2024.03.31

CARS

一番売れているワーゲンはこれ! フルモデルチェンジしたフォルクスワーゲン・ティグアンにモータージャーナリストの大谷達也が試乗!

フォルクスワーゲン・ティグアン

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第三世代に進化したVWのミドルSUV、ティグアンにフランス・ニースの近郊でモータージャーナリストの大谷達也が試乗した。

ブランドの肝

「電動化まっしぐらのフォルクスワーゲンが、エンジン車のフルモデルチェンジをすることなんか、もう二度とないんじゃないか?」 私は勝手にそんな懸念を抱いていたが、彼らの電動化戦略は「2033年から2035年の間に欧州市場向けに最後の内燃車を生産する」というもの。つまり、それまでにまだおよそ10年が残っているわけで、モデルサイクルによってはあと1回くらいフルモデルチェンジをしてもおかしくない状況にある。

プラットフォームは上位のパサートも用いるMQBエヴォを採用し、多彩なパワートレインを設定。日本仕様のラインナップはディーゼルのTDI R-Lineと48Vマイルド・ハイブリッド・ガソリンのeTSIになる見通しだという。

2023年、およそ7年振りにフルモデルチェンジして3世代目になったティグアンはその代表的な存在といえる。なにしろ、数あるフォルクスワーゲン車のなかで、グローバルでもっとも売れているのがティグアンなのだ(2022年のデータ)。ちなみにゴルフはランキング4位、ポロは6位と聞けば、古くからのフォルクスワーゲン・ファンは卒倒するに違いない。

新型ティグアンの国際試乗会が開かれたのはフランスのニース周辺。一般道を走り始めてまず感じたのは「乗り味の基本路線はゴルフVIII以降のモデルと同じ傾向。ただし、質感はより向上した」となる。



伝統的に、フォルクスワーゲンといえばなによりもドッシリと腰の据わったハンドリングと、乗り心地に特徴があって、その安心感と品質感がブランドの肝だと信じていた。それが変化し始めたのがゴルフVIIIで、軽快なハンドリングを追求したせいか、少しポンポンと軽く弾むような乗り心地に変わったほか、以前だったら絶対に感じなかった大入力時の微振動が見受けられるようになった。具体的には、路面からドーンと突き上げられるような衝撃を受けたとき、ボディか足まわりのどこかに、かすかな微振動が残るようになったのだ。



いっぽうの新型ティグアンは、軽く弾むような乗り心地は基本的に継承しながらも、そのなかに、かつてのフォルクスワーゲンを彷彿とさせる“落ち着き感”がブレンドされるようになった。そして、それ以上に歓迎したいのがボディや足まわりのガッシリ感が甦ったこと。これなら、フォルクスワーゲンらしさがかなり戻ってきたといってもいいように思う。

1.5リッターのガソリン・エンジンは、本国では以前から設定されていたミラーサイクル仕様をベースに、バルブタイミングの可変幅を広げたり、スターター・ジェネレーターをパワーアップするなどの改良を受けた最新型で、日本にも同じ仕様が導入される見込み。試乗すると、ミラーサイクルらしい線の細さがなきにしもあらずだったが、そこはモーターがうまくカバーして、スムーズな吹け上がりと良好なドライバビリティを実現していた。



いっぽうの2リッターディーゼルは、持ち味の力強さはそのままに、スムーズさと静粛性に磨きが掛けられて、さらに魅力的なパワートレインとなった。試乗したのはR-Lineだったが、これだけ吹け上がりが軽快でパワフルだったら、スポーティなグレードにもピッタリだろう。

エクステリアは品質感がぐっと向上し、不評だったインフォテイメント系も刷新された新型ティグアン。しばらくはナンバーワンVWの座を維持しそうな気配だ。

文=大谷達也 写真=フォルクスワーゲン

(ENGINE2024年5月号)

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