2024.05.21

CARS

「“首ったけ”になるには絶好なマシンだ!」 西川 淳がアルピーヌA110Rチュリニほか5台の輸入車に試乗!!

モータージャーナリストの西川淳さんが5台の注目輸入車に試乗!

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DS4エスプリ・ド・ヴォヤージュ「期待を裏切らない」

クルマ好きならDSを含むシトロエン系モデルの乗り心地に関して、たとえ未経験者であったとしても、いくばくかの知識と期待を持っているはず。想像できるというか、もっというと“良いに違いない”というイメージを抱いている。だから誰もが期待して乗り込んでこられる。ハードルが上がってしまっているのだ。隣に乗せるこっちは別にシトロエン関係者じゃないにもかかわらず、心配になってしまう。新しいモデルは期待を裏切ってしまうんじゃないか、もうハイドロの時代ではないんだから……。全くの杞憂であった。「これは毎日乗っていたい乗り心地です」。助手席のEPC会員が相好を崩す。「でしょ?実にシトロエン(DS)らしい」。私の顔もなぜかほころぶ。しかも2人して確認したことには、一般道の低速域はもちろん西湘バイパスの高速域、さらには箱根ターンパイクでもその心地よさが続く。「単にふわふわしているもんだとばっかり……」。そう、柔らかいのに引き締まっている。その絶妙さが独特なのだ。ゆえに一度味わって好きになると虜になってしまう。仏車嫌いに付けたいクスリ。




ポルシェ911GT3 RS「凄まじく懐が深い」

もはやため息しかない。たとえお金があってもすぐには買えない、という現実よりも、どうしようもなくハイレベルな仕上がりにドライバーとしてまったくもって対峙できる自信がまるでないから。もちろんそんな難しく考えずに金があるなら、そしてポルシェに選ばれたなら飾っておくだけでもいい、買っておくという考え方もあるけれど、剥き出しの刃をピカピカのまま床の間に飾っておけば絶対に使いたくなるに違いないからヤバい。手練れが試すというならまだしも、素人が真剣に振ろうとするとたとえ道場であってもいらんことが起きそう。だから諦めもついて、ため息しか出ない。ハァ。ちょいと流した程度じゃ、RSに特別な性能でわかることなんてたかが知れている。せいぜいDRSオンの効く感じ(スーッと浮くように進む)くらい。あとは凄まじく懐の深いこと。公道ではどんなに頑張っても何事も起きそうにない。サーキットに行けば行ったで自分の技量以上のところへ瞬く間に達してしまいそう。限界まで行かなくても十分に速いとは思う。でも我慢できないだろうな、きっと。やっぱりヤバい。




ロールス・ロイス・ゴースト 「乗用車界の史上最高峰」

上には上があるということがゴーストに乗ればよく分かる。それまでどんなに乗り心地の良いクルマに乗ってきたとしても、ゴーストに乗ると“負けた”と知るだろう。もちろん過去には単なる心地良さで勝るモデルもあったはず。けれどもショーファーではなく完全なるドライバーカーとしてゴーストに勝るとも劣らないモデルが果たして他にあったかというと、同門のカリナンくらいしか見当たらない。間違いなく乗用車界の史上最高峰。値段が高いからそんなの当たり前、を超えてくる。こんな巨体がまるで不自由なくターンパイクを駆け上る、駆け下りる。V12エンジンは遠くの方で滑らかな音を奏で、その精緻な唸りは耳まで心地よい。そんなクルマ、他にある?

ゴーストに限らず最新RRの味わいをチョイ乗りなんかで知ってしまうと、こればかりはクルマ好きは知っておくべきレベルを超えて本当に不幸だ。なぜならそれがもう頂点だから。RRは今、若い人に人気なのだそう。若返りに成功したブランドなのだ。彼らは一生RRから離れられないことだろう。とっても羨ましい。

文=西川 淳

(ENGINE2024年4月号)

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