2024.01.31

CARS

スタイル抜群のシロッコは、どんなフォルクスワーゲンだったのか? コーナリング性能は明らかにゴルフGTIより上!【『エンジン』蔵出しシリーズ/VW篇】

VWシロッコ2.0TSI

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低い着座位置

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最初に乗ったのは、1.4リッターツインチャージャーの6段MTモデル。試乗車のタイヤはすべてオプションの18インチで、この個体にはさらにDCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)も装備されていた。

まず、ドライバーズ・シートに着いて驚いたのは、着座位置がゴルフよりかなり低くなっていることだ。そのおかげで、全高が下げられているにもかかわらず、頭の上にはかなり余裕がある。ダッシュボードの高さは変わらないので、これまでより高い印象となり、いつものようにシートを一番下げて座ると、ボンネットはまったく見えなかった。

リア・シートは横幅こそ狭いが大人2人がしっかり座れる。


シート自体はゴルフと同じもので、インパネもメーターもステアリング・ホイールも、すべてほかのVW車からの流用。コストを下げるために涙ぐましい努力が払われているのだ。

走り始めると、すべての動きがゴルフよりも一段とスムーズかつ落ち着いた印象になっていた。ワイドなトレッドのおかげで高速安定性もゴルフ以上に高い。軽快な動きとドッシリした安定感がうまく融合されており、基本シャシーを共用するにもかかわらず、まったく新しいクルマに乗っている感じがした。

ツインチャージャーつきの1.4リッター直4ユニットは、実に滑らかによく回るし、トルクも下から出ていて扱いやすい。スポーティな排気音から感じるほどには速くないが、必要十分な速さというところか。

もうひとつは200psの2リッターターボ。スペックはゴルフGTIと同一だが、新世代ユニットであることに注意。


乗り心地も抜群である。DCCはボタンひとつで、足の硬さをコンフォート、ノーマル、スポーツの3種類のモードから選択することができる。コンフォートかノーマルなら、18インチでも、ほとんど問題ないくらい乗り心地がいい。スポーツだと明確に硬くなり、路面の荒れをダイレクトに拾うようになるが、それでも不快な突き上げやハーシュネスはまったく感じることがなかった。

もうひとつ、電動パワステのフィールもまた一段と進歩しているのが印象に残った。全体にゴルフより重めの味付けで、DCCをスポーツにすると、さらに明確に重さが増す。


ゴルフGTIより安い!?

峠道に入って2.0TSIに乗り換えた。このエンジンは、パワー&トルクからボア、ストロークに到るまでゴルフGTIの2リッターターボと同じスペックだが、ブロックは新しい1.8TSIと同じ新世代のものに入れ替わっている。そのせいか、回転フィールが滑らかになり、その分やや大人しくなったような印象を受けたが、ホットなエンジンであることに変わりない。

長く弧を描くルーフ・ライン。リア・ウインドーはほぼ垂直。


6段DSGが装備されたこのクルマでワインディングを飛ばすのは、この上なく楽しかった。ワイドなトレッドと低重心のおかげで、明らかにコーナリング性能がゴルフGTIより一段高くなっている。ステアリングを切り込んで行った時のノーズの入り方はシャープだが、リアが安定しているので、かなり攻め込むことができる。さすがにやりすぎるとアンダーステアが顔を出すが、そんな時でもスロットルを戻せばノーズが内を向くので安心感がある。

同じ道をDCC付きの2.0TSIでも走ってみた。スポーツ・モードを使うと、さらにコーナリング性能が高くなり、抜群に楽しさが増すことが確認できた。ESPの介入もノーマルより控えめになっているように思ったが、気のせいだろうか。

さて、フォルクスワーゲンの説明では、当時のライバル車と異なり、初代シロッコが成功した背景には、魅力的なデザインに加えて、スポーティな走りと毎日使える実用性、そして何よりも手頃な価格の4つの要素があったという。この新型もそのすべてを兼ね備えているというのだ。

驚いたことに、ドイツではシロッコの2.0TSIの方が、ゴルフGTIよりも100ユーロ安い、2万5550ユーロで売られるという。

日本での価格がどうなるかは不明だが、かなりコスト・パフォーマンスの高いモデルとなることが予想される。来年の半ばが予定される日本上陸が、今から待ち遠しい。

文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=フォルクスワーゲン・ジャパン

■VWシロッコ2.0 TSI
駆動方式 エンジン・フロント横置き前輪駆動
全長×全幅×全高 4256×1810×1404mm
ホイールベース 2578mm
車両重量 1298kg
エンジン形式 アルミ製直列4気筒DOHC16バルブ+ターボ
排気量 1984cc
ボア×ストローク 82.5×92.8mm
最高出力 200ps/5100rpm
最大トルク 28.6kgm/1700-5000rpm
トランスミッション 6段DSG
サスペンション(前) ストラット/コイル
サスペンション(後) 4リンク/コイル
ブレーキ (前後とも)通気冷却式ディスク
タイヤ (前後とも)225/45R17
車両本体価格 ー

(ENGINE2008年9月号)

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