2024.02.09

CARS

135iクーペ対M3クーペの対決を、国沢光宏ほか11人ものモータージャーナリストが判定! M3のライバルは、なんと身内の135iクーペだった!?【『エンジン』蔵出しシリーズ/BMW篇】

M3のライバルは、なんと身内の135iクーペだった!?

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、2008年8月号に掲載したBMWの同門対決! 135iクーペvsM3クーペの記事を取り上げる。かたや420psの4リッターV8を搭載するM3クーペ、1630kg。こなた306psの3リッター直6ツイン・ターボを搭載する135iクーペ、1550kg。コンパクトでスポーティな後輪駆動の箱型2ドア、というBMWの伝統を受け継ぐのはどちらか? 07年スーパー耐久クラス3シリーズ王者にしてドリフト名人の大井貴之が判定を下す。


軽い!小さい!安い!

2007年に登場し、08年2月に発売されたばかりの135iクーペ。335iと同じ3リッターの直6ツイン・ターボ・エンジンを、90kg軽量で100mmホイールベースの短い1シリーズのクーペ・ボディに搭載したモンスターである。約5.1kg/psというパワー・トゥ・ウェイト・レシオはポルシェ・ケイマンやランサー・エボリューションに勝る。ミドシップよりも4WDよりもパワフルなFR。もちろん、同レシオ4kg/psを切るM3クーペに較べれば大人しいモノかもしれないが、乗り出しが1000万円の大台に乗ってしまったM3に対し、軽い!小さい!安い!こいつは間違いなくM3のライバル! 興味津々で試乗した。

3シリーズの最高性能ユニットをBMW最小の1シリーズに移植した、マッチョな小型クーペ。3リッター直6ツイン・ターボは306psを5800rpmで、40.8kgmを1300-5000rpmで発揮。車重1550kg、前後重量配分52:48。タイヤは前215/40、後245/35の18インチ、BSポテンザRE050☆。足まわりは比較的ソフトでまったり動くのと、大トルクの恩恵でドリフトに好適。「2台とも“ドリ車”である」と大井ドリフト名人。本年春上陸の538万円。


135iクーペとは今回の取材が初対面。いつの間にか東京駅の隣に聳え立ったBMW Japanの本社があるオフィス・ビルの駐車場でキーを受け取ると、待っていたのは可愛いノッチバック・クーペ。ベースとなる2BOXの1シリーズに対してテールを120mm伸ばしているようだが、基がコンパクトな2BOX。ルーフの高さも手伝ってちょっぴり寸足らずなフォルムはチョロQっぽくも見える。ウエストのプレス・ラインをリアまで回り込ませたデザインは往年の名作2002をイメージしたモノらしいが、オレの口からは個性的としか言いようがない。

しかしプレス・ラインから下側に目をやるとアンバランスな迫力で突き出したデュアル・マフラー、間違いなくチョロQっぽさに拍車をかけている18インチ・ホイール、そしてその奥にはφ338mmの大径ローター。トドメはMモデルにさえ未だに採用されていない6ポッドの対向ピストン・キャリパー。普通の人にはお買い物用のBMWの可愛いクーペに見えるであろうクルマが、分かる人間には強烈にアピールしてくる。地味にしているが、ナイスバディのいい女って感じだ。

ドライバー・オリエンテッドな運転席まわり。テスト車は6MT。6ATもある。


音が反響しやすい地下駐車場でエンジンを始動したのだが、300ps級のエンジンを搭載していることは誰にも気づかれそうにないほど静か。都心を抜け、首都高速へ向かうルート上においてもごく普通。エンジンの扱いに気を遣うようなことは一切必要なく、アイドリングから2000rpm以下で走る渋滞ドライブでもこの上なくスムーズに走る。

しかし、一度アクセルを踏み込めば別世界の加速! 高回転域に持ち込む必要などまったくない。アクセルに軽く足をのせている程度の2000rpm巡航からアクセルを踏み込みさえすれば、その瞬間からレッドゾーンが始まる7000rpmまで強烈かつフラットな加速が続く。ウェイトが軽い分だけ335iより速い。それどころか420psのV8エンジンを搭載したM3であってもパワーバンドにのせていなければ負ける。


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