2024.03.20

CARS

これがメルセデスAMG S63 Eパフォーマンスに乗った自動車評論家のホンネだ!!「このクルマに乗ってフッ飛んだ! 室内はウルトラゴージャスな竜宮城である」by 清水草一

802馬力のモンスターサルーン、メルセデスAMG S63 Eパフォーマンスに、清水草一、松田秀士、金子浩久が試乗!

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今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! 2023年秋に登場したメルセデスのフラッグシップ・セダン、Sクラスのトップ・パフォーマンス・モデル「メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス」に乗った清水草一さん、松田秀士さん、金子浩久さんのホンネやいかに?

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「まさに安全なる天上界」清水草一

メルセデスは開発の主軸をEVに移した。フラッグシップはもうSではなくEQSだ。Sは脇役なのだ……。そんな思いは、このクルマに乗ってフッ飛んだ。巨大なセダンボディの内部は、ウルトラゴージャスな竜宮城である。真っ赤なレザーがダイレクトに酒池肉林を連想させる。このダッシュボードの素材は一体ナニ? 想像もつかないがとても高そうだ。



助手席には、タイトミニのウルトラいい女が足を組んでいる(妄想です)。彼女が顎をツンと上げた。全速前進の合図である。アクセルを床まで踏み抜く。最高出力802PS、最大トルク1430Nmが大地を蹴る(1430Nmは、モーターをブースト的に使うと10秒間だけ発生する)。巨体がワープのごとく加速するが、車内は平穏そのものだ。世界にどんな悲劇があろうとも、ここは安全なる天上界なのである。

いい女がつぶやく。「前のクルマ、全部抜いてちょうだい」と。了解。全部抜いたるで~!

え、EVモードで33キロ走れるって? あ、そーなのね。それはそれで便利かもしれない!

真っ赤なレザー・シートとカーボン・パネルが独特の世界観を演出する。4リッターV8ツインターボ・エンジンに交流同期モーター、さらに4輪駆動システムの「4MATIC+」を組み合わせたパワートレインを持つ。「AMG RIDE CONTROL+エア・サスペンション」を標準装備。最大3度までステアする後輪操舵システム「リア・アクスル・ステアリング」も備わる。



「あっという間にワープする!」松田秀士

コックピットに腰かけた瞬間から元気がもらえるダッシュボードのデザイン。いわゆる最近のメルセデス調の2枚の大型タブレットのようなディスプレイ。それ以外のボードはちょっとケバイぐらいの色調。さらにステアリング・ホイール上に集約されたスイッチ類が心に刺さる。

パワートレインは4リッターV8ツインターボに電気モーターを組み合わせたPHEV。F1テクノロジーを謳うその総合出力は802ps、最大トルク1430Nmと超ド級! 
0-100km/h加速は3.3秒。4マティック+の4WDシステムに後輪ステア。さらにAMG専用開発のエア・サスペンションとダンパー。この世にあるすべてのアイテムがふんだんに盛り込まれている。



アクセレレーターを踏み込めば、歩くような超低速を補うモーターパワーからいつの間にかV8内燃機関にバトンされ、あっという間にトップエンドの6000rpm超えにワープする。すさまじい加速と表現したいところだが、いたって普通に感じるのだ。スピード・メーターを確認するまではね。パワーを使い切っていても扱いやすい。そこが真のF1テクノロジーなのかも。


「だならぬ妖気を発するクルマ」金子浩久

同乗試乗の2台目はメルセデスAMG S63。乗車する前からただならぬ妖気のようなものを発しているのを2人目のEPC会員さんと一緒に感じ取った。

フラッグシップ・セダン、Sクラスのトップ・パフォーマンス・モデル「メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス」は2023年秋に登場した。エンジン単体でのアウトプットは、最高出力612ps、最大トルク900Nm。リア・アクスルに搭載される交流同期モーターは190psを発生、システム最高出力802ps、システム最大トルク1430Nmとなる。全長×全幅×全高=5336×1921×1515mm。ホイールベース=3216mm。車両重量=2595kg。車両価格=3576万円。

乗る前から、すでにボディ・カラーにやられた。「カラハリゴールド」と名付けられた、メタリックを含む金色なのだが、深みと艶が他の金色と明らかに違っている。遠くからでも存在感は抜群なのだが、近づいて見ても引き込まれてしまう。各部分のエッジにはクロムメッキが施されていて、それも普通のクロム色ではなく、やや金色掛かって見えた。「こんなところも特別仕立てですよ」とEPC会員さんが見付けたのは、トランクフード右側に貼り付けられた「S 63」のエンブレム。表面はクロム色だが、黒いはずの側面が赤。そうした特別仕立ては内外にいくつもあった。

4リッターツインターボエンジン(450kW)にモーター(140kW)が組み合わされたPHEVで、一瞬だけアクセルペダルを深く踏み込んでみた加速は超強烈だったが、荒々しさは皆無。乗り心地も洗練の極致。PHEVの電気パワーを、エコよりも走行性能にフル活用したAMGセダン。

写真=郡大二郎(クルマのメイン、サブ、リア)

(ENGINE2024年4月号)

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