2024.09.28

CARS

ヴァレンティノ・バルボーニというテスト・ドライバーを知っていますか? 限定250台の後輪駆動ランボ、ガヤルドLP550-2ヴァレンティノ・バルボーニは、どんなランボルギーニだったのか?

4WDガヤルドがミドル級のボクサーだとすれば、ヴァレンティノ・バルボーニはフライ級のチャンピオン・ボクサーだ!

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【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2009年11月号に掲載されたランボルギーニ・ガヤルドLP550-2ヴァレンティノ・バルボーニのリポートを取り上げる。かつてランボルギーニにひとりのテスト・ドライバーがいた。男の名はヴァレンティノ・バルボーニ。その名前はいま、当時もっとも刺激的と言われた2WDのランボの名前にもなったのである。

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勤続40年の男

ヴァレンティノ・バルボーニは1967年にランボルギーニに入社した。ランボの本拠、サンタガタの近郊に生まれ育ち、ランボの工場を横目にしながら自転車通学していたかれはある日、ミウラを工場敷地に入れるために手押している労働者たちを見て、手伝ったことがある。あこがれのクルマだったからだ。そんなわけで、学校を卒業するとすぐ、フェルッチョにかけあった。そして、組み立て工の職を得たのだ。



当時、ランボは景気がよかった。1968年にはミウラを中心に353台がライン・オフし、翌年にはジュネーヴでショウ・デビューを飾ったマルチェロ・ガンディーニ・デザインのうつくしい4座グラン・トゥリズモ、エスパーダが大ヒットする。いい時代だったのだ。

若きヴァレンティノはやがて、ライン・オフしたクルマを試運転する仕事をまかされるようになる。そして、天性のドライビング・センスを見出され、テスト部門に異動する。2007年に退職するまで、カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴといった偉大なスーパーカー開発の第一線に立ってきたかれは、いまランボのクラシック部門のコンサルタントとして活躍している。

アルミ・スペース・フレームのシャシーに、アルミと樹脂のボディ・パネルを与え、車重は1430kgと、4WDのLP560-4よりおよそ100kg軽い。変速機は6段MTまたは6段セミATで、こんかいのテスト車はセミAT仕様だった。サスペンションは前後ともダブル・ウィッシュボーン/コイルとオーソドックスだ。0-100km/hを4秒でカバーし、320km/hの最高速をたたき出す。


この夏に発表されたかれの名を冠したクルマ、ガヤルドLP550-2ヴァレンティノ・バルボーニは、250台限定の特別なモデルであり、ランボ首脳陣からの、かれの長年の貢献に報いるサプライズとしての贈物でもある。そして同時に、「すべて4WD」を旗印にしてきたアウディ傘下に入ってからのランボの、あたらしいポリシーの先駆けでもあるに違いない。センターとフロントのディファレンシャルをとれば、間違いなくより軽いランボがつくれるはずであり、それはコストの圧縮やクルマの「エコ」化のうえで、なんらかの可能性を開くかもしれない、とかんがえたのではないだろうか。

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