雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回のフォルクスワーゲン篇は、2009年の7月号に掲載されたシロッコの記事を取り上げる。当時、日本上陸はゴルフVIに遅れたが、本国ではひと足先に出ていた新型シロッコ。顔は似ていても、まったく違う低くワイドなボディを持ったクーペの走りはどうだったのか。
飛び抜けて低くワイドなスタイリング新型シロッコのアピール・ポイントは、なによりもまず、その特徴的なスタイリングにあるのだと思う。横方向のワイド感を強調したシンプルな顔つきは新型ゴルフと共通の方向性を持っているが、見る者に与えるイメージはまるで違っている。ゴルフがバック・トゥ・ザ・ベーシックスなら、シロッコにはむしろ未来に向かって開かれた前衛的な感覚がある。スタティックな落ち着きを見せるゴルフに対して、止まっていてもダイナミックな躍動感を感じさせるシロッコ。
スリー・サイズはゴルフVIより45mm長く、20mmワイドで、65mmも低い全長×全幅×全高=4255×1810×1420mm。ホイールベースこそ2575mmで共通だが、トレッドは同じ1.4リッター直4ツインチャージャーを搭載するモデルで比べても、フロントが30mm、リアに至っては60mmもワイドな前後1555/1560mmとなっており、それらの数字からも新型シロッコが飛び抜けて低くワイドなスタイリングを持っていることがよくわかる。そうは言ったって、ゴルフの基本シャシーとパワートレインを転用してつくったスタイル優先のクルマじゃないか、とタカをくくっているムキは、運転席についた瞬間、これがゴルフとはまったく違う性質のクルマであることを悟らされることになるだろう。腰掛ける感覚のゴルフのシートとは段違いに着座位置が低くなっているのだ。そのおかげで屋根が低いにもかかわらずヘッド・クリアランスはすこぶる良好だし、座っただけで早くもスポーティな気分になってくる。
フロントに横置きで搭載されるエンジンは、1.4リッター直噴直4ツインチャージャーと2リッター直噴直4ターボの2種類。そのうち後者を載せた2.0TSIからまずは試乗することになった。
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