2024.05.16

CARS

「脳ミソがトロットロに溶け出したみたいな恍惚感が味わえる」 モータージャーナリストの大谷達也がポルシェ911GT3 RSなど5台の輸入車に試乗!

モータージャーナリストの大谷達也さんがエンジン大試乗会で2台の輸入車に試乗!

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ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xe「これはあり!」

「ラングラーにプラグイン・ハイブリッドなんて“けしからん”!」なんて当初は思っていたけれど、これが乗ってみるとびっくり仰天。姿勢がフラットに保たれるのにゴツゴツ感の薄い乗り心地は、前後ともリジッド・アクスルであることが到底信じられないほど。ハンドリングにしても、切り始めのところに多少の遅れが感じられたものの、これにはスタッドレス・タイヤを履いていた影響もあったはず。いっぽうでEV航続距離はWLTCで42kmもあるから、条件次第で最初の1時間近くはエンジンをかけずに走ることだってできる。そんな未来感覚が、洗練された仕上がりのシャシーの印象と意外なほどマッチしていることには驚くばかり。環境に優しいプラグイン・ハイブリッドを採用したのも、自然豊かな大地に足を踏み入れるクロカン4WDの宿命を考えれば当然かもしれない。そんなときには、低速域でモーターが生み出してくれる強力なトルクが頼りになるはず。だから、試乗を終える頃には「うん、ジープにもプラグイン・ハイブリッドはアリだな」なんて思い始めているほどだった。




ミニ・ジョン・クーパー・ワークス「大人を元気に!」

“ゴーカート・フィール”のハンドリングを生み出すため、サスペンションをハードに締め上げたモデルが少なくないミニ。そのなかでも、いちばんヤンチャなグレードがジョン・クーパー・ワークスだから、もしも本気で足まわりをガチガチに固めていたらまともに走れるはずがないと覚悟していたのだけれど、最新モデルは意外なほど足まわりがしなやかで快適だったうえ、ハンドリングもブレーキ・トルク・ベクタリングをガンガンに効かせていたかつてのセッティングとは大違いで、自然なロールを伴いながら滑らかにターンインしてくれる。おかげでロード・ホールディングが格段に向上し、路面が荒れたワインディング・ロードでも安心してハイ・アベレージを保てたほど。最高出力231 psの2リッターエンジンだって気難しいところは一切なく、踏めばいつでもどこでもパワーが湧き出てくる。ここまで一気にミニが洗練されたのは、きっとBMWの現行型2シリーズと共通のプラットフォームを採用した恩恵 だろう。オトナ に なったミニ は 、オトナ の あ な たをきっと元気にしてくれるはずだ。




ポルシェ911GT3 RS「全身に電気が走る」

こんなの反則技に決まっている。9000rpmまで回る超高回転型自然吸気フラット6とパワフルなエアロ・ダイナミクスの組み合わせに、レーシングカーもかくやというくらい多彩で柔軟なセッティング項目を盛りこめば、従来のロードカーをはるかに凌ぐパフォーマンスと刺激を生み出せるのは当然のこと。7000rpmオーバーまで回してワインディング・ロードを駆け抜けると、全身に電気が走ったかのような衝撃と、脳ミソがトロットロに溶け出したみたいな恍惚感を味わえる。乗り心地はロードカーとして限界的にハードだけれど、例によってポルシェの技が冴え渡っているのは、これだけ多種多様なファクターを見事に調律し、1台のクルマとして破綻なく仕上げてしまう点にある。「いつまでエンジン車を作り続けられるかわからないし、ここらで一発、派手にやるか!」というヴァイザッハの意気込みさえ感じられる911の最高到達点……といいつつ、次作であっさりこれを乗り越えたりするのも、ポルシェだったらありうるような気がしないでもない。いずれにせよ、元気になること間違いナシの1台だ。

文=大谷達也

(ENGINE2024年4月号)

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