2024.06.15

CARS

重さ1700kgをこえる4シーター・クーペが叩き出した驚異の記録、7分38秒5 日産GT-R誕生時の貴重なリポートを発掘

日産GT-Rはこうしてデビューした!

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、日本が誇るスーパースポーツ、GT-Rがデビューしたとき、日産がドイツと日本で行った試乗会の2008年の貴重なリポートを取り上げる。

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雨のニュル近辺で

日産は新型GT‐Rの試乗会を、合法的に最高速を試せる高速道路のあるドイツと、日本でもっともテクニカルなコースを持つ仙台のサーキットで開いた。自信の表れである。この2つの試乗会の両方に参加した編集長は、雨のアウトバーンと、凍てつく仙台のサーキットを全力でドライブ! その印象は?

サーキットにおけるコーナリング。限界でもまったく破綻がない。


コーナー数172、最大高低差300メートル、全長約20.8kmのドイツ、ニュルブルクリング北コース(ノルドシュライフェ)は、かつてのF1チャンピオン、ジャッキー・スチュアートをして「緑の地獄」といわしめた、世界でもっとも過酷なレーシング・サーキットである。スカイラインGT‐Rあらため日産GT‐Rは、ここでの集中的なテストを重ねることにより開発された。

そのコース沿いに走る公道を隔てた一角に日産が据えた基地に、3台のGT‐Rが待機していた。1台はこのコースで7分38秒5というタイムをたたき出した「PT2」のGT‐R、あとの2台は先行試作車で、そのどれもが右ハンドルの日本仕様である。「PT2」とは第2号プロトタイプのことで、7分38秒5というタイムは、生産車ではV10を搭載し612馬力のミドシップ・スポーツ、ポルシェ・カレラGTの7分32秒に次ぐ。先代(996型)のポルシェ911GT2の7分46秒はもとより、現行(997型)911GT3の7分47秒をも10秒近くしのぐスーパー・ラップ・タイムだ。この「北コース」のタフさを知る専門家にとって、480馬力とはいえV6ツイン・ターボをフロントに搭載する重さ1700kgをこえる4シーター・クーペによるこの記録は、驚異以外のものではない。

11月上旬、ときに冬の太陽が弱々しい陽射しを落とすとはいえ、前夜からの雨がいまだ間欠的に降り、全面的に濡れた路面の公道に出る。電子制御される「アテーサET‐S」による4WDシステムと、スピンを未然に防ぐVDC(ヴィークル・ダイナミクス・コントロール)を備えるが、アマチュア・ドライバーの手に負えるのか、という不安がないわけではない。しかし、「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフが楽しめる」ことをうたった日産いうところの「マルチパフォーマンス・スーパーカー」であるGT‐Rは、そんな不安をステアリングを握った一瞬ののちに吹き飛ばした。それほどのクルマだった。

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