2023.08.03

CARS

カーデザインの巨匠、ジウジアーロが新たなハイパーEVをお披露目 その源泉となった64年前のスケッチを公開!

GFGスタイルがラフィット・オートモビリのためにデザインしたバルケッタ。

全ての画像を見る
ジョルジェットとファブリツィオのジウジアーロ父子が率いるGFGスタイルが、2つの風防を持つハイパーEVを発表。そのデザインの源を探ると……。

84歳の今も健在


2015年に、自ら興したイタルデザインの名誉会長職を辞し、新たな会社、GFGスタイルを設立したジョルジェット・ジウジアーロ。イタリア・カーデザイン界の巨匠は84歳になった今も健在だ。そのGFGスタイルが5月、F1グランプリが開催されるマイアミで、新興自動車ブランド、ラフィット アウトモビリのためのハイパーEV5台を発表した。



これら5台のクルマは、大きくAWDのSUV、RWDのスパイダー/クーペ、耐久レース仕様に準拠しながら公道走行可能なRWDという3種に分けられる。1988年から89年にかけてジウジアーロがオープンカーやクーペ、MPVといった様々なタイプのクルマを立て続けに発表したことを思い出したが、今回の5台は僅か半年弱で仕上げられたという。


5台のクルマの制作でディレクションをしたのは息子のファブリツィオ。だが様々な部分において、父ジウジアーロが過去に手掛けたデザインの要素が取り入れられている。その最たる例が「バルケッタ」と名付けられたクルマ。2つの風防を持つ、運転席と助手席が独立したオープンカーだが、実はこのデザインの元となったのは、ジウジアーロが1959年に描いたスケッチである。



「これはまだ20歳だった私が、ベルトーネ社(トリノのカロッツェリア)の面接に臨んだ際に持参したものです」


こう語るのはジウジアーロ本人。当時、米国のコンセプトカーで試みられていたクルマのデザインを研究しつつ、その成果をスケッチに盛り込んだと振り返る。

若き日のジウジアーロのスケッチは、米ソが宇宙開発競争を繰り広げていた時代を彷彿とさせるもので、未知なる世界への憧れを感じ取ることができる。2つの独立したコクピットを持つクルマは、88年に発表した「アズテック」プロジェクトでも提案されたが、今回はそれ以来の試みとなる。

息子ファブリツィオとの“共作”となる「バルケッタ」は、F1における環状のドライバー保護装置、ヘイローに着想を得たピラーを採用することで安全性を向上させるなど、新たな工夫も凝らされている。最初の構想から50年以上の歳月を経て誕生したモデルは、父から息子へ受け継がれた、クルマづくりの情熱の証しでもあるようだ。



文・写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA 写真=GFG Style

(ENGINE2023年8月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement