2023.10.22

CARS

アロンソ選手が帰って来ない?! アストン・マーティンDBX707に富士スピードウェイで乗ってわかった「その訳とは?」

アストン・マーティンが放ったスーパーSUV、DBXをさらに過激にチューンアップしたハイパー・モデル、それがDBX707だ。その走りを富士スピードウェイの本コースで試す機会を得た。エンジン編集長のムラカミがリポートする。

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刺激的なアロンソの走行ビデオ

試乗前のブリーフィングは1本のビデオから始まった。画面に登場したのはアストン・マーティンF1チームのフェルナンド・アロンソ選手。どこかのサーキットで気持ち良さそうにDBX707のお尻を滑らせながら走っている。やがてピットから「ボックス、ボックス」と戻るよう促す無線が入る。ところがアロンソ選手、「いや、まだ行くよ!」と答えると、さらに激しくお尻を流して走り続けるというものだった。

ただでさえスポーツカーのような走りを見せるDBXを、さらに鍛え上げたのが707なのだから、その走りが特別なのも当然だろう。通常のDBXとは異なる大型グリルに加え、各部に付加された空力パーツが持てる性能の高さを誇示するかのようだ。

こんなビデオを見せられた後にコースに出るのだから、気分が高まらないわけがない。残念ながら試乗は先導車つきで、その後について3台が周回するものだったが、それでもかなりの速度でDBX707の走りを堪能することができた。

とにかくピットレーンを出て、「さあ、行くぞ!」とばかりにアクセレレーターを踏み始めた瞬間の反応からして、このクルマは別物である。4輪がしっかりと路面を掴んでググッと前に押し出すトラクションを感じさせながら、それでいて顔色ひとつ変えることなく、ウルトラスムーズに進んでいく様はとても2.2トン以上もあるSUVのものとは思えない。

さらに圧巻だったのは、Aコーナーでスロットルを少し開けながら左の縁石を踏みつけて駆け抜けて行くあたりの姿勢制御の素晴しさで、まるで路面に吸いつくように走る感触は、ほとんどスポーツカーのものとしか思えなかった。とにかく、どんなシーンでも姿勢が安定していて、ダイブもピッチもロールも必要最小限しか感じさせないのだ。

こんなに運転が楽しいSUV、これまで経験したことがない。これではアロンソ選手が帰って来ないのも当然である。私だって計10周ほどではまったく走り足りなかったよ!

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=アストン・マーティン・ジャパン

(ENGINE2023年11月号)

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