2024.06.07

CARS

メルセデスAMG G63を上回る貫禄 新型ロールス・ロイス・カリナン・シリーズIIにブラッグ・バッジ登場

マイナーチェンジを受けてシリーズIIにアップデートされたロールス・ロイス初のSUVである「カリナン」に、ビスポーク(注文仕様)である「ブラック・バッジ・カリナン・シリーズII」も同時に英国本国で発表された。大胆な解釈でロールス・ロイスをドラマチックに表現したという内外装が最大の見せ場だ。

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存在感抜群のフロント・マスク

外観で目を惹くのは、存在感抜群のフロント・マスク。ブラックの配色はもちろんのこと、低く設計されたエア・インテークには、幾何学的な模様が取り入れられていて、ダイナミックなキャラクターが強調された。その上部には、お馴染みのパンテオン・グリルが配されていて、マイナーチェンジを受けたベース車と同様に、初めてライトアップ機能が加えられている。



スピリット・オブ・エクスタシーもブラック

ボンネットに鎮座するマスコットの「スピリット・オブ・エクスタシー」も含め、エクステリアのディテールはすべてブラック仕上げ。「ブラック・バッジ」で初めて、ウィンドウまわりとドア・ハンドルまで幅広くブラックで統一された。これらの各パーツは、職人の手作業で仕上げられていて、まず、ハンドル全体に軽い研磨剤を送付して耐用性のある下地を作り、その上にブラック塗料を4回塗り重ねるという。硬化後、「ブラック・バッジ・カリナン・シリーズII」のハイグロスのコーチワークにマッチするように丁寧に磨き上げられる。

さらに、テールゲートやバンパーのアクセント、エグゾーストなどには、ミラーブラック効果を引き出すための特別なクロム電解液で処理されている。最終的な厚みはわずか1マイクロメートルで、人の毛髪の100分の1程だという。さらに手作業で精密に研磨された後、鏡面クロム仕上げが施されるという徹底ぶりだ。



シングル・トーンのボディ・カラー

また、ボディ・カラーの範囲をボディ下面の全域からシル部、バランサー、下部のフロント・バンパーにまで塗装することができるのも特徴。同モデルだけの特別な仕様で、視覚的に車高が下げ、一枚岩のような堅牢なフォルムがより強調されている。

足元には、「ブラック・バッジ」でも初採用となる23インチのアルミホイールがトピック。遠目では、グロス・ブラックとシルバーで仕上げられた5スポークのように見えるデザインは、実際には10スポークが織り交ぜられている。ブラック・バッジのブレーキ・キャリパーが外から見えるようになり、イメージカラーのレッドのほか、ブラックやトゥルケーゼ(青緑色)、マンダリン(オレンジ)、フォージ・イエローも選択できる。



インテリアも精悍な仕立て

インテリアには、先進的で上質な素材が多数採用されている。織り目模様が強調されたカーボン・ファイバー仕上げは、立体的な効果を生み出す幾何学的な形状の正確な反復パターンを作り出すために新たに開発された。テクニカル・カーボン製シートは、ラッカーを6度塗りした後に72時間かけて硬化され、23枚すべてに手作業で鏡面仕上げが施される。計21日間かけて仕上げられるそうだ。

後席では、リクライニング・シートの区切りでもありシャンパン・クーラーが格納された「ウォーターフォール」に、ブラック・バッジのモチーフを組み込むことが可能になっている。繊細なアルミニウム製のピースは、6層の微妙な色調のラッカーを重ねた3層目と4層目の間に配され、テクニカル・カーボンの上にシンボルが浮かび上がるような錯覚を生み出すという。ラウンジ・シートでは、刺繍でインフィニティ・シンボルが描かれる。



穴あけ加工でグラフィックを描く

シートは、ベースモデルと同様に、竹から作られた新しいレーヨン生地であるデュアリティ・ツイルをオーダーすることができる。また、インテリア全体に使われているデュアリティ・ツイルのテキスタイルには、最大220万のステッチと11マイルの糸を使った複雑な刺繍が施され、この素材に大胆なビスポーク・カラーを施すことで、写真のような鮮烈なカラーリングにすることも可能だという。

さらに、大胆な表現として、「プレースド・パーフォレーション」シートを取り入れることも可能。最大10万7000個に及ぶ0.8mmと1.2mmの穴あけ加工がレザー・シートに施され、本拠地グッドウッドの黄昏時に浮かぶ雲の形や影から着想を得たという抽象的なパターンを描く。

そのほか、ブラック・バッジならではのダークな雰囲気は、インテリアのメタル素材にも及んでいる。ダッシュボードとリア・キャビンの吹き出し口周辺は、経年や繰り返しの使用による金属の変色や変質を抑える着色法で黒く着色されている。



インテリアにもブラックのスピリット・オブ・エクスタシー

インパネのクロック・キャビネットには、アナログ式のタイムピースとライトで浮かび上がるスピリット・オブ・エクスタシー像を配置。ステンレススチールのスピリット・オブ・エクスタシーはブラック仕上げで、ボンネットのマスコットと共通の雰囲気を漂わせている。

さらに、クロック・キャビネットの隣には、カリナンの新しいイルミネーテッド・フェイシアが用いられ、新デザインの縦長シティスケープ・パターンを背景に、優美な光を放つインフィニティ・シンボルも表示される。インパネのダイヤルは、ビビッド・グレロー、ネオン・ナイツ、シアン・ファイア、ウルトラバイオレット、そして万華鏡のようなシンセ・ウェーブの5種類の近未来的なカラーが用意されている。



600psの6.75リッターV12を搭載

搭載されるパワーユニットは、6.75リッターのV型12気筒エンジンで、最高出力600ps、最大トルク900Nmを発生するツインターボを踏襲。ZF社製8段ATと4輪操舵が連動し、自慢の「マジック・カーペット・ライド」を損なうことなく、スロットルとステアリングの操作に応じたドライバーへのフィードバックを実現している。

さらに、シフトレバーの「Low」ボタンを押すと、ビスポーク・ブラック・バッジ・エキゾースト・システムの音色と音量が変化し、700rpm超から1700rpmまで発揮する900Nmものトルクを余すところなく解き放つという。「Low」モードではアクセルを90%まで踏み込むと、ギアシフトの速度が50%増加。さらにブレーキ・ペダルの遊びを少なくし、ドライバーの動きに即時に反応する。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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