2024.07.08

CARS

懐かしいF1カーが激戦を繰り広げる究極のジェントルマン・レース、モナコ・ヒストリックGPで、日本人が2度目の優勝! モナコの空に"君が代"が響きわたった!

スタートで一旦は3番手にポジションを下げた久保田さんのロータス72(No.2)。

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世界3大レースの1つに数えられるF1モナコ・グランプリ。その市街地コースを舞台に行われる究極のヒストリックF1レースで今年、日本人エンスージァストが2度目の優勝を成し遂げた。

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ドラマチックなレース


戦前期のグランプリ・マシンから、1980年代のF1までを対象に、F1モナコ・グランプリの市街地コースそのものを使って2年に1度開催されるモナコ・ヒストリック・グランプリは、世界で最も敷居が高く、華やかで、過激な究極のジェントルマン・レースである。

さる5月10日から12日にかけて行われた第14回大会にも世界中から8カテゴリー212台のマシンと腕利きの猛者たちが集まったのだが、そこでなんと06年から参戦を続け、14年には日本人初優勝を遂げた久保田克昭さんが、66年から72年までのF1マシンを対象としたセリエDで72年型ロータス72を駆り、10年ぶり2度目となる優勝を果たしたのである!

2度目のモナコ制覇を達成した久保田さん。


そのレースがまたドラマチックだった。今回、62年型ロータス24F1で1961年から65年までの1.5リッターF1で競われるセリエBにもエントリーしていた久保田さんは、金曜の練習走行ではセリエBで9番手、セリエDで2番手と好調をキープ。その勢いで土曜の予選に臨んだところ、セリエBではギヤボックス・トラブルが起き15番手。2番手タイムを記録したセリエDでは、さらにタイム更新を狙った終盤のタバココーナーでガードレールに接触し、大きなダメージを負ってしまったのだ。

土曜のクラッシュから見事な復活を遂げた久保田さんのロータス72。場内放送が「カツ・クボタ」と連呼するほど、ヨーロッパでは有名な日本人ヒストリックF1パイロット。


これで万事休すと思われたのだが、なんとか走らせようとメカニックたちが突貫修理を敢行。見事2台とも日曜のグリッドに並ぶことができた。その気持ちに応えるように久保田さんはまずセリエBを12位でフィニッシュ。迎えたセリエDの決勝では、スタート後の加速が伸びず3番手にドロップしたものの、リヤウイングが傾いだ手負いのマシンでファステスト・ラップを連発。直前でトップを走るマシンがスピンするアクシデントも冷静に切り抜け、見事2度目の優勝を果たし、モナコの空に再び"君が代"を響かせたのである。

また今回は1973年から76年までのF1で競われるセリエEと、81年から85年までの3リッター自然吸気F1で競われるセリエGにもう1人の日本人として鳥羽豊さんも初出場。最も過激で猛者だらけのセリエGで81年型ウィリアムズFW07Cを駆り予選12位、決勝でも一時は9位に上がる走りを見せ、日本のジェントルマン・レーサーのレベルの高さを世界に見せつけた。

文・写真=藤原よしお 写真=藤原功三

(ENGINE2024年7月号)

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