2024.01.02

CARS

ホントはこれが本命! 新型クラウン・セダンの燃料電池車に自動車評論家の国沢光宏が試乗!

新型クラウン・セダンの本命、燃料電池車が登場!

全ての画像を見る
ミライに続いて、新型クラウン・セダンにも新設された燃料電池車。王道モデルに搭載したことで市場拡大、とは簡単に行かないみたいで……。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。

advertisement


すべての点でハイブリッドより優れている

パワーユニットに燃料電池を使う新型クラウン・セダンに試乗してみた。

基本はトヨタ・ミライ。ハイブリッドの試乗レポートでも紹介した通りホイールベースを80mm伸ばしたのが最大の違いだ。価格はハイブリッドの730万円に対し830万円になるけれど、国から145万3000円という補助金を得られるため、実売価格は逆転する。東京都だと別口で110万円出るためトータル補助金255万3000円。しかも試乗するとすべての点でハイブリッドより優れているのだった。



事実上の電気自動車なので静か&滑らか。追い越し加速はハイブリッドに勝る。燃料コストはハイブリッドと同じくらいだと考えていい。水素の充填だって3分くらい。実質的に安くて快適なら燃料電池車の方が売れて不思議じゃない。


なのに高いハイブリッドの方が受注台数は多いそうな。なぜか? 水素ステーョンが増えないからだ。

東京なんか絶望的である! 
オリンピックのため湾岸地域にいくつか作ったけれど、内陸に入ったら「ほぼ」なし。しかも営業時間が短く、点検や故障を理由とした臨時休業が多い。使いモノにならないです。



この日も試乗会を行っていた横浜地域の水素ステーションは2つとも休業しているそうで、遠くまで充填しに行っているという。経産省や環境省、やる気なし!

我が国はCOP28でも化石賞という不名誉な賞を4回連続で押しつけられたが、さもありなん。日本で省エネ技術が進んでいるのは企業であり、国じゃない。「日本は頑張っているのに!」と憤る人も居るけれど、化石賞は日本国政府が獲得した不名誉であり、民間企業についちゃ頑張っていると思う。

そんなワケで世界一優れた技術を持つ燃料電池車が普及しないのだった。改めて書くまでもなく、水素ステーションを増やそうとしない政府に原因があります。



燃料電池車は電気自動車と同じくらい快適で、排出されるのは水だけ。再生可能エネルギーから水素を作ればカーボンニュートラルだし。しかも電気自動車と違い充電時間だって掛からず安価。素晴らしいポテンシャルを有す燃料電池仕様の売れ行きが伸び悩んでいることを残念に思う。

水素ステーションさえ増えたらこんな素敵なパワーユニットなんかありません。かくなる上はトヨタが補助金を出してトヨタのディーラーに水素ステーションを作ったらいい。そうすれば安心して買えるようになることだろう。もはや国に頼っていたら何もできないです。


文=国沢光宏 写真=茂呂幸正

(ENGINE2024年2・3月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement