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2024.01.11

CARS

ラングラーから懐かしいチェロキーまでイッキ乗り！　2011年に開催された「ジープ70周年記念モデル試乗会」を振り返る【『エンジン』蔵出しシリーズ・ジープ篇】

九島辰也

ユタ州の奥地で開催された2011年の「ジープ70周年記念モデル試乗会」

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は2011年8月号に掲載されたユタ州の奥地で行われたジープの海外試乗会の記事をお送りする。1941年に軍用車両として登場し、世界中の道なき道を駆け巡ったジープ。大自然のなかで存分に味わったジープの伝統と革新とは？

ミッション・インポッシブル

「西部劇から宇宙戦争までいけそうだ……」

日本から3本の飛行機を乗り継いで到着したのは、グランドキャニオンを思い起こさせる一面赤土の壮大な世界だった。街の名はモアブ。ソルトレイクの南東に位置するユタ州の奥地である。

70周年を記念した特別仕様車が7月2日から日本でも販売を開始するという情報が入った。パトリオット、チェロキー、グラチェロ、アンリミテッドの4モデルで、それぞれに限定台数が決まっており、総数は155台となるそうだ。写真はその限定色となるブロンズ・スターだが、日本では別にブラックも用意される。それにアルミホイールも標準装備。それにしてもこういうワイルドなシーンにアンリミテッドはよく似合う。このデザインは男を格上げする。いい相棒だ。

冒頭の言葉どおりここはハリウッド映画や音楽PVの撮影にもよく使われるだけあり、360度まんま舞台セット。「ミッション・インポッシブル2」にも使われたそうだから、もう一度シーンをチェックしたくなる。

それはともかく、この地に足を踏み入れたのは、ジープ70周年記念モデルの国際試乗会に参加するため。ジープにとってモアブはルビコン・トレイルに次ぐ大切な場所で、彼らはここのオフロード・トレイルを開発のためのテストコースに使用している。天然でこれだけのオフロード環境が整っているのだから使わない手はないということだ。うらやましい。

では、70周年記念モデルはというと、ブロンズ・スターという記念カラーが塗られた。そしてボディには記念バッジが付き、シートにもオリジナルの刺繍が入る。ちなみに、日本仕様はさらに特別な装備が追加されるようなので、その辺は別途確認していただきたい。ラインナップはもちろん、あちらでは全モデル対象だが、日本はグラチェロ、チェロキー、パトリオット、アンリミテッドとなるそうだ。



余談だが、本国ではチェロキーをすでに先代からリバティに名称変更している。ならばグランドチェロキーって名前もなんか不自然な気がしなくもない。今回ジープ・スタッフにその辺を突っ込んだら、笑ってごまかされた……。


40度のダウンヒル

久々の本格的なオフロード・ドライビングでジープの本領を実感した。人が立っていることもできない最大斜度が40度近くあるダウンヒルも無難にクリア。特にラングラーは前後のアングルに余裕があり、かなりいい加減なアプローチでもステアリングとブレーキ操作、それとアクセル開度を一定に保つことで自由なラインをとれる。より深いアングルを攻めて腕前を見せるなんてことも可能だ。

これとは対照的なのがグランドチェロキー。最新技術満載のこいつは電子制御システムがすべてをこなしてくれる。極端なことをいえばドライバーはステアリングを握るだけの自動運転。では、この技術が他のモデルに波及するかといえば、答えはノー。どうやらコストがかかるためグラチェロにしか載せられないらしい。正直ちょっとホッとした。

チェロキーの走りにも胸がキュンとした。1年以上乗っていなかったためだろうか、オフロードを走るその感覚は新鮮で、脚の動きを感じさせる乗り心地や接地感を伝えるステアリング・フィールがじつに気持ちよかった。変な言い方だが洗練されすぎないのがいい。



ベースキャンプとなった会場にはこのほかにコメモラティブなモデルが多数飾られた。MBやCJ-2A、それにワゴニアなど。かつて所有していたモデルも数台あり、ちょっと懐かしくもある。

また、モアブはジープ・サファリと呼ばれるオフロード・イベントの会場にもなることから、現行型のカスタム・モデルも展示された。ラングラーに6.4リッターV8 HEMIを積むなど、やりたい放題である。

そんな楽しみ方ができるのもジープが「自由」というスピリットを持っているからだろう。ジープを運転して味わう「自由」な感覚は70年間ずっと変わらないのだ。

文＝九島辰也　写真＝正田真弘

（ENGINE2011年8月号）

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