2023.09.24

CARS

セダンには戻れない究極のくつろぎ空間を実現 新しいパッケージを手に入れた新型センチュリーのインテリアを深掘り

4世代目でセダンからSUVスタイルへと革命的な変更を受けたセンチュリー。背の高い新しいパッケージを手に入れたことで、インテリアも変貌を遂げている。今回は新たなパッケージを手にして進化した新型センチュリーのインテリアを深掘りする。

高さを存分に活かす

室内寸法は室内長×室内幅×室内高=2145×1605×1245mmで、セダンと比べると20mm短く、幅は同等で、60mm高い。後席ヘッドクリアランスはセダンに対して100mm大きく、SUVタイプの高いルーフを利した空間設計となっている。また、2950mmというホイールベースはセダン・タイプのセンチュリーに対して140mm短いものの、前後席間距離は逆に85mm長い1220mmになっている。



190cmでも足が伸ばせる

この広くなった室内空間に最大77度までリクライニングできる独立した2脚のリア・シートを設置。伸縮可能な電動オットマンにより脚を伸ばして寝ることができるが、身長190cmの乗員でも助手席を前方にスライドすれば、伸ばした足先が前席席背面に触れることはないという。また、背もたれと座面にはエアバッグ式のマッサージ機構を内蔵した。

後席は乗降姿勢にも配慮。75度まで開く大開口のリア・ドアをはじめ、掃き出しフロアやオート電動格納式ステップ、配置を最適化した大型アシスト・グリップ、乗降をサポートするアームレストを採用するなどにより、背筋を伸ばした美しい所作のまま乗り降りできるようにした。

シート表皮は日本刺繍を参考にしたステッチが施される。光沢や奥行きを持たせる菅縫いという技法を手本に針や糸の扱い方を研究し、縁起のいい図形である菱形を重ねて矢羽柄に仕上げている。



読書灯だけでなく靴べら置きまで備わる

後席には通常の着座時とリクライニング時のそれぞれに対応する位置に4段階の照度調整が可能な読書灯や、センターピラー部に靴べら置きを設置。センターのアームレストには、13インチ程度のパソコンを置けるテーブルや、左右独立した脱着式の多機能操作パネルが装備される。

後席のドア・ガラスとクオーター・ウインドウには液晶を用いた調光機能付プライバシー・ガラスを導入。外からの視線を遮りながら柔らかな外光を取り込み、和室のような落ち着きを演出する。また、ワゴン・スタイルながら荷室との間にガラス隔壁を備えたラゲージルーム・セパレーターを設置することで静粛性や乗り心地の向上を図った。荷室容量は340リッター。ボディ・サイズの割に控えめな数値だ。



手の込んだ上質なつくり

内装の仕立てもまたセンチュリーの名にふさわしい手の込んだものになっている。本杢パネルはグランドピアノの素材にも用いられるサペリマホガニーだが、そのなかでもとくに見栄えのいい柾目だけを選定。アルミ・パネルと重ね、レーザー加工で本杢のみをけがくことで、繊細なストライプを描き出している。

車両設計段階から音響チューニングを行ったオーディオは8チャンネル、18スピーカーのシステムで、スピーカーも新開発。エンジンのこもり音などを逆位相の音で打ち消すアクティブ・ノイズコントロール機能も備わる。前席背後の左右には後席用の11.6インチ・ディスプレイを配置した。

新型センチュリーはSUV風のスタイルになっても「これがショーファーカーだ」ということを観察するほどに強く感じさせる室内になっている。



文=関 耕一郎 写真=宮門秀行、トヨタ自動車

(ENGINE WEBオリジナル)

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