2024年冬の時計特集のテーマは、「アイディアル・ペア~理想の2本を探せ!~」。自宅のガレージに絶妙な組み合わせのクルマを2台並べるように、時計も2本ペアで選ぶのが大人の時計好きの楽しみ方だ。今回は、編集部が信頼する時計ジャーナリストと目利きたちで結成したエンジン時計委員会のメンバーのみなさんに、組み合わせの妙を楽しむ時計の選び方を指南してもらった。
国内を代表する時計メーカー「シチズン」のアイディアル・ペアでおすすめするのが、「TRADITIONAL」×「NEW WAVE」の組み合わせ。オンは旗艦モデルを腕に、信頼性と見識をアピール。オフは軽やかな新潮流モデルを着けカジュアルに!
◆TRADITIONAL◆
ザ・シチズン メカニカルモデル Caliber 0210
クロノメーターの精度基準を超える平均日差-3~+5秒の高精度を実現するシチズンの新世代機械式ムーブメントCal.0200をベースにして日付表示を加えた進化バージョンのCal.0210を搭載。日付表示のみならず、防水性も10気圧へと向上し、日常生活での実用性も一段と良好に。電鋳技法による凹凸感をもった独特のダイアル、一体感をもってケースからブレスレットへと連続する美しいスタイリングなど、前作の「ザ・シチズン メカニカルモデル」を継承する洗練されたデザインも見どころ。自動巻き。最大巻き上げ時パワーリザーブ約60時間。ステンレススティール、ケース直径40mm。88万円。
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◆NEW WAVE◆
シリーズエイト 880メカニカル NB6031-56E【右】
880メカニカルは機械式コレクション「シリーズエイト」初のGMT機能を搭載し、時針とGMT針で2つの都市の時間帯表示が可能。また時針は1時間刻みで単独移動が可能なため、海外旅行の際に現地のローカルタイムに合わせて時差修正が素早く行える。ダイアルには東京の夜景をデザインソースとしたオリジナルの市松模様を施す。自動巻き(手巻き付き)。パワーリザーブ約50時間(最大巻き上げ時)ステンレススティール、ケース直径41mm。10気圧防水。22万円。
Eco-Drive 365 BN1015-52E【左】
シチズン独自の光発電時計技術がさらに進化。低消費電力と長時間駆動を実現する新しいエコ・ドライブムーブメントのCal.E365は、一度のフル充電で365日動き続ける高性能を達成。1973年に発売したクオーツ時計「シチズンクオーツE・F・A」から想を得たという、エッジのきいた面構成のユニークなデザインも、モダンなブラックの彩りによって引き立てられ、最先端のイメージを宿す。ステンレススティール、ケース横幅42.5mm。10気圧防水。6万3800円。
◆Eco-Drive 365 公式サイトはコチラ!◆
◆エンジン時計委員が指南! これが「シチズン」のペア選び◆
機械式か先進技術か?
シチズンは機械式とクオーツ、両方の技術を自社に持つ。2021年に登場したCal.0200は、シチズンによる機械式の頂点である。その設計が、中央に置いた二番車でダイレクトに分針を動かしている点を、個人的には高く評価している。何故なら機械式ムーブメントの原点となる構造だからだ。今年登場したデイト表示が備わるCal.0210の輪列も同じ設計を継承する。さらに今年は、新たな機械式GMTも登場させたが、これは主時針側を単独で動かせる現代的な設計とした。独自技術の光発電エコ・ドライブにも、新型キャリバーが登場。伝統を継承したシチズンの機械式の頂点とのペアに、現代的な機械式GMTと先鋭的なエコ・ドライブとが選べるのが、シチズンの高い技術力の証しだ。(時計ジャーナリスト・高木教雄)
外国人に自慢しよう
永久カレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフ、ミニッツリピーターを搭載したグランド・コンプリが50万円! 「いや5000万円の間違いだろう?」 時計に詳しい人なら、きっとそう思うに違いない。しかし、これはかつてそして今も実際に販売している時計のスペックである(ただしクオーツだけれど)。スイス出張が決まったときに、本気で買おうかと思った。「日本にはこんな時計があるんですよ」と外国人に自慢するためである。シチズンは日本が世界に誇るべき日の丸企業である。エコ・ドライブでカジュアルに遊ぶもよし。シリーズエイトで機械式入門を果たすもよし。究極の機械式「ザ・シチズン」は、出世して海外赴任が決まったら手に入れよう。(「THE RAKE JAPAN」編集長・松尾健太郎)
国産機械式時計にエールを
シチズンの時計を買うならエコ・ドライブや電波時計を選ぶのが本筋でしょうとかつては思っていたが、2021年のcal.0200の登場以降、そうも言っていられなくなってきた。このシリーズの発表会では、ジャーナリストたちが押し合いへし合いしながら時計を取り囲み、近年まれに見る熱い雰囲気だったのをよく覚えている。というわけで、ジャーナリストも興味津々の新作cal.0210の購入は、国産機械式時計にエールを送るという大きな意義があるので、ノブレス・オブリージュ精神にあふれる紳士諸兄におすすめ。これに合わせるペアとしては、やはり何といっても実用的な(そしてフトコロにも優しい)長時間駆動のエコ・ドライブだろう。(ジュエリー&時計ジャーナリスト・本間恵子さん)
決定版の1本+役割特化の1本
シチズン製機械式ムーブメントの最高峰であるCal.0200。これにカレンダーを追加したCal.0210は、間違いなく“これ1本持っていれば確実”な時計だ。国産のミドルレンジウォッチながら、スイスの高級機に比肩するムーブメントの仕上げ、専用機として作られたことを物語るスモールセコンドの絶妙な配置、太く長い時分針やクロノメーターを想起させる秒針などが時計好きを唸らせる! この時計とあえてコンビを組ませるなら、GMTのような役割特化の時計の方がお互いの個性を活かせるだろう。シリーズエイトの新作GMTはデザインをよりスポーティーに振り切っており、ベゼルやケースのカラーが3種類(限定含む)から選べる点もグッド。耐磁性も高い。(「クロノス日本版」編集部員・細田雄人)
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問い合わせ=シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807
写真=近藤正一
(ENGINE2024年1月号)
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