2024.03.22

CARS

4月8日に販売が開始される新型GRヤリスの価格発表 新開発の2ペダル8段ATは35万円高

「東京オートサロン2024」のTOYOTA GAZOO Racing(トヨタ・ガズー・レーシング=TGR)ブースで絶えず来場者に囲まれていたマイナーチェンジで進化を遂げた新型GRヤリス。ティザーサイトでは2024年春のデビューが予告されていたため、お披露目から約2か月の間、情報を待ち続けたファンも多いはずだ。

RCを含む、3グレード展開

新型のカタログ・モデルは、「RZ」とオートサロンで平置き展示されていた上級仕様の「RZ “High-performance”」(ハイパフォーマンス)、そしてモータースポーツ参戦用車両の「RC」の3グレード。注目の価格は、RZの6段MTが448万円、新型から設定される2ペダルのAT仕様となるGR-DAT(8段AT)が483万円。RZハイパフォーマンスの6段MTは498万円、GR-DATが533万円、RCの6段MTは349万円、GR-DATが384万円となっている。なお、改良前はCVTを採用していた1.5リッター前輪駆動モデルの「RS」を除いて6段MTのみだったため、MT同士で比較するとRZは52万円高、RZハイパフォーマンスは42万円高となった。



目玉はもちろん「GR-DAT」

新型の目玉は2ペダルの新開発8段AT、「GAZOO Racing Direct Automatic Transmission」「ガズー・レーシング・ダイレクト・オートマチック・トランスミッション=GR-DAT)の追加設定だ。モータースポーツの世界では、ラリーで使われるシーケンシャル・ドグ・ミッション(機構にはMTだが、シンクロ機構がなく、エンジンとトランスミッションの回転数を合わせればクラッチ操作が不要)をはじめパドルシフトのみのF1など、速さを優先させるために2ペダル化されているのが一般的だ。

GR-DATは、「より多くの方に走る楽しさを提供し、モータースポーツの裾野を広げたい」というモリゾウ(豊田章男会長)の想いのもとに、「幅広いドライバーがスポーツ走行を楽しめ、レースでMTと同等に戦えるAT」を目指して開発されたという。

具体的には、AT制御ソフトウエアをスポーツ走行用に最適化。変速を減速Gや速度などの車両挙動だけでなく、ブレーキの踏み込み方や抜き方、アクセル・ペダルの操作まで細かく感知して行うようにした。



ドライバーの意思を先読み

また、車両挙動の変化が起こる前に変速が必要な場面を先読みすることで、ドライバーの意思をくみ取るギヤ選択が可能になるという。プロドライバーによるシフト操作と同じようなギヤ選択になるため、スムーズな加減速やコーナリングなどが期待できるのはもちろん、操舵に集中できる利点もある。

また、AT内部の変速用クラッチに高耐熱摩擦材を使用するほか、AT制御ソフトウエアの改良により、世界トップレベルの変速スピードを達成したとしている。さらに、8段ATという多段変速を用いたことでクロスレシオ化が可能になり、よりエンジンの美味しい回転域が使えるようになっている。なおRZハイパフォーマンスにはアクセル・ペダル操作による駆動力コントロール性能向上のためトルセンLSDを設定。これにより高速でのコーナリングが可能になるなど、サーキットでのタイム短縮や悪路での限界性能を引き上げている。



ドライバーファーストのインパネ

変速機以外での大きな変更はインパネ形状の刷新だ。高い運動性能を実現するための重要な要素として、レーシング・ドライバーの意見を採り入れた「ドライバーファーストなコクピット」へと改良した。

スーパー耐久シリーズ参戦車や全日本ラリー参戦車をモチーフに操作パネルやディスプレイが運転席側に15度傾けて設置されたドライバー・オリエンテッドな空間に仕立てた。さらに、ハーネスで身体をシートに固定した状態でも使いやすいスイッチ配置にされるなど、視認性と操作性も向上させている。同時にドライビング・ポジションを見直するとともに、



300ps超へ出力アップ

搭載されるパワーユニットは従来モデル同様、「G16E-GTS」型の1618cc直列3気筒インタークーラーターボを搭載。ただし出力アップが図られ、最高出力はGRカローラと同値で32ps高い304PS(224kW)/6500rpm、最大トルクはGRカローラ・モリゾウエディションと並び30Nm大きい400Nm/3250-4600rpmとなっている。 

また、冷却性能の向上に配慮した新形状のフロント・バンパーやリアのライトまわりの意匠を変更するなど、エクステリアのデザインにも手が加えられている。

TGR渾身の2ペダル・トランスミッションであるGR-DAT (8段AT)の追加設定により、より本格的なモータースポーツ走行に対応するだけでなく、真のGRヤリスといえる「RZ」系グレードのユーザーの裾野を広げた新型GRヤリス。もちろん、街中から高速道路、ワインディングまでMTで走らせたいというファンも多いはずで、引き続きMTを設定しているのは朗報以外何者でもない。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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