2023.11.30

CARS

N-BOXは、なぜ日本で一番売れているのか? 3代目に生まれ変わったホンダの稼ぎ頭に国沢光宏が試乗! はたしてその理由とは

ホンダN-BOX(標準モデル)

全ての画像を見る
日本で最も売れている自動車が2度目のフルモデルチェンジ。外観、とくに標準モデルの変更は間違い探しレベルの小規模なものだが、乗ってみれば、従来モデルとの違いは一目瞭然だった。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。

トヨタですら敵わない

advertisement


N-BOXは日本で一番売れているモデルである。トヨタですら敵わない。いろんな意味においてリスペクトしなければならない存在だと思う。そもそもなぜ売れているのか?



内装色は標準モデルが明るいグレーで、カスタムは黒基調。メーターはステアリング・ホイールの上部ではなく内側から望む位置に低められた。

今や国内販売の40%前後が軽自動車となる。なかでも売れ筋は使い勝手に優れるスライドドアのハイト系。そのど真ん中に居るのがN-BOXなのだった。もちろんライバルも存在します。スズキやダイハツだって同じようなタイプのミニバンを持つ。

なぜN-BOXなのかといえば、軽自動車を普通車と同じようなクオリティで作っているからだと思う。競合車となるスズキ・スペ-シアや、ダイハツ・タントに乗ると、いろんな意味で軽自動車だ。普通車から乗り換えると、あまり良い意味じゃないハンドルの軽さや、ブレーキのタッチ、ボディ剛性感など明らかに違う。N-BOXといえば普通車と乗り比べた時の「差」が少ない。JNCAP(公的な性能比較評価)が発表しているADAS性能だって高い。エンジン誌の読者諸兄なら、明らかに感じると思う。

私もこのカテゴリーでクルマ選びをするなら、迷うことなくN-BOXを選ぶだろう。ということで当然の如くベストセラーを目指す新型だ。プラットフォームやパワーユニットは基本的に従来型と同じ。大がかりなマイナーチェンジだと思えばいい?

従来モデル同様、後席は左右独立してスライドと座面の跳ね上げが可能だ。


コストアップしない範囲とはいえ、できる限りの改良を加えている。今回最も「良くなりましたね」なのが乗り心地と直進安定性。乗り心地はダンパーを改良したそうな。直進安定性はパワステとアライメント変更とのこと。

直進性と乗り心地が向上

従来型のN-BOX、直進性を生み出す前輪のトーインをほとんど付けていなかったという。トーイン付けると走行抵抗増え、燃費が落ちるからだ。新型はパワーユニットやCVTの制御を改良したことで燃費に余裕が出たのだろう。トーインを付けてきたワケ(従来型もトーイン付けることで直進性良くなるらしい)。さらにパワステの制御を最適化することで安定性を確保した。加えてダンパーの微少入力の減衰力を大きくしたので、横風のような車体の揺れを抑えられるようになっている。

従来型と乗り比べれば明らかに「直進安定性と横風に対する強さと乗り心地」がよくなっている。一段と普通車のようなクルマになったと思う。また、ADASをボッシュのレーダー+カメラから、モービルアイの新世代シングル・カメラに変更。ホンダによれば自動ブレーキの性能が向上しているそうな。ただ日産はモービルアイのレーダー+カメラ式を採用している。どちらの性能がいいか、JNCAPの試験結果を楽しみにしたい。

黄色の丸目が標準モデルで、白の角目がカスタム。カスタムの方が従来モデルとの差が大きい。価格は標準モデルが164万8900円~、カスタムが184万9100円~。


従来型と違うのはエクステリア&インテリア・デザイン。なかでもエクステリアは標準車とカスタムの差が大きくなった。もはや標準車を選ぶ気にはならない?

カスタムも従来型の方がいいという声も多く、評価割れるところ。インテリアは「少しコストダウンしましたね!」と思う。それでいて車両価格は10%くらい高くなったイメージ。これまで「良いクルマを競合車と同じ価格で買える」だったのが「良いクルマで少し高い」になった。このままベストセラーをキープできるか興味深い。

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正


(ENGINE2024年1月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement