2024.04.20

CARS

クロスオーバーあらため、カントリーマンとなった新しいミニに試乗! キャッチ・コピーはなんと「ミニ史上最大のSUV」

ミニJCWカントリーマンALL4

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見た目も中身も、かなり大胆に進化した3代目ミニ・カントリーマン。トップ・パフォーマーのJCWと新たに加わったBEVをモータージャーナリストの島下泰久がポルトガルでテストした。


大きくなって登場したカントリーマン

商標の問題により、日本ではこれまでミニ・クロスオーバーの名で親しまれてきたが、通算3代目となる新型から、晴れて世界共通の車名、ミニ・カントリーマンで販売されることになった。それだけでも十分に大きなニュースと言えるが、この新しいカントリーマン、他にもトピックが盛りだくさんのモデルである。



すでに日本でも発表は済んでいるが、試乗の機会はもう少し先になりそうということで、赴いたのはポルトガルはリスボン。ここで最高峰のJCW(ジョン・クーパー・ワークス)ALL4、そして新登場のBEV版であるSE ALL4のステアリング・ホイールを握ることができた。

実車との初対面の印象は「大きくなったな」というものだった。実際、JCWで全長4445mm×全幅1845mm×全高1645mmというサイズは、先代よりも130mm長く、25mm広く、65mm高く、いよいよ“ミニ”サイズとは言い難いところまで成長している。キャッチ・コピーは何と「ミニ史上最大のSUV」である。



このサイズに加えてデザインも、クルマを立派に見せている要素と言えそうだ。ヘッドライトは先代よりさらに角張っているし、全体のフォルムもスクエアにまとめられている。丸い目玉に柔らかい面というこれまでのミニ像とは印象を大きく異にしており、これは様々な意見が巻き起こりそうだ。

コンセプトとして掲げられているのは“ミニ”マリズム。フレームで囲んだグリル、瞬く間にアイデンティティとして認知されたユニオンジャックを象ったテールランプといった特徴的なディテール以外のガーニッシュやエンブレムといった装飾は確かに思い切って省かれている。



インテリアも同様で、ダッシュ中央に鎮座する直径240mmの円形の有機ELディスプレイに多くの表示、操作系が集約されていて、とてもスッキリしている。もっとも簡素なわけではなく、ダッシュボードからドアにかけてはファブリックのような質感のリサイクル材があしらわれていて雰囲気は上々だし、ディスプレイの表示、そして操作音にも遊びゴコロがあって良い。おそらく外観以上にすんなり誰もがミニらしいと感じるのではないだろうか。


ミニだと憎めない

BEV版のSE ALL4は前後2モーターでシステム最高出力306ps、最大トルク494Nmと、強力なスペックを誇る。バッテリー容量は66.45kWhで、一充電走行距離は433kmとなる。

走りは期待通りに静かで滑らか。しかも0- 100km/h加速は5.6秒という通り、見た目から想像するよりはるかに速い。優れた前後重量バランス、低い重心のおかげでフットワークも軽やかさが際立つ。グイグイ曲がるというよりは、意のままにラインをトレースできるという感覚だ。

走行モードに応じて加速時のサウンドが変化するのも面白かった。ゲームっぽいとも言えるのだが、ミニだとそれも憎めないのである。

JCWの走りも、やはり大人っぽいスポーティさに仕上がっていると感じられた。2リッターターボ・エンジンのスペックは最高出力316ps、最大トルク400Nmに達し、7段DCTとの組み合わせになることもあり、走りは小気味良さが際立つ。とりわけ「GO-KART」モードでの鋭いレスポンスとサウンドは気分を大いに盛り上げる。

巨大な円形ディスプレイが目を惹く室内。



ボディはこちらも剛性感高く、そこにストローク感はほどほどのサスペンションを組み合わせた乗り味は、これぞゴーカート。ただし、むやみに跳ね回るわけではなく、接地感は十分にあるし乗り心地も悪くないから、長い距離を走った今回の試乗も、最後まで疲れ知らずで楽しめた。

最初に写真と車両情報を見た時には正直、理解が難しいと思っていたミニ・カントリーマンだが、実車と対面してこれはこれで、ミニ・ファミリーの一員としてはアリだと感じられるようになった。ミニマリズムというコンセプトは今の時代に合っている気がするし、室内は広く荷室も大きい。何よりミニらしいヒエラルキーから逸脱した存在感は、十分備えていると感じられたからである。早く日本の路上で改めて対面してみたい。

文=島下泰久 写真=MINI


■ミニJCWカントリーマンALL4
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4445×1845×1645mm
ホイールベース 2690mm
車両重量 1680kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1998cc
最高出力 316ps/5750rpm
最大トルク 400Nm/2000-4500rpm
トランスミッション 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション (前)マクファーソンストラット+コイル
        (後)マルチリンク+コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前) 245/40R20
   (後) 245/40R20
車両本体価格 667万円

(ENGINE2024年5月号)

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