2023.07.30

CARS

正真正銘、今、一番気になるクルマがこれ! 新型BMW M2 これはもはや限りなくM3に近いM2.9だ!!

FRレイアウトを死守した新型BMW2シリーズ・クーペをベースにしたM社謹製の硬派スポーツ、M2が2世代目へとフルモデルチェンジ。その出来は2シリーズ枠を超えた、兄貴たちに肉薄するものだった。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

得難いコンパクトFRクーペ


電気自動車(バッテリーEV)の「iシリーズ」を立て続けに投入するいっぽうで、こんな“ボーイズレーサー” 的クーペをさらりと発売するのだから、やはりBMWはただ者ではない。しかも2代目M2は「M2.9」ぐらいに呼んでもいいのでは、と思えるほど兄貴分に迫る出来栄えで、さらに8段ATに加えて最初から6段MTモデルも用意されている。何とかに火が付く、そんな気持ちになってきませんか?



現行型1シリーズをFFハッチバックに生まれ変わらせた際のBMWの言い分は「もはや駆動方式にこだわる人はいない」というものだったが、依然として「駆けぬける歓び」を社是として掲げるからには、ストレートシックスとともに代名詞にしてきた後輪駆動を簡単に諦めるわけにはいかなかったのだろう。昨年国内発売された新型2シリーズ・クーペはこのセグメント唯一の後輪駆動の牙城を守った。今時、フロントエンジン・リアドライブ方式もマルチシリンダーの内燃エンジンも貴重品で高級車専用が当たり前、確かに得難いコンパクトFRクーペである。おかげでM2はどうなってしまうんだろう? という、買える買えないは別にしての世界中のエンスーの心配は杞憂に終わり、めでたく新型M2(2代目)のデリバリーが今年4月から始まった。



M4のショートホイールベース版

新型M2は、先代のような明確な“長幼の序” がなくなり、兄貴分のM4クーペのすぐ後ろに近づいたようだ。何しろ、ボンネットの下の補強ブレースも、みっちり詰まったM社謹製S58型3.0リッター直6ツインターボも兄貴たちとほぼ同じ、パワースペックは460ps/6250rpm、550Nm/2650-5870rpmと、スタンダードM4の480ps/550Nmよりは若干落ちるが、以前ほどの違いはない。さらに前275/35R19、後285/30R20というタイヤサイズはM3/4コンペティションと同じ、全幅もM4と同一だ。ステアリング・ホイールの2個のMボタン、運転支援装備(ADAS)介入レベルも選べるMモードやトラクションコントロールのレベルを選べるMトラクションコントロールなどの機能も兄貴分と変わりはない。ということは、全長がM4より225mm切り詰められただけのショートホイールベース仕様(110mm短い)と考えたほうが正確かもしれない。実際にコーナー出口でグイグイと加速するトラクション性能と、ちょっと頑張ったぐらいでは眉も動かないようなスタビリティの高さは従来型とは格段に違う。ずいぶんと成長したのである。



さらに8段ATに加えて6段MT仕様も用意されているのが、マニアには嬉しいところだ。もちろん今やモード燃費も加速データも8段AT仕様が優るのだけれど(0-100km /h加速はATが4.1秒、MT車は4.3秒という)、あえてこだわりたい気持ちもよく分かる。ただし本体価格はどちらも“ボーイズ向け”とはとても言えない958万円。右ハンドルのみの設定だが、こだわり派の人は、MT車の場合ABCペダルが全体的に右にオフセットしており、さらにオプションのカーボン・シェルのバケット・シートを装着するとクラッチを踏む際に太腿とシートのサイサポート部分が干渉することに注意されたい。どうせならMTでしょ!と言う前に問題なくペダル操作できるか否かを確認してもらいたい(それとアクティブ・クルーズコントロールが備わらない)。今、一番気になるクルマである。

文=高平高輝 写真=茂呂幸正



(ENGINE2023年9・10月号)

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