2024.01.31

CARS

スタイル抜群のシロッコは、どんなフォルクスワーゲンだったのか? コーナリング性能は明らかにゴルフGTIより上!【『エンジン』蔵出しシリーズ/VW篇】

VWシロッコ2.0TSI

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、1974年の初代デビューから30年余、フォルクスワーゲンの“熱風”、シロッコを取り上げる。ジウジアーロの手になる斬新なデザインをまとっていた初代同様、発表当時は新世代VWの先駆けとなった新しい顔を引っさげて登場したシロッコの2008年9月号に掲載されたた国際試乗会のリポート。このスタイルは今見てもかっこいい、程度のいい中古車があったらぜひ乗ってみたい一台だ。


「もっか最スポーティなVW! 16年ぶりに復活したフォルクスワーゲンの“熱風”=シロッコにポルトガル・リスボンで乗る」ENGINE 2008年9月号

新型シロッコは、これまでのフォルクスワーゲンとはまったく違うデザイン言語でつくられたクルマだ。ラテン的で軽快感みなぎるその新しいデザイン言語が、アウディからやってきたイタリア人デザイン・ディレクター、ヴァルター・デ・シルバによってもたらされたものであることは想像に難くない。

低くワイドな構えのおかげで、コーナリング時のロールは小さめ。


1974年にデビューした初代シロッコが、ジョルジェット・ジウジアーロの手によるラテン的デザインで熱狂的な支持を集めたように、この3代目も、ゲルマン的合理性に基づく肉体の上にラテン的な情熱を持った服を着せることにより、これまでのフォルクスワーゲン・ユーザーとは違う若い世代にアピールしようとしているように見える。

とりわけ象徴的なのは、顔だ。現行ゴルフGTI以来、フォルクスワーゲンの象徴となっていた、いわゆるワッペン・グリル(新型シロッコの前身であるショウ・モデル、アイロックも持っていた)は、影も形もなくなり、そのかわりに横方向のワイド感を強調した、シンプルでダイナミックなラインが与えられた。

初代シロッコが、その数カ月後に決まっていた初代ゴルフのデビューに向けた目ならしの役割を果たしたように、この3代目も今年9月にデビューが決まっている6代目ゴルフの先駆けとなるモデルであり、さらには今後のフォルクスワーゲン車全体のデザインおよびエンジニアリングの方向性をも占う、重要な使命を持ったモデルと考えられる。

コストを下げるため既存車種からモジュールを流用してつくられた新型シロッコ。インパネは主にイオスからの流用。


そんなことを踏まえつつ、大西洋に開けたリスボンの青空の下で初めて対面した新型シロッコを眺めていると、なるほどこれは大胆な方向転換をしたものだと思わされた。とりわけ、初代のイメージ・カラーでもあったというライト・グリーンのボディ・カラーに包まれた新型シロッコは、止まっていても軽快感に溢れており、これを走らせたら楽しいだろうな、と見る者をワクワクさせるような魅力を発散していた。


大幅に広げられたトレッド

その新型シロッコのボディ・サイズは、ゴルフGTIより31mm長く、50mmワイドで、56mm低い、全長×全幅×全高=4256×1810×1404mm。見た目どおり、ゴルフよりずっと低くワイドな構えになっているのだ。さらに数字を追っていくと、ホイールベースはわずか3mmだけ長い2578mmであるにもかかわらず、トレッドはフロントが35mmワイドな1569mm、リアが59mmワイドな1575mmになっている。とりわけリアのトレッドはクラス最大と言えるもので、走りに与える影響は少なからぬものがあると想像される。

座面が低くスポーティなフロント・シート。


足回りは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアが4リンク。その基本レイアウトはゴルフGTIと同一ながら、トレッドを広げ、バネ下荷重を低減するため、リア・サスペンションにはアルミ製ナックル・アームを採用しているのをはじめ、ダンパー、スプリング、スタビライザーのすべてに独自のチューニングが施されているという。

搭載されるエンジンは、ガソリンが3種類、ディーゼルが2種類。ガソリンはすべて過給器付きの直4で、下から122psの1.4リッターターボ、160psの1.4リッターツインチャージャー、200psの2リッターターボとなっている。そのうち、今回の試乗会では160psと200psのふたつのモデルに試乗することができた。


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