2024.05.19

CARS

初代カウンタックやランチア・ストラトス 70年代のガンディーニ・デザインをオートモビル・カウンシルで堪能した

中篇(極上のランボルギーニ・ミウラとエスパーダが登場 オートモビル・カウンシル2024のガンディーニ追悼展)からの続き。【前中後篇の後編】

85歳でこの世を去った著名カー・デザイナー

今年で9回目を迎えた「オートモビル カウンシル2024」。その緊急企画として行われたのが、3月13日に85歳でこの世を去ったイタリアの著名なカー・デザイナー、マルチェロ・ガンディーニ氏の追悼展示だ。彼が遺した名車のなかから、1968年式ランボルギーニ・ミウラP400、1970年式ランボルギーニ・エスパーダ シリーズ2、1975年式ランボルギーニ・カウンタック(クンタッチ)LP400、1974年式ディーノ 308gt4、1975年式ランチア・ストラトスHF ストラダーレの5台が並べられた。ここでは、カウンタックとディーノ、ストラトスを紹介する。



スーパーカーの代名詞

大胆なウェッジシェイプで未来的なデザインを採用したカウンタックLP400。日本では1970年代に巻き起こったスーパーカー・ブームの主役としてその名を轟かせることになった。斬新なスタイルだったこともあり、市場投入までの道のりは長かった。

プロトタイプ・モデルのLP500が初めて世にその姿を現したのは1971年のジュネーブ・モーターショー。しかし、熱対策が不十分だったことから、すぐさま量産化はされず。NACAダクトなどを用いて、エア・インテークやエア・アウトレットを増設することで冷却効果を高めた量産モデルを製作。1973年にカウンタックLP400として発表され、翌年にからようやく販売が開始された。



これぞ、ザ・ランボルギーニ

LPは「縦置きミドシップ」のイタリア語表記となる「Longitudinale Posteriore」の略。ウェッジシェイプそのもののようなプロポーションや上方に開くスイングアップ・ドアといったディテールは、その後に登場したランボルギーニのフラッグシップフ・モデルであるディアブロやムルシエラゴ、アヴェンタドール、レヴエルトへと引き継がれ、ランボルギーニのアイコンとなった。

カウンタックの設計を手がけたパオロ・スタンツァーニ氏は、ガンディーニ氏によるデザインを具現化しつつ、ハンドリングを向上させるためにショート・ホイールベースにこだわった。その結果として採用されてのが、V型12気筒エンジンの前にトランスミッションとクラッチ、エンジンの後ろにデフを配置するという独特なドライブトレイン・レイアウトだ。これにより、V12をミドシップに横置きするランボルギーニ・ミウラよりも50mm短い2450mmというホイールベースと48:52という前後でほぼ均等な重量配分を実現した。LP400の生産台数はカウンタック・シリーズの中で最も少ない150台となっている。



数少ないフェラーリ系モデル

フェラーリのデザインといえばピニンファリーナが有名でその数も圧倒的に多い。そのため、長きに亘ってベルトーネに属していたガンディーニ氏が手掛けたフェラーリはかなり少ないものの、傑作があった。それが1973年にデビューした4シーター・モデルのディーノ308gt4だ。

ランチア・ストラトスにも通じる直線基調のエクステリア・デザインを採用。ウエスト・ラインが前傾し、全体として見ればウェッジシェイプだが、ルーフだけが水平となっている点が特徴で、マルチェロ・ガンディーニの天才ぶりをこのモデルのデザインにも表れている。フェラーリの308シリーズといえばピニンファリーナがデザインした2シーター・ミドシップ・ベルリネッタの人気が高いが、近年、ディーノ308gt4を好むファンも多く、ユーズドカー市場では高値で取り引きされている。



WRCを席巻した伝説のモデル

ディーノ246譲りのフェラーリ製V型6気筒エンジンを搭載していることもあり、スーパーカー・ブーム全盛時に子どもたちを熱くさせたがランチア・ストラトス。市販モデルはカウンタックLP400と同じ1974年に登場している。世界ラリー選手権(WRC)を席巻するためだけに生まれたホモロゲーション・モデルだ。

元ネタとなったのは、1970年のイタリア・トリノ・モーターショーに参考出品されたストラトスHFゼロ。カロッツェリア・ベルトーネのデザイン実験車で、完全なるショーカーだった。しかし、ミドシップというラリー競技車にとって有利なレイアウトだったことからベルトーネとランチアの間で生産化に向けての話がまとまり、まず、ランチア・ストラトスHFプロトティーポとして翌1971年のトリノ・ショーで発表された。

その後、当時のFIAグループ4のホモロゲーションに必要な400台+αが生産されることになったストラトスは、1974年から量産モデルとなるストラダーレのデリバリーを開始。ベルトーネの公式記録によると、最終的には502台が組み立てられたといわれている。

当初の目的どおり、世界ラリー選手権への参戦を果たしたしたランチア・ワークスチームのストラトスは、名手サンドロ・ムナーリ選手らがドライブし、1974年から3年連続でコンストラクターズタイトルを獲得。ガンディーニがデザインしたクルマの戦闘力の高さを見事に証明した。



文=高桑秀典 写真=ENGINE編集部

(ENGINE WEBオリジナル)

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