2023.12.09

CARS

【保存版】ロータスの凄いヤツのようなシャープなハンドリングのマクラーレンと金切り声を上げてブン回る多気筒エンジンのガヤルドの対決!【『エンジン』蔵出しシリーズ/マクラーレン篇】

雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は「マクラーレン篇」と題して、英国のマクラーレンが放った久々のロード・カー、MP4-12Cがついに日本上陸した時の2012年11月号の記事を取り上げる。その当時、時を同じくして、イタリアからは、ランボルギーニ・ガヤルドの最新モデル、スーパー・トロフェオ・ストラダーレが上陸しており、600馬力級のミドシップ・スポーツ2台を比較試乗するという超贅沢な機会を得た。会津の古戦場ならぬワインディングでの一騎打ちの様子をお届けしよう。

座らせて欲しいとせがむお姉さん


村上 今回の比較テストは久々に東北道を北上して、会津の地を目指した。道中、停まるごとにこの2台に対する注目度の高いことといったらなかった。さすがはスーパーカー、老若男女を問わず誰をも惹きつけるオーラを放っている。

齋藤 ガソリン・スタンドで働く若いお姉さんも、サービス・エリアで観光バスから降りてきた高校生も、ランボルギーニだけでなく、マクラーレンまで知っていた。びっくりするとともに、スーパーカー健在と感じてうれしくなったよ。

2012年当時のマクラーレンMP4-12Cの価格は2790万円。


村上 なにしろ深紅とオレンジの2台が爆音を放ちながら走ってくるのだから、目立たないわけがない。ここまで派手だと、寄ってくる人たちも遠慮がなくなるらしい。写メはもちろん、なかには座らせて欲しいとせがむお姉さんもいて、やっぱり、スーパーカーは世の中の共有財産、いってみればクルマ界の世界遺産みたいな存在なんだと改めて思った。

齋藤 クルマという機械に対する、昔は誰しもが抱いた憧れと情熱が、そこにはまるまる残っている。

村上 それでいて、見掛け倒しだったら、拍子抜けするけれど、今回の2台は見た目も中身も紛れもない、もっか最先端を行くスーパー・スポーツだったから、乗っていて、誇らしかったし、どんどん写真を撮って、運転席に座って、世の中に広めてもらいたいという気分になった。

乗り心地にびっくり!

齋藤 マクラーレンンMP4-12Cにはびっくりした。乗り心地の優しいこと。フェラーリ458でも乗り心地の良さに驚いたけれど、マクラーレンはさらにその上を行く。独自の電子制御可変ダンパーが驚異的な働きをしているとしか思えない。

村上 あれは“プロアクティブ・シャシー・コントロール”というシステムで、4輪のダンパーの油圧経路を繋いで、相互に関連させながら制御している。かつて、ヤマハが開発して、アウディRS6が採用したXリアスにも似た機構だけれど、対角線上の2つだけではなく、4つすべてを関連づけて統合制御しているところが新しい。詳しい仕組みは分からないけれど、本国の広報担当者は、イギリスの荒れたカントリー・ロードがこの乗り心地を作ったんだと言っていた。



齋藤 効果が絶大なのは乗れば分かる。路面の凹凸を緩やかに易々といなしていく。柔らかいというよりも、路面の変化に合わせて積極的に足を動かしているような感じさえするほど。ほかにあんな乗り心地のクルマはほかにないよ。高級サルーンまで含めて考えてもね。それでいて、必要な時には必要なだけ締まってくる。マジックみたいだったな。

村上 一方のランボルギーニ・ガヤルド・スーパー・トロフェオ・ストラダーレが、いかにも古典的な締め上げた脚の持ち主だったから、ますますマクラーレンに新しさを感じることになった。ガヤルドは路面の荒れを強引に押さえつけて乗り越えていくスタイル。対するマクラーレンは、押せば引く、引けば押すで、路面の細かな凸凹をすべて飲み込んでいくような感じだ。

齋藤 あれは、F1の最前線で戦っているマクラーレンならではの発想でしょう。レーシング・コースのシケインなどで縁石越えをいかにスムーズにこなすかでタイムが変わることに目をつけたマクラーレンは、真っ先に特殊なダンピング・ロジックを開発して採用した経緯がある。縁石に乗ると、通常よりもずっと柔らかくスイッとストロークするシステムだった。あれを思い出す。

▶エンジン・バックナンバーおすすめ記事をもっと見る

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement