2023.11.13

CARS

いまEVは買いか? それとも待ちか? 自動車評論家の国沢光宏がヒョンデ・アイオニック5に乗ってみた! 売れ筋の欧州とアジアのコンパクトBEV4台をまとめてテスト!!

「こりゃマズいぞ!」と衝撃を受けたヒョンデ・アイオニック5。

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いま新車購入を考えたとき、電気自動車が候補になる人も多いだろう。でも、EVはいま本当に買いなのか? あるいは買っていいのか? それとも待ちなのか? その疑問に答えを出すべく、現実的に購入対象になりそうな価格帯の輸入車EVを集めてあらためて乗ってみた。エンジンから電気へと舵を切るヨーロッパ・ブランドのボルボからはC40リチャージとフィアット500e、新興アジア・ブランドからはヒョンデのアイオニック5とBYDのATTO3の実用小型電気自動車4台をモータージャーナリストの国沢光宏がテストした。一台目のボルボC40リチャージ、フィアット500eに続いて今回は、ヒョンデのアイオニック5を取り上げる。一台目のボルボC40リチャージから先に読む場合はこちら!

アイオニック5、中身はもう欧州車です!

アイオニック5は世界規模で高い評価を受けている。

私が初めて試乗したのは昨年2月のことだったけれど「こりゃマズいぞ!」と衝撃を受けた。



考えてみたらアイオニック5の開発主体は欧州。デザインも欧州。そこで仕事をしてるのは、BMWやアウディやメルセデス・ベンツ出身の人たちだという。中身は完全に欧州車です。

そして見ただけで「お金を掛けてますね!」。ヘッドライト回りひとつ取ってみても、応接室の飾りモノにしてもおかしくないレベルで精密加工されたLEDの多灯式。バンパーの上面なんかも光っちゃう。

外観は昭和の怪獣映画に出てくる未来カーのようだ。ホイールベースが3000mmもあるので室内は広い。シート、ウッド調パネル、横長のモニターなどの色調も温かみがあり、とても明るい印象のある室内だ。給電口は急速、普通ともにリア右フェンダーにあり、100V充電ケーブルも備える。




明るくて開放感のあるドライバーズ・シートに座り、スターター・プッシュ・ボタンで起動。Dレンジをセレクトし、走り出す。

電気自動車で一番難しい「走り出し時の自然な感じ&滑らかさ」を高いレベルで実現しており、2011年の初代から日産リーフを3台乗り継ぎ、電気自動車で全日本ラリーにまで出場している自動車評論家は、この時点で感心してしまっている。

興味深いのは「走る楽しさを追求したかったから」という理由でベース・モデルを後輪駆動(RRですね)とした点。今回は4WDだったが、その走りは欧米でも高く評価されている。



重い電池をホイールベースの間の低い位置に積むため、前後の重量配分が極めて良い。その上で後輪から駆動力を立ち上げているものだから、アクセル踏むと気持ちよ~く曲がっていく。考えてみたらヒョンデはWRCに参戦しており、ノウハウを持っている。乗り心地の質感も高い。

欧州のダンパーを研究した現代モービスの足回りや、凝ったダブル・ピニオン式のステアリング(モーターがラックに直接付いている)なども採用。タイヤは内側に吸音材が入っているミシュランのパイロットスポーツEV(このタイヤ高いです)。

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正


■ヒョンデ・アイオニック5ラウンジAWD
駆動方式 前後2モーター4輪駆動
全長×全幅×全高 4635×1890×1645mm
ホイールベース 3000mm
車両重量 2100kg
最高出力 305ps/2800~8600rpm
最大トルク 605Nm/0~4000rpm
バッテリー形式 リチウムイオン
バッテリー容量 72.6kWh
航続距離 577km
サスペンション 前 マクファーソンストラット/コイル
サスペンション 後 トーションビーム/コイル
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前&後 255/45R20
車両本体価格 599万円


(ENGINE2023年12月号)

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