2024.02.02

CARS

【後篇】清水草一ほかおじさんたちがVWシロッコを褒める! 黒のアルファ・ミトも!! ホットハッチNo.1選手権で勝利したのはどのクルマか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/比較試乗篇】

アウディS3とプジョー308GTi、VWシロッコ、アバルト500、アルファ・ロメオ・ミト

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清水、しきりに感触を反芻する

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── さぁ、次いきますよ。2位は、

上田 19点のアバルト500です。

清水 アバルト500の脚って、あんなに硬かったんでしたっけ? 前に乗ったときにはそうは感じなかったんですけどね。

昨春デビューしたアバルト500スタンダード・モデルの日本上陸は今春。追って160psのエッセエッセ(SS)モデルが導入される予定。以下諸元は標準型。


── 乗った場所や速度の条件が違うからじゃないですか。ストロークの小さな領域ではまるで高級車のようにしっとりとしたしなやかさがあるけれど、大きな入力が入ってストロークが増えてくると、途端に硬くなりますよ。ウレタン製のバンプ・ストップ・ラバーがすぐに介入してくる仕立てになってますから。クルマの下を覗くとよくわかります。だから、飛ばすと硬い。強か。

上田 首都高速の金属ジョイント越えなどでは厳しいところが出ました。標準仕様は16インチ・タイヤですが、今日乗ったクルマは17インチという違いはあります。

── 大勢に違いはないはずですよ。16と17で。性格の違うタイヤになるわけでもないし。基本的な脚のセッティングがそうなんだと思います。

上質な革張りシートや金属製のシフトノブは欧州市場ではオプション扱いだが、日本仕様には標準装備。ヒップポイントはひょっこり高いが、イニシャルの座面後傾斜角を大きくとって、ドライバーの上体が不安定にならないように配慮している。テレスコピック調整が備わらないので、リーチはバックレスト角で調整することになる。


佐野 優秀なクルマというよりは巧いクルマ。チューニングが肝。

森口 ちっちゃなお神輿みたいなクルマ。そいやっ、そいやっって。平滑度の低い路面で飛ばすとゴムゴムしたところが出てくる。そこがオモチャっぽいというか、お祭りっぽいというか。でもね、ホットハッチに求めるもののひとつって、そういうところじゃないですか?

── 普通に使ってる分には高級感もありますしね。アバルト500は。

森口 それはすごくある。見せ方も巧い。品質、質感も伴っていて。

清水 この外装と内装だけで、だいたいもう決まりでしょう。

森口 コロっといっちゃう。

佐野 フロント・バンパーの左右にインタークーラーが入っててて、エア・アウトレットもダミーじゃない。スタイリングのためのスタイリングに終わっていない。そこもイイ。

森口 街を練り歩きたくなっちゃう。キレのあるステアリングの感触とか排気音とかね、街のなかで使っているときに気持ちがいいですよ。

小さめのタービンを使って最高出力を135psに抑えてあるアバルトの1.37リッターエンジン。性格は意図的にピーキーに演出してある。


佐野 本気で飛ばすとコワい。ボディ・サイズに対してクルマ速すぎ。ディメンションの限界超えてる?

清水 イイんだよねぇ、そこが。危うい。フェラーリ348tとか360モデナに通じるものを感じます。

森口 日本やドイツのメーカーだったら、こういうかたちでは製品化されないでしょう。それが出てくるところがイタリアのいいところです。

清水 工業製品におけるグローバリズムがこれだけ進行していてなお、こんなものが出てくる。イイなぁ。


清水、悩んでミトを1位に

── 栄えある1位に輝いたのは、21点を得たアルファ・ミトです。

清水 アバルト500とミトは迷いますねぇ。買おうかなぁというほんとに欲しい目線で見るから。それと、今日乗った個体が3台目のミトなんですが、これが図抜けて良かった。これならもう1位です。

佐野 こう言うのもなんなんですが、消去法で最高得点を入れました。消去法で生き残るアルファ・ロメオって、初めてじゃないですか? 一芸で勝つクルマの代表格だったのに、そつのなさで生き残る。上手です。

全長×全幅×全高=4070×1720×1475mm。ホイールベース=2510mm。トレッド=F:1485/R:1475mm。車輛重量=1220kg。タイヤ=215/45R17。エンジン=ターボ過給直4。総排気量=1368cc。最高出力=155ps/5500rpm。最大トルク=20.5kgm/5000rpm(normal)、23.5kgm/3000rpm(sport)。変速機=6段マニュアル。燃料タンク容量=45リッター


清水 後ろ姿を見ていて、美しいなぁと思った。ミトの印象ってそれほど良くなかったんです。ギャルのキラキラしたネイルのようなイメージが重なって、どうもピンと来なかったのに、今日の黒い1台は来た。

── 前後のライト・リングがオプションのガンメタというのも適度に落ち着いた雰囲気をもたらしていた。

森口 後姿がいいですよね。

── キュートな顔、ダメですか?

森口 可愛いらしすぎ。それと、ロールを抑えた脚が馴染みにくい。

アバルト500よりはボディサイズが2回りほど大きいミトは、ドライビング・ポジションの自由度が高い。チルトだけでなくテレスコックピットも調整が効く。ペダル関係のオフセット量も小さい。ただし、クラッチ・ペダルとフットレスト(標準)の隙間は小さめなので、底の大きな靴を履くときは注意が要る。ナビはオプション装備。


佐野 仕立て方が今風なんですよね。ステアリングもクイックだし。時流に合っていて受けがいいと思う。僕は先入観からアバルト・グランデ・プントのアルファ版でしょ、ぐらいにしか思っていなかったんですけど、脚のセッティングはぜんぜん違うし、乗り心地もいい。ドアはサッシュレス構造に変更してあるし、遮音にもお金がかかっている。グランデ・プントとは完全に別物になってました。上手いなぁと感心した。

清水 上手です。ミト、いいなぁ。僅差で500に勝利。アバルト500ほど尖っていないけど、その分、長く愛せそうということで、僕はミトを1番にしました。

── 色気もある。アイラインを変えて、お化粧を楽しむこともできる。

森口 ボディ・カラーによって印象が全然違いますよねぇ。赤、黒、白のなかで、僕は白の雰囲気がいい。赤を選ぶと丸目のテール・ライトが目立たなくなっちゃいますよね。

ミトのデビューも2008年春。日本上陸は今春。第一弾として投入されたモデルはコンベンショナルな4バルブ・ヘッドを備えた1.4リッターターボ過給エンジン付き。変速機は現時点ではMTのみ。


清水 黒、良かったなぁ。

佐野 素の状態なら285万円で買えるというのも強みですよね。

── 147の1.6を259万円で売ってますからね。それとの兼ね合いもあるし、できるだけ価格を抑えておきたかったんだと思います。

清水 156の初期物に乗り続けてきたような人にとっても救いの1台になるんじゃないでしょうかね。

佐野 走らせると、しっとりして高級な感じもある。やっぱりね、じつに意外なことに、総合評価で点を稼げるクルマになっているんですよ。




好き者は好き者らしく

── 5台それぞれについて話してもらいましたが、これだけは言っておきたい、付け加えておきたいということはありませんか?

佐野 シロッコは2.0TSIのほうが世の中では注目されているみたいですが、素性の良さがそのまますっきり味わえる1.4TSIがイイということを声を大にして言っておきたいです。標準装備のナビが30万円分だと思えば、360万円強です。

森口 乗り込んだ瞬間にスポーティ。走らせてスポーティ。爽快。

── ほかのクルマについては?

清水 アバルト500のエンジン、僕は好きです。中速回転域に明確なピークがあって、あれがなんといっても楽しい。速く感じるし。久々に空飛びそうなクルマに乗ったという実感がある。高級な内装もいい。

エンスー・ホットハッチ5台のHOT委員を務めたのは、左から佐野宗弘、清水草一、森口将之の3人。補佐役として編集部から齋藤と上田が加わった。


佐野 アバルト500はクルマの存在自体がそもそもピーキーです。

清水 排気音もいい音してるしね。

森口 かけた瞬間から賑やかです。

佐野 微笑ましいやりすぎと言いたいですね。アバルトのひとたちは好き者の気持ちがわかってる。

森口 乗せ上手。5MTのシフト・タッチもいい。ストロークも短い。

佐野 好き者が好き者であることの幸せを喜べるクルマなんですよ。

清水 アウディS3は完璧すぎるというのかな。でも、そこがたまらないというひともいるでしょうから、琴線に触れそうな人は見逃さないようにされたほうがいい。

── 何を選ぶにつけ、好き者は好き者らしくあってこそ幸せです。そういうことですかね。

話す人=清水草一+森口将之+佐野宗弘 写真=小野一秋

(ENGINE2009年9月号)

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