているのは、昔からの小さな工場だからね。

上田 ポルシェがカイエンやマカンで潤っているのと同じか。その分、レヴエルトや、これから出るウラカン後継に注力できるともいえます。

2台のウラカンに乗る

村上 あらためてSTOとスパイダーの2台のウラカンに乗ったけど、本当に熟成されていて、内燃機関のスーパースポーツカーとしてはこれはもう頂点じゃないか、と思うよ。STOなんて、ほとんどレーシングカーみたいな成り立ちなのに、公道で乗っても何か我慢しなくちゃいけないことが全然ない。実はその後ウルスのペルフォルマンテにも乗ったけど、あっちの方が硬く引き締まっていてキツイ感じ(笑)。

スパイダーと比べれば一目瞭然だがSTOは“コファンゴ”と呼ばれる専用設計のボンネットとフェンダー一体のカウルを採用。このほか全体の75%以上のパネルにカーボンファイバーを用いる。

山崎 このコンセプトでこの乗り心地は確かにすごい。

上田 速度が出ると、ずっと下に張り付いているような感じがするんですよ。スパイダーと比べると特に。

山崎 ダウンフォースで走っている感じだよね。元がGT3マシンだから。今のGTカーってメカニカル・グリップじゃなくてダウンフォースで走っているようなクルマじゃないですか。それと同じような感覚。

村上 STOは最初に富士スピードウェイで試乗したから、走りのすごさは分かっていたけど、さぞ公道では辛いんだろうな、と思ったら、全然普通に走れるからビックリした。今まで、こういう特別な仕様は、ある種の苦行や我慢を強いられるのが当たり前で、それでもいい、という人がたくさんいたのに……。

前後のディフューザーのデザインなどはRWDモデル専用となる。

上田 ちょっとマゾヒズム的なものを求める感じですよね。

村上 スパイダーに至っては、もう飛ばさなくても気持ちがいい。余裕を持って走っていても全然違う世界に連れて行ってくれるような感じ。

上田 屋根を開けて、V10を上まで回した時の、次第に音色が変化していくあの感じ。予想外に風仕舞いもいいし、目から鱗でしたよ。

◆「ランボルギーニらしさとはいったい何か」。この続きは、後篇で!

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話す人=山崎元裕+村上 政(ENGINE編集長)+上田純一郎(ENGINE編集部、まとめも) 写真=郡 大二郎

■ランボルギーニ・ウラカンSTO
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4547×1945×1220mm
ホイールベース 2620mm
車両乾燥重量 1339kg
エンジン形式 水冷V型10気筒DOHC
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
排気量 5204cc
最高出力 640kW/8000rpm
最大トルク 565Nm
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
(後) ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前後) カーボンセラミック通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/30R20/305/30R20
車両本体価格(税込) 4125万円

■ウラカン・エヴォRWDスパイダー
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4520×1933×1180mm
ホイールベース 2620mm
車両乾燥重量 1542kg
エンジン形式 水冷V型10気筒DOHC
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
排気量 5204cc
最高出力 449kW/8000rpm
最大トルク 560Nm/6500rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前後) カーボンセラミック通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/30R20/305/30R20
車両本体価格(税込) 2919万3598円

(ENGINE2023年6月号)

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