2024.01.22

CARS

アヴェンタドール LP 700-4とウラカン LP 610-4は、どんなランボルギーニだったのか? 総額7000万円超えの試乗インプレッション!【『エンジン』蔵出しシリーズ/ランボルギーニ篇】 

アヴェンタドール LP 700-4とウラカン LP 610-4、2台合わせて7000万円超え!

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どっちから乗っても驚く

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村上 今日は、麻布で2台を借り出して、首都高速を経由して東名で箱根に向かい、まず海老名SAでウラカンからアヴェンタドールに乗り換えた。で、走り出した途端に、野蛮極まりない乗り味に思わず大笑いしてしまった。こりゃ本物のスーパーカーだと思った。今どき珍しいくらい、ドライバーに楽をさせる配慮がない。

齋藤 絵に描いたような猪突猛進ぶりがなんといってもすごい。

村上 いや、イノシシではなくて、猛牛だけどね。後ろはまるで見えないし、前もダッシュボードが高くて、視界はウラカンに較べるといまひとつ。乗り心地も路面が荒れていると、ダイレクトに反応して身体にビシビシと伝わってくる。変速ショックも大きい。それらの衝撃と、リアから襲ってくるV12気筒のメカニカル・ノイズとエグゾースト・ノートにさらされながら、これは実に古典的なスーパーカーの魅力を今に伝える伝道師のようなクルマだと、ひしひしと感じさせられた。

ランボルギーニ・アヴェンタドールLP700-4(標準仕様4317万3000円)


齋藤 僕の場合はその逆でね、アヴェンタドールで場違いな混雑のなかをやっとこさ抜け出した後にウラカンに乗り換えたものだから、もう驚いたのなんのって。呆気ないまでにスムーズだし、洗練されているし、労力も腕力も要らないしで、それこそ衝撃的だったよ。キツネにでもつままれているのかと思った。

村上 だからキツネじゃなくて牛だって。いや、ウラカンというのはアヴェンタドール同様に、闘牛の名前に由来しているわけだけれど、言葉自体の意味は、英語のハリケーンに当たるスペイン語。だから、牛は牛でも“嵐を呼ぶ牛”だな。

齋藤 ……。歳がばれるよ。

 アヴェンタドールのインテアリアは、ディアブロからムルシエラゴへ、そしてこのクルマへと引き継いできたテーマに則って構築されている。ジェット・ファイターを想像させるようなセンター・コンソールのスイッチ群が新しい。


村上 それはともかく、ターンパイクでのウラカンの走りは独特なものがあった。曲がらないのによく曲がる。アンダーステアなのにオン・ザ・レール。自分の運転が上手いんだかクルマが上手いんだか分からない。なんだか分からないんだけど、とにかく速い。

齋藤 今風の言い方だと、アジャイル感のかたまり。もう俊敏というほかない。やっている感のないままにヒュンヒュン曲がる。

村上 かといって、不自然な感じがほとんどしないところが、凡百の電子制御式運転支援デバイスとは一線を画している。

齋藤 そこがスゴい。なんだこりゃ、こんなもの! って思わせないからね。クルマが勝手になんかやっているのは分かるんだけど、否定的な気持ちを抱かせないものになっている。ただ、個人的な好みを言わせてもらうと山道ではアヴェンタドールのステアリングの方が分かりやすくて扱いやすかった。ウラカンも山道ではアクティブ・ステアリングなしの固定ギア比(16.2対1)の方が走りやすいんじぁないかな。アクティブ可変型(9対1~17対1)は街なかとか高速道路ではあった方が楽でいいと思うけど、山道ではちょっとクイックに過ぎる感じはあった。慣れられないほどじゃないにしてもね。




飛ぶように売れている

村上 結局、この猛牛兄弟は、見た目こそ似ているものの、中身の性格はまるで正反対と言っていいほど違っている。古典派と未来派。肉体派と電脳派。……まぁ、そういう対比をいろいろと考えたくなる2台だよ。

齋藤 ウラカンのデザインって、よく見ると、長い時間をかけて詰めに詰め、洗練を極めたものだということが分かるでしょ。それを見た後でアヴェンタドールに目を移すと演出過剰なぐらいに複雑なものだということが分かる。演出過剰なところがまたスーパーカーの証なんだけどさ。



村上 トゥー・マッチ対レス・イズ・モアという対比も浮かぶ。もちろん、ランボルギーニ自体がそもそもトゥー・マッチだから、そのなかでの対比ではあるけどね。ウラカンは使い勝手、カッコよさ、走りなど、あらゆる点から見て、ポルシェ911ターボのライバルになる洗練されたスーパー・スポーツカーだと言える。ただし、価格は、そこはランボルギーニのことだから、ややトゥー・マッチで、ポルシェ911ターボよりざっと1000万円弱、高い。

齋藤 でも最初からフル装備の911ターボSは2500万円を超えちゃうことを思うと、その差はさほど大きくないでしょ。

村上 いや、ウラカンだって、あれこれオプションを加えると、あっという間に3500万円の声を聞くことになる。驚いたことに、その超高額スーパー・スポーツカーが日本でも飛ぶように売れて、すでに受注は200台に達する勢いで、今注文しても納車は2015年末なんだって。

齋藤 コレはイケるってピンときた人がこぞって発注しているんじゃないのかな。代替え需要だけでそこまでいかないでしょ。分かる人には分かっているんじゃないかと思うよ。

村上 ところが、さらに驚いたことに、ウラカンに3500万円出すなら、もう1000万円足して本物のスーパーカーが欲しいと、アヴェンタドールの人気まで再燃しているんだって。もうどうぞお好きなようにしてください(笑)。

話す人=村上 政(ENGINE編集長)+齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬

■ランボルギーニ・アヴェンタドール LP 700-4
駆動方式 リア・ミドシップ縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4780×2030×1135mm
ホイールベース 2700mm
トレッド 前/後 1720/1700mm
車両重量 1820kg(F780kg:R1040kg)
エンジン形式 V型12気筒DOHC 48V
総排気量 6498cc
最高出力 700ps/8250rpm
最大トルク 70.3kgm/5500rpm
変速機 シングル・クラッチ式7段自動MT
サスペンション形式 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
          後 ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク(CCMC)
タイヤ 前/後 255/30ZR20/355/25ZR21
車両価格(税込み) 4317万3000円(標準仕様)

■ランボルギーニ・ウラカン LP 610-4
駆動方式 リア・ミドシップ縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4460×1925×1165mm
ホイールベース 2620mm
トレッド 前/後 1670/1620mm
車両重量 1630kg(F690kg:R940kg)
エンジン形式 V型10気筒DOHC 40V直噴
総排気量 5204cc
最高出力 610ps/8250rpm
最大トルク 57.1kgm/6500rpm
変速機 デュアル・クラッチ式7段自動MT
サスペンション形式 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
          後 ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク(CCMC)
タイヤ 前/後 245/30ZR20/305/30ZR20
車両価格(税込み) 2970万円(標準仕様)

(ENGINE2014年12月号)

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