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2024.08.20

CARS

狂暴な乗り物だと覚悟すべし！　ガヤルドLP550‐2は、どんなランボルギーニだったのか？　この“暴れ牛”を御するには相当なウデが要る

村上政

ランボルギーニ・ガヤルドLP550‐2に雨の上海サーキットで乗る！

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ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2011年2月号に掲載されたランボルギーニ・ガヤルド・シリーズに新たに加わった後輪駆動モデルのLP550‐2のリポートを取り上げる。エンジン編集部のムラカミが駆けつけたのはアジア試乗会の舞台となった上海国際サーキット。中国屈指のグランプリ・サーキットで550馬力の後輪駆動ガヤルドはどんなパフォーマンス見せたのか？

中国のモータースポーツ界のメッカ

ランボルギーニ・ガヤルドLP550‐2のアジア・パシフィック試乗会が上海国際サーキットで開かれると聞いて、すぐさま参加したいと手を挙げたのには、ふたつの理由があった。



ひとつは、ひと月前に袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで試乗した時には、雨が降っていた上に回転数を抑えるよう指示されるなど制約が多く、十分に走らせることができなかったため。そしてもうひとつは、テクニカルな高速コースだと評判の上海サーキットを一度自分で走ってみたいと思っていたからだ。

ヘルマン・ティルケのデザインで2004年に完成し、以来、7回のF1を含む数々の国際レースの舞台となってきた中国のモータースポーツ界のメッカは、想像していたよりさらに立派な、いかにも中国らしいスケールの大きなサーキットだった。

ガヤルドLP550-2はLP560-4と同じ外観および内装を持つ。デザインの遠うアルミホイールとLP550-2のバッヂが唯一の識別点だ。

収容観客数は20万人。とはいえ、今回の試乗会で使われたのは、“上”の字をかたどった全長5.451kmのコースの下の横棒を除いた部分。すなわち、1.175kmのバックストレートを除いた約半分ほどだったが、それでも、カタツムリのようにクルクル回り込んだ1、2コーナーをはじめ、テクニカルな上海サーキットのコース・レイアウトの面白さを十分に楽しめるようになっていた。

間髪入れずに後輪が横滑り

残念ながら、路面はまたしてもウェット。そぼふる雨の中、インストラクターが運転する前走車に引っ張られて走る形式で試乗会は始まった。与えられた周回数は4周。ドライバーの力量に合わせて前が速度を調整してくれるから、初めてのコースでも安心して走ることができる。

とはいえ、550馬力を後輪だけで駆動するLP550‐2は、雨のグランプリ・サーキットで容易に限界走行を楽しめるような生易しい乗り物ではなかった。まずもって、フロントが軽く、4WDモデルに比べて軽快感が増しているのはいいのだが、その分、しっかりとブレーキを残しながらコーナーに入っていかないと、アンダーステアが強くてまるで曲がらない。上海の1、2コーナーを、きれいにノーズをインに向けながら駆け抜けるには、実に繊細にして正確な操作が要求された。

ミドに搭載される5.2リッターV10は最高出力＝550ps/8000rpm、最大トルク＝55.1kgm/6500rpmを発生。６段MTないしｅギアを介して後輪を駆動する。乾燥重量は1380kg。価格はMTが2303万1750円、ｅギアが2408万1750円。

そして、それ以上に難しいのはコーナーからの脱出で、ステアリングが戻りきっていないのに不用意にスロットルを開けようものなら、間髪入れずに後輪が横滑りを始める。そのままドリフト走行を楽しめるほどの余裕でもない限り、自動安定装置をオフにするのは止めた方がいい。

インストラクターから事前に注意されたのは、ブレーキを踏む前には絶対にシフト・ダウンを行なってはいけないということだった。ウェット路面ではシフト・ダウンしただけで後輪が一瞬ロックする。ホームストレートで全開にしている時には、スタートラインの白線に後輪が乗っただけでホイールスピンして、お尻がむずがるように左右に揺れた。

この“暴れ牛”を御するには相当なウデが要る。従来の4WDモデルとはまるで違った狂暴な乗り物だと覚悟した方がいい。だからこそ御し甲斐があると言い切れる強者だけが楽しむことができる、特別な1台だ。

文＝村上政（ENGINE編集長）　写真＝アウトモビリ・ランボルギーニ・アジア・パシフィック

（ENGINE2011年2月号）

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