2023.06.24

CARS

中途半端な覚悟を持つ者は寄せ付けない! P400ミウラSVはスポーツカーを超越した存在 ミュージアム・コレクションの400GTとミウラに試乗!

貴重な400GT、伝説のP400ミウラSV、そしてアヴェンタドールを試乗

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創立60周年。レヴエルトの技術説明のために世界中からやってきたジャーナリストのためにサプライズで用意されていたのは、驚くべきコンディションの歴代のランボルギーニ。本拠地サンタアガータで、1966~2022年のV12とV10、新旧5台のスポーツカーとGTに、モータージャーナリストの山崎元裕が試乗。V10モデルのガヤルドとウラカンを比較試乗した前篇に続く後篇では、貴重な400GT、伝説のP400ミウラSV、そしてアヴェンタドールの試乗をお送りする。◆【前篇】のガヤルド&ウラカン篇から読む場合はこちら!

そこにあるのはあくまでもアナログの世界

2世代のV10モデルの走りを楽しんだ後には、ランボルギーニ伝統のV12モデルをドライブする機会が与えられた。用意されたのは1966年型の400GT2+2、1973年に生産されるも、実際のデリバリーは1975年と最も遅かったというP400ミウラSV、そして先日後継車のレヴエルトにその市場を譲ることになったアヴェンタドールの2021年型の3台だ。



この中で個人的に最も興味深い存在だったのは、やはりランボルギーニの創業期に誕生した400GT2+2だ。ランボルギーニはその前身として350GTを1964年に発売。それが同社にとっては初の量産車となったわけだが、フェルッチオ・ランボルギーニにとって、それはまだまだ満足できる商品ではなかったようだ。彼が求めていたのは高性能で快適なGT(グランツーリスモ)であり、そのためにはより高性能なエンジンとキャビン・スペースが必要と考えられたのである。

実際に400GT2+2のドライビング・シートに身を委ねてみると、キャビンの開放感は、外観から感じる以上に大きい。リアシートもプラス2とはいえ短時間の移動ならばきちんとその役割を果たすし、ラゲッジ・スペースと割り切るのならば、これ以上に便利なスペースはない。この開放感の演出は、350GTからルーフ・ラインを微妙に変更したことによる直接の効果でもあるのだが。

ランボルギーニ最初のモデルであるグランドツアラー、350GTの後継が400GT。試乗車はその400GTをベースとした4座仕様の2+2で、2座仕様との識別ポイントはやや前後方向に小さくなっているリア・ガラス。この400GTシリーズは225台が生産された。


フロントに搭載される4リッターV型12気筒エンジンは驚くほどにトルキーだった。アクセレレーターを軽く踏み込み、クラッチペダルをリリースするだけで、400GT2+2はスムーズに発進し、組み合わせられる5段MTも市街地ならば2速、カントリーロードならば3速あたりにシフトしておけば、あえて変速する必要を感じさせないほどのフレキシビリティを感じさせる。

高速域でのスタビリティも、とてもそれが60年代の作とは思えないほどのフィーリングだ。4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションは常にフラットな乗り心地を演出し、疲れというものを一切感じさせない。フェルッチオが自動車メーカーを創立し作りたかったGT。そのコンセプトの一端がこのモデルの走りには確実に表れていた。



引き続きP400ミウラSVのコクピットに収まる。ポロ・ストリコのフルレストアを受けたこのSVには、個人的には過去に何回かそのステアリングを委ねられた機会があるが、試乗のたびに感じるのは、それが見た目には流麗なスタイルではあるものの、実際には中途半端な覚悟を持つ者など寄せ付けない、きわめてスパルタンな、そう、スポーツカーをさらに超越したスーパー・スポーツカーであるということだ。

コンパクトなシートをベストなポジションに合わせ、クラッチペダルを踏み込み、ミドに横置きされるV型12気筒エンジンをスタート。メタルのゲートが刻まれた5段MTにも十分な剛性感があり、意を決してクラッチペダルを離すと、鮮やかなイエローにペイントされたミウラは何事もなくスタートした。

2011年にディアブロの後継として登場し、先日そのフラッグシップのポジションをレヴエルトに譲ったアヴェンタドール。試乗車はその最後を飾るウルティメRDSで、最高出力は歴代最強の780psに達する。クーペが350台、ロードスターが600台生産された。


ドライブに慣れて自分自身に余裕が生まれてくると、徐々にスーパー・スポーツとしてのミウラの魅力を感じることができるようになってきた。SVでは385psというパワーに対応して、サスペンションにもさらなる強化が図られているが、ブレーキングからステアリングを切り込みシフトダウン、そしてロールが発生し、それが落ち着いたところでアクセレレーターを再び踏み込むという一連の動きが、狙いどおりの調和を見せた時の感動は、さまざまな電子制御デバイスで守られた現代のスーパー・スポーツで感じるそれよりも、はるかに大きいことを確認させられた。同時に試乗したアヴェンタドールがデジタルの世界ならば、ミウラの作りや走りはあくまでもアナログの世界。だが自分の意思が良くも悪くも忠実に走りに表れるという点では、かつてのアナログな世界も悪くはない。

正しく過去を振り返る


ランボルギーニは最近、クラシック・モデルのプレゼンテーションに積極的だ。それは創立60周年を迎え、これまでの歴史をもう一度正しく振り返り、そして新型12気筒モデルのレヴエルトで始まった電動化という新しい時代への期待感を大きく高めるためのコンテンツの1つともいえる。今回はクラシック・モデルとして、400GT2+2、P400ミウラSV、ガヤルドの3モデルを。加えてアヴェンタドールとウラカン・テクニカの両車を同時に試乗するというチャンスに恵まれたが、その中で感じたのは、彼らが企業哲学の中心に掲げているのは、常に反骨精神にあるということだった。だからこそランボルギーニの作は独特な魅力を放ち、だからこそカスタマーはそれに魅かれる。それはいつの時代も変わることのない伝統なのだ。

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文=山崎元裕 写真=ランボルギーニ



(ENGINE2023年7月号)

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