【後篇】清水草一ほかおじさんたちがVWシロッコを褒める！　黒のアルファ・ミトも！！　ホットハッチNo.1選手権で勝利したのはどのクルマか？【『エンジン』蔵出しシリーズ／比較試乗篇】

著者をフォロー
記事を保存

アウディS3とプジョー308GTi、VWシロッコ、アバルト500、アルファ・ロメオ・ミト

全ての画像を見る

中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は2009年の「エンジンHOT100ニューカーズ」の特別企画として行われた、ホットハッチの比較試乗ナンバーワン決定戦の座談会をお届けする。集めたホットハッチ、イタリア2台、ドイツ2台、フランス1台。うち3台が3ペダルのマニュアル・ギアボックスという実にエンスー的なラインナップが魅力。そしてなんと言っても評議委員を務めた当時はまだ40歳代半ばにあるエンスー派ジャーナリスト3人、清水草一、森口将之、佐野宗弘による抱腹絶倒、忖度なしの言いたい放題座談会が面白い！　今回は前篇のアウディS3とプジョー308GTiに続く後篇として、VWシロッコ、アバルト500、アルファ・ロメオ・ミトをお送りする。◆【前篇】のアウディS3とプジョー308GTiから読む場合はこちら！

佐野、素性の良さに驚く

──　3位は、シロッコTSIです。

上田　3点か4点を全員から万遍なく得点してのこの順位です。

森口　価格が迷いどころでよねぇ。せっかく2グレード設定するのなら、片方は装備を少し削ってでもドーンと買いやすい価格にして欲しかった。

前輪駆動。全長×全高×全幅＝4255×1810×1420mm。ホイールベース＝2575mm。トレッド＝F:1555/R:1560mm。車輛重量＝1340kg。タイヤ＝235/45ZR17。エンジン＝2段過給直噴直4。総排気量＝1389cc。最高出力＝160ps/5800rpm。最大トルク＝24.5kgm/1500-4500rpm。変速機＝乾式デュアル・クラッチ7段自動。燃料タンク容量＝55リッター

前輪駆動。全長×全高×全幅＝4255×1810×1420mm。ホイールベース＝2575mm。トレッド＝F:1555/R:1560mm。車輛重量＝1340kg。タイヤ＝235/45ZR17。エンジン＝2段過給直噴直4。総排気量＝1389cc。最高出力＝160ps/5800rpm。最大トルク＝24.5kgm/1500-4500rpm。変速機＝乾式デュアル・クラッチ7段自動。燃料タンク容量＝55リッター

──　シートが革張りでなかったり、電動調整式でなかったりすることを除けば、事実上フル装備での392万円ですね。HDDナビ込みです。

森口　ナビはオプションでいい。

清水　7段DSGの、何度も細かく刻んでシフトアップしていくあのハイテク感がイイなぁ、僕は。

──　シロッコには前向き発言。

清水　ツイン・チャージャーの全域で厚いトルク感に、あのいっぱい変速する感じ。あぁ、新しいモノに乗ってるなぁと感動しますよ。

ゴルフに較べると着座位置は歴然と低い。ダッシュボードの造形はゴルフに近似的でも、それだけで印象ががらりと変化する。ルームミラーに映る小さなリアウィンドウとハイバック式リアシートがスポーティーな気持ちを高揚させる。サイド・サポートを明瞭に張り出したフロント・シートはクルマの性格に合った好ましいもの。

ゴルフに較べると着座位置は歴然と低い。ダッシュボードの造形はゴルフに近似的でも、それだけで印象ががらりと変化する。ルームミラーに映る小さなリアウィンドウとハイバック式リアシートがスポーティーな気持ちを高揚させる。サイド・サポートを明瞭に張り出したフロント・シートはクルマの性格に合った好ましいもの。

森口　基本はシンプルな脚のFFだから、原初的な感覚っていうのかな、それを操る楽しさも味わえる。

──　低い重心とドライビング・ポジション、ゴルフより大きくて、しかもリアのほうが広い輪間距離がもたらすニュートラル感の強いスポーティなハンドリング特性も嬉しい。クルマがすごく楽に動いているさまが伝わってくる。嬉々として走る。

佐野　シロッコにそんなに期待してなかったんですが、走らせて驚いた。ゴルフとこんなに違うのかって。

森口　ダンピングもしっかり効いてビシッとしているから、爽快です。ゴルフのいいところだけを抽出したような感じといえばいいのかな。

昨年春にデビューしたシロッコの日本上陸はこの春。2.0リッターターボと1.4ツイン・チャージャーの2モデルが輸入されている。変速機はいずれもデュアル・クラッチ・ギアボックスだけの設定。

昨年春にデビューしたシロッコの日本上陸はこの春。2.0リッターターボと1.4ツイン・チャージャーの2モデルが輸入されている。変速機はいずれもデュアル・クラッチ・ギアボックスだけの設定。

佐野　ゴルフはあれもこれもそつなくこなす。それを求められているクルマ。だから間口が広い。でも、そこまで頑張らずに、ドライビング・プレジャーを追求していいのなら、ここまでできるんですよ、とシロッコは無言のうちに訴えかけてくる。

森口　後席はなんとか実用になるし、荷室もそこそこ使える容量がある。

清水　この5台のなかではアウディとともに安パイの1台ですよね。でも、ゴルフのようなベタな安パイではない。子供のいない家庭の奥さんが乗っていたりするとカッコいい。お金もあって余裕もあって、ちょっとカッコよく見てもらいたいという向きにぴったり。そういうときにちょうどいい空気感を漂わせている。

森口　肩の力が抜けたゴルフの良さが走りだけでなく、雰囲気にもある。

次ページ　>　清水、しきりに感触を反芻する