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2023.05.27

CARS

【後篇】この先、マクラーレンもSUVをつくることになるのか？　アルトゥーラとGTに乗って激論！　マクラーレンはどこに向かうのか？

ENGINE編集部

マクラーレン・アルトゥーラとGTに乗って激論！

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モータージャーナリストの大谷達也と山崎元裕、エンジン編集部の村上と荒井の4人が、新しく開発したシャシーに電動パワートレインを搭載したマクラーレンの最新モデル、アルトゥーラと、グランドツアラー的キャラのGTに乗り、これからマクラーレンはどこへ向かうのか、激論した座談会。いまのマクラーレンに物足りなさはあるのか？　問題発言の前篇に続いて今回は、その後篇をお送りする。◆前篇から先に読む場合はコチラ！

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機械を着こなす

村上　物足りないどころか、やっぱりマクラーレンはいいなあと思った。

荒井　うん、僕も同じ。マクラーレンに乗っていつも思うのは、クルマというよりも、まるでアニメのガンダムみたいに「機械を着こなす」って感じがすること。つまり、マクラーレンは“運転”じゃなくて“操縦”なんです。その意味で、僕にとってはGTもアルトゥーラもまったく同じ。むしろ、ハイブリッド化されたアルトゥーラでも、そこは絶対に外せなかったんだと思います。



村上　いやあ、僕は、GTはいままでのマクラーレンとちょっと違っていると思います。マクラーレン・オートモーティブになって初めて出した12Cとか、その次の650Sとか、グローブボックスもないくらい無駄のない作りだったでしょ。いくらピュアスポーツとはいえ、そこまでストイックなクルマを作ったことに僕は当時、感動したけれど、正直、もうちょっと実用性を考慮してもいいと思っていた。そこに出てきたのが、荷物もたくさん積めるGT。で、これはこれでいいんだけれど、乗ってみると、やっぱりどこか物足りない。マクラーレンらしさが失われているんですよ。

山崎　僕もGTでマクラーレンは変わったと思いましたが、その名のとおりGTはグランドツアラーなので、ゆとりが感じられてもいいと思う。

大谷　いっぽうのアルトゥーラは、いかにもマクラーレンらしい味付けで仕上がっていて、山崎さんはそこが物足りなかったのですね？

クオリティが上がった

山崎　マン・マシンの一体感をものすごく感じるクルマという意味では、これまでのマクラーレンとまったく変わりませんが、新しいと感じさせるところはいくつもありました。

大谷　どんなところですか？

山崎　たとえばクオリティ感はすごく上がりましたよね。あと、スイッチの操作性がものすごくよくなっていて、人間工学的な部分でも大きく進化したように思います。きっと、ミハエル・ライタースさんが社長になって、マクラーレンのクオリティは今後、さらに上がるでしょうね。あの人は品質管理の専門家ですから。

電気のみで距離は31km、速度は130km／hまで走行可能。

大谷　私も来日されたライタースさんにインタビューしましたが、就任してすぐに、アルトゥーラの品質を改善するために生産を一時、停止したと聞いて、ビックリしました。ただし、品質は向上させても、マクラーレンの持つ本質的な価値を変えるつもりはないと、私は捉えています。

山崎　うん、それはそうでしょうね。これまでマクラーレンの技術者に話を聞くと、「ライバルはロータス」という答えが返ってくることが多かった。これは「そこまでひたすら軽量化に励んできた」という意味なんでしょうが、やっぱりロータスとマクラーレンとではブランドの立ち位置が大きく異なる。その意味でいえば、多少の重量増を受け入れても、クオリティをさらに向上させる方向をライタースさんは目指すんじゃないかと私は予想しています。

SUVを作る？

村上　そんなこといいながら、いきなりSUVを作っちゃったりするんじゃないんですか？

大谷　外国誌の報道を見ていると、ライタースさんは将来的なSUVの製品化について否定していませんね。まあ、今後も電動化などでさらに開発費が膨れあがっていくことを考えると、スーパースポーツカー・メーカーといえどもSUVを作らざるを得なくなるというのが私の見解です。その意味でいえば、マクラーレンが将来的にSUVを作ったとしても、私は驚きません。



山崎　ライタースさんはポルシェでカイエン、フェラーリでプロサングエを作った人だからね。経験は豊富。

大谷　でも、カイエンはしっかりポルシェだし、プロサングエもしっかりフェラーリしている。だから、マクラーレンで作るSUVも、しっかりマクラーレンしているはず。なんなら、カーボンモノコックのSUVを作ってくれるんじゃないかと期待しているくらいです。

村上　ただね、フェラーリはピュアスポーツだけではなく、歴史的にGTモデルや2＋2モデルをたくさん作ってきた。さらにFFやGTC4ルッソで4WDの経験も積んでいる。つまり、時間をかけてフェラーリの世界観を広げてきたわけです。それに比べると、マクラーレンの世界観はかなり先鋭的で、幅が狭い。そこに収まるSUVをどう作るかは、難しいところですね。

大谷　たしかに、そこは難題といって間違いありませんね。

語る人＝大谷達也（まとめも）＋山崎元裕＋村上 政（ENGINE編集長）＋荒井寿彦（ENGINE編集部）　写真＝郡 大二郎



■マクラーレンGT
駆動方式　ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高　4683×2045×1213mm
ホイールベース　2675mm
車両重量　1530kg
エンジン形式　V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量　3994cc
最高出力　620ps／7500rpm
最大トルク　630Nm／5500～6500rpm
変速機　7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション　マクファーソンストラット／コイル
サスペンション　マクファーソンストラット／コイル
ブレーキ　通気冷却式ディスク
タイヤ　225／35ZR20　295／30ZR21
車両本体価格　2695万円

■マクラーレン・アルトゥーラ
駆動方式　ミドシップ縦置きエンジン＋モーター後輪駆動
全長×全幅×全高　4539×1913×1193mm
ホイールベース　2640mm
車両重量　1510kg
エンジン形式　V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量　2993cc
最高出力　585ps／7500rpm＋95ps（モーター）
最大トルク　585Nm／2250～7000rpm＋225Nm（モーター）
変速機　8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション　ダブルウィッシュボーン／コイル
サスペンション　マルチリンク／コイル
ブレーキ　通気冷却式ディスク
タイヤ　225／35ZR19　295／35ZR20
車両本体価格　3070万円

（ENGINE2023年6月号）

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