2024.02.05

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注目の「レクサスLM」にモータージャーナリストの島下泰久氏が試乗! 「後席の圧倒的な快適性と自らステアリングを握った時の満足感」は次元が違う!! 

レクサス LM 500h

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2023年末に日本デビューを果たしたレクサスLMの車名はズバリ“ラグジュアリームーバー”を意味する。世の中のニーズが多様化する中で、レクサスはフラッグシップの重責を、ブランドの歴史そのものでもあるLSに加えてクーペ&コンバーチブルのLC、プレミアムオフローダーのLX、そしてこのLMの4モデルによる群で引き受けようとしている。果たしてMPVという車型で、LMはどんな風にレクサスらしいフラッグシップを創り出したのか。今回は、まず導入されたLM500hをロングトリップへと連れ出し、その真価を確かめることにした。


想像以上の威厳

初めて一般道で乗るLM。これまで、ワールドプレミアの舞台となった2023年の上海モーターショーや、プロトタイプの試乗会が行なわれた富士スピードウェイなどで、すでに実車を見ていたにも関わらず、見慣れた景色の中に佇むその姿は、想像以上の威厳を放っていた。



何より圧倒されたのはリアドアから後方にかけての伸びやかさだ。大きな面がダイナミックに移ろい、陰影を描き出しながらリアエンドまで達するボディ面も、そんな勢いを強調している。実際、全長は5125mmと大きいのだが、どこにも無駄がなく心地よい緊張感が貫かれたフォルムは、いわゆるMPVのイメージを覆す。

そしてフロントに回れば、シームレスにボディと繋がるフロントグリルとシグネチャーライトがレクサスらしさをアピールしている。迫力十分だが気品もある他とは一線を画する存在感は、レクサスのフラッグシップに相応しいと感じられた。



一瞬、どちらにするか悩んだが、やはり最初は後席に乗り込んだ。スーッとスライドドアが開くと、足元に自動でステップがせり出す。大型のアシストグリップも備わり、乗り降りは容易だ。そして足を踏み入れたフロアには毛足の長いカーペットが敷かれていて、足の裏に伝わるふわりとした感触に、心くすぐられる。

LMの後席スペースは、クルマの後席スペースに対する常識を軽やかに覆す。LM500hは4人乗り仕様で、前後席間にパーティションを設けることでリアコンパートメントを独立させている。つまり、2人のためだけの贅沢な空間なのだ。






 
左右に一脚ずつ備わるシートは大型のオットマン、深いリクライニング機構などを備え、ゆったり寛いで過ごすことができる。余裕ある全長は、実は後席のフルリクライニングが可能な寸法から導かれたのだと以前、チーフエンジニアから教えていただいたのを思い出した。

パーティションには48インチ大型ディスプレイが埋め込まれており、その下の扉には冷蔵庫が収まる。ソリスホワイトと呼ばれるベージュがかった白と黒、そしてカッパーの加飾でまとめられたインテリアは華美ではないが、それぞれの作り込みは精緻で隙がなく、ラグジュアリーホテルの趣で寛げる。

左右のアームレストの前端にはスマートフォンのような取り外し式のコントローラーが備え付けられている。これを使えば、シートの調整やマッサージ機能の呼び出し、ブラインドの開閉、乗員の身体の部位ごとに温熱感を推定するエアコンなどを一括制御する空調やオーディオなどの操作を手元で簡単に行なうことができる。

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後席の圧倒的な快適性

クルマが走り出すと、室内は期待していた通りの静けさ。不自然なほどの無音というわけではなく、移動空間の中に居ることは意識させながら余計なノイズがきれいに均されている感じが心地良い。シートだけでなくオットマンやアームレストにまでヒーターが備えられているから、思わず眠りに誘われそうになる。

このままでも快適だが、運転手……ではなく運転してくれている編集某氏にお願いしてドライブモードを「REAR COMFORT」に切り替えてもらうと、初採用の周波数感応バルブ付きAVSが文字通り後席優先の設定に切り替わるのだが、ふわふわ落ち着きが無いわけではなく、上下方向にはソフトながらゆすられるような感覚は皆無。しかも多少リクライニングが深めでも、シートがしっかり身体を支えてくれるので、却って落ち着かずに疲れてしまう、なんてことが無い。







後席に乗る時には、必ずモード切替をリクエストするべきだ。いや、後席に人を乗せる時には、言われなくてもこのモードに、と言うべきかもしれない。

眩しい陽光を遮るためにサンシェードを閉じる。一般的なクルマの後席のシェードとは違って、LMのそれは上から下に閉じるので、太陽を遮りながらも外の景色を楽しめるのが嬉しい。ガラスルーフは大型ルーフコンソールを挟んで左右席で分かれているので、こちらのシェードもめいめい自由に開閉できる。1人でも2人でも、それぞれ自由に寛いで過ごせるわけだ。

一方、仕事モードの時はPCを置いてもブレないように考えられた格納式のテーブルを取り出せばいい。あるいは48インチ大型スクリーンを通してのオンライン会議、隣の席に招いた大事な人との商談といった場面もあるかもしれない。



パーティションのウインドウを閉めれば、話し声が前席に届かなくなるので、秘密の話のときに有効。更に、ウインドウは調光ガラスとなっていて、スイッチひとつで遮蔽できるので、プライバシーを完全に守ることができる。きっとこれを待っていたという経営者の方もいらっしゃるに違いない。

そして仕事が終われば大画面で映画を楽しんだり、マーク・レヴィンソンのオーディオで音楽に浸る。そんな光景が目に浮かぶ。その時には冷蔵庫の中からシャンパンでも取り出して……。但し、今日はそれは想像だけ。続いてドライバーズシートに移る。

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LMが持っている「別の顔」とは?

この体躯だけに事前には動かすだけでも億劫になるんじゃないかという危惧もあったが、いざ乗ってみると視界は良く、車体の四隅も把握しやすくて、数分もしないうちにそんなことは意識しなくなっていた。

発進、そして加速が軽やかなのも、そんな好印象に繋がっているのだろう。前輪を2.4リッター・ターボエンジンと電気モーターで、後輪を高出力電気モーターのeAxleで駆動するDIRECT4が、滑らかで力強い電気モーターを効果的に使ってアクセル操作に即応するレスポンスを実現しているのだ。







幹線道路をペースに合わせて流す。そんな場面でも、この電気モーターの適度なアシストのおかげで、アクセルを深く踏み込まないで済む。この辺りは走りの余裕に繋がっている大きなポイントだ。
 
そうこうしているうちに、コーナーが連続する区間に差し掛かった。ドライブモードをSPORTに切り替えてアクセルを更に踏み込んでいくと、LMはまた違った顔を見せた。

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加速感はとにかく伸びやか。2.4リッター・ターボエンジンは心地よく吹け上がり、電気モーターの分厚いトルクと相まって、ぐんぐん速度を高めていく。

実は前述のプロトタイプの試乗の際には、硬質なエンジン音が気になったが、今回それを意識することはなかった。音質は軽やかになりボリュームも抑えられて、軽快なスポーティさを楽しめる。さすがレクサス、しっかり仕上げてきた。



終始、感心させられっぱなしだったのが、実はそのフットワークである。操舵に対する応答は正確で、しかも初期応答に優れるだけでなく、深く回り込んだコーナーでも優れた追従性を見せる。そしてコーナーを通過して徐々にアクセルを踏み込んでいくと、後輪の確かな駆動力を感じさせながら気持ち良く立ち上がっていけるのだ。

これだけのサイズのモノスペースとは思えないハンドリング性能には、高いボディ剛性や適切なサスペンションのセットアップはもちろん、積極的な前後駆動力制御も貢献しているのだろう。ともあれ、LM500hは、意外やドライバーズカーでもあったということ。これはこの日最大の嬉しいサプライズだったのである。





考えてみれば、後席に居て快適に過ごせるのは、ドライバーが操りやすいクルマだからこそでもあるはず。実際、REAR COMFORTモードでは直進性もコーナリングも一体感は少々削がれるのだが、後席に居てそれを感じることがなかったということはドライバーにとってその修正が容易だからこそだろう。

後席の圧倒的な快適性と自らステアリングを握った時の満足感を、これまでにないレベルで両立させた存在が、このレクサスLM500hである。単に豪華だ、広い、では終わらせないところが、ごく当たり前のショーファードリブンではなく、まさしくレクサスのフラッグシップらしいところと言えるだろう。常に忙しく動き回り、しかし余裕を忘れず、自分の時間もアクティヴに楽しむ今どきのラグジュアリーカーオーナーは見逃してはもったいない1台である。

文=島下泰久 写真=望月浩彦

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