2024.04.10

CARS

6代目に進化した新型メルセデス・ベンツEクラスにモータージャーナリストの高平高輝が試乗! ZOOM会議もできる! センターから助手席までつながる巨大なディスプレイを採用

メルセデス・ベンツE350eスポーツ・エディション・スター

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先進性が際立つインテリア

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電気自動車(BEV)のEQシリーズのモチーフを取り入れたというフロント・グリルや格納式ドア・ハンドル、星形に光るテールランプなどは新しいが、ロングノーズに対してショート・オーバーハングに加え、キャビンが後方に寄った全体的なプロポーションは現行SクラスやCクラス同様、誰が見ても間違いようがないメルセデスの正統派スタイルである。

今回のモデルチェンジでもボディはわずかに大きくなり、全長×全幅×全高は4960×1880×1470mmと先代に比べてそれぞれ+20mm、+30mm、+15mm拡大したが(2960mmのホイールベースも+20mm)、それでもぎりぎり全長5mと全幅2m以内に収まっている(セダンとワゴンは同寸)。

奇をてらわないオーソドックスな外観に比べて先進性が際立つのがインテリア、そしてその中身のシステムである。

E350eにはブラウンオープンポア・メープルウッドトリム(アルミのアクセントライン付き)が標準。MBUXスーパースクリーンはデジタルインテリア・パッケージに含まれるオプション。レザーエクスクルーシブ・パッケージと同時装着となる。

センター部から助手席側までつながるディスプレイは「MBUXスーパースクリーン」と称するもので、EQSなどのハイパースクリーンとは違ってメータークラスターは独立式だが、それよりも一歩進んだ第3世代のMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)を内蔵しているという。

何とダッシュ上部に設置されたセルフィー&ビデオカメラ(ドライバーモニタリング用は別にある)を使ってZOOM会議もできるらしい。

実は新型Eクラスはメルセデスの新しい車載オペレーティングシステム「MB.OS」を搭載しており(まだ部分的だというが)、メルセデス純正以外のアプリにも対応している。



このスーパースクリーンとセルフィー・カメラはデジタルインテリア・パッケージに含まれるオプションで、レザーエクスクルーシブ・パッケージと同時装着する必要があるのでこれだけでおよそ120万円もするが、詳しくない人には保守的と見られがちなメルセデスの中核モデルは実はきわめて先進的である。

また、これまでは「ハイ、メルセデス」と呼び掛けて起動しなければならなかった音声アシスタントは、単に「窓を開けて」などと言うだけで応えてくれる。このジャストトーク機能はドライバーだけが乗車の場合に作動する(センサーで検知)という具合に抜かりはない。



E350eには明らかな違い

2リッターのガソリン・ターボとディーゼル・ターボのスペックは事実上従来型と変わらないが、ISGのモーター出力が15kWから17kWに若干強化されたこともあり、動き出しは身軽で実用域では非常に扱いやすいが、高回転までモリモリ力が湧き出るタイプではない。

それに比べてPHEVのE350eはさすがに力強く、2240kgの車重をものともせずに加速する。E350eはオプションのエアマチック・サスペンションや後輪操舵(ドライバーズ・パッケージは当面E350eにのみ設定)を備えており、敏捷さだけでなくしなやかな乗り心地という点でも他のモデルとは明らかな違いがあった。

E350eはPHEVとして補助金の対象になるためにベーシックなE200との価格差は実質ほとんどないという“推し”モデル。

ちなみにE350eは容量25・4kWhのリチウムイオン電池を搭載し、EV走行距離はWLTCモードで112kmという。急速充電(60kWまで)と普通充電(6kWまで)のどちらにも対応しており、またV2HとV2L機能も搭載、と日本市場を十分に意識した仕様である。

コンベンショナルなサスペンションを備えるE200とE220dの試乗車はどちらも走行100kmに満たない下ろし立ての新車だったせいもあるのか、低速ではやや渋く突っ張った感じで滑らかとは言えない乗り心地だった。ただし高速道路では期待通りのフラットさを取り戻したのでもう少し様子を見たいというのが正直なところ。

従来型を踏襲した2リッター4気筒ディーゼル・ターボ(ISG付き)を搭載するE220d。

そもそも現在はパワートレインや仕様が限られているが、今後続々と増えていくのは明らかであり、メルセデスはEV一本足打法を採ることなく、ユーザーの多様な要望に応えていくはずである。何と言ってもEクラスはメルセデスの大看板、しかも進取の精神にあふれた定番商品なのである。

文=高平高輝 写真=望月浩彦

■メルセデス・ベンツE200ステーションワゴン・アバンギャルド
駆動方式 フロント縦置きエンジン+モーター 後輪駆動
全長×全幅×全高 4960×1880×1470mm
ホイールベース 2960mm
トレッド 前/後 1630/1645mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1860kg(前980/後930kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vターボ+モーター
総排気量/ボア×ストローク 1997cc/83.0×92.3mm
最高出力 エンジン(モーター) 204ps/5800rpm(23ps/1500-2500rpm)
最大トルク エンジン(モーター) 320Nm/1600-4000rpm(205Nm/0-750rpm)
システム総合出力 ―
変速機 9段AT
サスペンション形式 前後 マルチリンク式+コイル・スプリング
ブレーキ 前後 通気冷却式スチール・ディスク
タイヤ(装着サイズ 前/後) 225/55R18(245/45R19 102Y/275/40R19 105Y)
車両価格(税込) 928万円

■メルセデス・ベンツE220dアバンギャルド
駆動方式 フロント縦置きエンジン+モーター 後輪駆動
全長×全幅×全高 4960×1880×1470mm
ホイールベース 2960mm
トレッド 前/後 1630/1645mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1870kg(前1010/後910kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vディーゼル・ターボ+モーター
総排気量/ボア×ストローク 1992cc/82.0×94.3mm
最高出力 エンジン(モーター) 197ps/3600rpm(23ps/1500-2500rpm)
最大トルク エンジン(モーター) 440Nm/1800-2800rpm(205Nm/0-750rpm)
システム総合出力 ―
変速機 9段AT
サスペンション形式 前後 マルチリンク式+コイル・スプリング
ブレーキ 前後 通気冷却式スチール・ディスク
タイヤ(装着サイズ 前/後) 225/55R18(245/45R19 102Y/275/40R19 105Y)
車両価格(税込) 921万円

■メルセデス・ベンツE350eスポーツ・エディション・スター
駆動方式 フロント縦置きエンジン+モーター 後輪駆動
全長×全幅×全高 4960×1880×1485mm
ホイールベース 2960mm
トレッド 前/後 1625/1605mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 2170kg(前1000/後1240kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vターボ+モーター
総排気量/ボア×ストローク 1997cc/83.0×92.3mm
最高出力 エンジン(モーター) 204ps/6100rpm(129ps/2100-6800rpm)
最大トルク エンジン(モーター) 320Nm/2000-4000rpm(440Nm/0-2100rpm)
システム総合出力 312ps
変速機 9段AT
サスペンション形式 前後 マルチリンク式+コイル・スプリング
ブレーキ 前後 通気冷却式スチール・ディスク
タイヤ(装着サイズ 前/後) 245/40R20 99Y/275/35R20 102Y
車両価格(税込) 988万円

(ENGINE2024年5月号)

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