2024.07.07

CARS

このクルマがどれほど凶暴かを思い知った! ジャーナリストの大谷達也が、新型アストン・マーティン・ヴァンテージを公道とサーキットで試乗!

新型アストン・マーティン・ヴァンテージ

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飛躍的なパワーアップ

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TC3で何周かするうち、「じゃあ、TC4だとどうなるんだろう?」という当然の疑問が生じてきた。そこでTC4に切り替えて、それまでと同じ調子でスロットルペダルを踏み込んだところ、予想に反して簡単にハーフスピンを喫してしまった。これまで、トラクションコントロールを切っていない状態でスピンをしたことがなかった私は、これで完全に狼狽した。幸い、マシンはコース上に留まっていたのですぐに復帰できたものの、心のなかでは「私にはTC3までしか操れないのではないか?」という不安が渦巻いていた。







しかし、あとで冷静になって考えてみれば、運転がトラクションコントロール頼りになって、スロットルワークが乱暴になっていることに思い至った。ここは一度、基本に立ち返るべきと反省してから走り始めると、最終的には完全オフのTC8でもスムーズなドリフト走行が楽しめるようになったのである。

ちなみに新型ヴァンテージに搭載されたメルセデスAMG製V8ツインターボ・エンジンは、アストン・マーティン社内のエンジニアたちの手により、従来型の510psから665psへと飛躍的なパワーアップを果たしている。これでは、いくらトランスアクスル方式を採用して前後重量配分を50:50に揃えても、2本のリア・タイヤだけで十分なトラクションを得るのは不可能に近い。つまり、このクルマがどれほど凶暴かを意識することなく粗雑なドライビングをした私が悪いのであって、新型ヴァンテージに罪はなかったのだ。

だから、皆さんがもしも新型ヴァンテージでレーシング・コースを走る機会があったら、肝に銘じておいて欲しい。公道での従順な振る舞いをサーキットでも期待するのは無謀であるということを……。

文=大谷達也 写真=アストン・マーティン



■アストン・マーティン・ヴァンテージ 
駆動方式 フロント縦置エンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4495×1980×1275mm
ホイールベース 2705mm
トレッド(前/後) 1665/1655mm
車両重量 1745kg
エンジン/モーター形式 水冷V型8気筒DOHCターボ
排気量/電池容量 3982cc
最高出力 665ps/6000rpm
最大トルク 800Nm+2000-5000rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション (前)ダブルウィッシュボーン
 (後)マルチリンク
タイヤ・サイズ(前/後) 275/35ZR21/325/30ZR21
ブレーキ (前/後)通気冷却式ディスク/ディスク
車両本体価格 2690万円

(ENGINE2024年7月号)

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