2024.05.18

CARS

ちょっと古い絶版アメリカ車、モパーを愛する人たち大集合! 値段高騰! 維持は情熱! でも異端なところが好き!

集まったのはプリマス・クーダAAR(1970)、同440- 6(1970)、プリマス・ロードランナー(1970)、ダッジ・チャレンジャーRT440- 6(1970)、ダッジ・コロネット(1965)という5台

全ての画像を見る
異端者が乗るクルマ

advertisement


映画の影響も大きいと内田さんは言う。

「ちょうどアメリカン・ニューシネマの時代で“バニシング・ポイント”や“ダーティ・メリー/クレイジーラリー”などの映画にモパーが登場したんです」

そうそうと頷く木ノ本さんが続く。

「アメリカン・ニューシネマでも異端な奴がモパーに乗ってるんですよ。たとえば、スティーブ・マックイーン主演の“ブリット”。正義のマックイーンが乗るのはフォード・マスタングで、敵が乗るのが真っ黒なダッジ・チャージャーですから」

映画のなかのカーチェイスでスティーブ・マックイーンが勝つように、操縦性能という面ではシボレーやフォードに劣るようだ。

「モパーは脚がいいなんて聞いたことがない」(内田さん)。

「助手席の人がまるで船だと言った」(榎本さん)。

「トランザム・レースなどの周回レースは全然勝てなかった」(木ノ本さん)。

DODGE CHALLENGER RT440-6PACK (1970) 木ノ本尚道さんとダッジ・チャレンジャーRT-440-6(1970)/1999年に購入。7.2リッターV8。440キュービック・インチのビッグブロックです。ボディ・カラーはプラム・クレイジー。ハーストというグリップ屋が供給したピストル・グリップと呼ばれる4速マニュアルのシフトレバーが付いています。モパーの愛好家は世界中どこでもオリジナルを良しとします。デッドストックのパーツがどこにあるかなどの情報交換がすごい。ドライブにも使います。

「乗り比べるとみんなダメって言いますよね。その代わりエンジンの性能は素晴らしいって」(沼田さん)。

一方、目立つことはこの上ないそうだ。

「イベントがあると出口でカメラを構えて待っている人たちがいる」(木ノ本さん)。

「イベントで子供が見ていると、乗せてあげることもあります。富士山でイベントがあったときに、高校生を乗せたら、後に彼はプリマス・クーダを買った。先日も4歳の甥っ子を乗せたら大喜び。小さい子の感性に響くものがあるんだなあと思ったら嬉しかったです」(榎本さん)。


価格は高騰中

さて、みなさんが愛するモパーは日本でまだ買えるのか?

「タマはありますけど、めちゃくちゃ高いですよ。どんどん上がっている」(内田さん)。

「本国でもすごく高い。アメリカ人にとってのノスタルジアなんですよ。もし、この5台をアメリカに持って行ったらとんでもない価格ですよ。それから日本国内で販売されているクルマだったら大体経歴がわかります。あれは誰が乗っていたやつだとか。きちんとした状態で維持されてきた個体というのは、大体僕たちのレーダーに引っかかる。いまはそういうのが少ないかも」(木ノ本さん)。

「だからどうしても譲って欲しいという人が来ます。ところが、時間が経つと“妻が反対して”とか言ってキャンセルする人が多い。熱い思いを持ち続けるのは結構大変です。だから、ずっと乗り続けている人たちは本当に頑張っていると思います」(榎本さん)。

PLYMOUTH ROADRUNNER (1970) 沼田 真さん&貴暉君とプリマス・ロードランナー(1970)/2002年に購入。以前勤めていた会社の隣にモパーがあっていつか欲しいと思っていた。車高は下げてありますが、点火系をちょっとイジッた程度で基本的にオリジナルです。エンジンは6.3リッターV8。スタイリングとトルキーな走りが好きです。最近はイベントに行く程度です。息子が引き継いでくれたら嬉しいです。「大好きです。なんかカスタムの仕方とかがカッコイイと思います」(貴暉君)。

もうすぐ運転免許を取得するという沼田さんの息子、貴暉君はモパーをどう思っているのか?

「大好きです。ほかのクルマと違ってキャラクターがあるから」

なんとも頼もしい返事があった。

「プリマス・ロードランナーには、アニメの“ロードランナー”のステッカーが標準で付いていたりして、そういう遊び心があった。僕たちが愛するモパーが登場した時代はヒッピー文化、ベトナム戦争など、アメリカが揺れていた。過去の価値観が壊れていくなかで生まれて来たものだから、ちょっとほかのクルマとは違うのかもしれない」(木ノ本さん)。

そういうものが次の世代にも影響を与えている。だからちょっと古いクルマは面白いのだ。

「お父さんの秘密のガレージをバーンと開けたら、トヨタ・プリウスが出てくるよりモパーが出て来た方が楽しいでしょ」と木ノ本さんが最後に言った。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=神村 聖

(ENGINE2024年5月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement