2023.11.26

CARS

「グイッと4輪で路面をけり出したときの感触は最高!」 ラングラー・ルビコン10thアニバーサリー・エディションはどんなジープだったのか? 【『エンジン』蔵出しシリーズ・ジープ篇】

ルビコン・トレイルを行くラングラー・ルビコンの10 thアニバーサリー・エディション。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は2013年10月号に掲載された最も過酷なオフロードと呼ばれるルビコン・トレイルで行われたジープ・ラングラーの海外試乗会の記事をお送りする。今や大人気のジープ・ラングラーだが、その人気の理由は変わらないデザインとSUVとは桁違いの悪路走破性能にある。カリフォルニア州北部の針葉樹林地帯を上っては下る。ジープ最大の難関テストコースで、当時の最新モデル、ラングラー・ルビコン10thアニバーサリー・エディションをテストしした様子をお伝えする。

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歴代ジープの完成車テストにも使う場所


ジープが売れている。日本で。しかも、ラングラー。特に4ドア版のアンリミテッドが登場して以降、販売は右肩上がりだ。 大掛かりな宣伝をすることなく年間2000台は売れるというから、輸入元はハッピーに違いない。

そんなラングラーの原点を知るイベントに参加した。メディア向けのジープ・エクスペリエンスである。



場所はジープ・ジャンボリーで知られるカリフォルニア州レイク・タホにあるルビコン・トレイル。歴代ジープの完成車テストにも使うここはまさにジープの聖地ともいうべきポイントだ。

今回の目的は、その“ルビコン”の名が付いたモデル、ラングラー・ルビコンの10 thアニバーサリー・エディションの試乗。その高いオフロード能力を聖地で試すこととなる。

ルビコンの特徴はフロントのスイング・アームをフリーにして足をビヨ~ンと伸ばすことと、リアとフロントにデフロック機構が付いているところだが、今回はそれプラス、専用バンパーやBFグッドリッチのオフロード・タイヤが備わった。そして中を覗けば“アニバーサリー・レッド”という名の真っ赤なレザー・シートが目を惹く。限定車ということでかなり大胆なお化粧が施されたわけだ。この赤の使い方はちょっぴりイタリアンな気がしなくもない。フィアットの影響とも思える。

そして“ルビコン”の名を持つ限定車はデフロック機構などさらに必要な装備を得る。本国仕様は電動ウィンチとマッド・テレイン・タイヤを標準装備するが、日本では法規上困難なのが残念。


では、オフロードへレッツ・ゴー!

ちなみに、ルビコン・トレイルを走るのはこれが2回目。98年、TJ型ラングラーでここを走った。そのときの印象はものすごく強烈で、それ以降ジープの虜となり、TJ、YJ、XJといったジープを所有した。とにかく、“目鱗モン”の連続である。

トレイルははじめ砂利道からはじまる。この段階で副変速機をパート・タイムに入れればセンター・デフはロックされる。乗り心地は、さすがに振動は大きいが、ロング・ホイールベースのアンリミテッドはそれなりにこなす。現行のJK型はサスペンションストロークが長く、取り付け剛性も高いのだろう。足がバタバタするTJ型とは別物だ。

ルビコンの醍醐味はロック・セクションだ。しかも泥濘んでいる。ずりずりタイヤを空回りさせながら必死にトラクションをかける。なかなか前へ進まないときはリア・デフを、さらに必要ならフロント・デフをロックし、アクセルを優しく踏み込む。



グイッとタイヤが路面をけり出したときの感触は最高だ。その瞬間、車体ごと少し浮くような感覚を得る。4つのタイヤが踏ん張り、ギャップをクリアしたときの達成感はこのうえない。この瞬間にためにここまで来たんだと思えるほどだ。オフロード初体験という人ともなれば、感動もひとしおで、素晴らしい笑顔を見せてくれる。

イベントはそのまま山頂のテントで一泊、翌朝下山するというもの。夜は満天の星空の下、キャンプ・ファイアを囲む。グランド・ピアノやバー・カウンターが用意されるのは彼の地流。

人生2度目のルビコン・トレイルもとても楽しかった。泥だらけになったラングラーに目は釘付け。もはやジープ熱再燃は必至である。

文=九島辰也

(ENGINE2013年10月号)

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