2024.06.10

CARS

2座増えたのに500万円安い!? 初のミニバン、レクサスLMに3列6人乗り仕様のバージョンLを追加

これまで日本においては、アルファードやヴェルファイアが高級ミニバン市場を担っていたものの、周知のとおり、主に中国やアジアでのショーファードリブンMPVのニーズに応えるために海外ではすでに「LM」というレクサス・ブランドのミニバンを存在していた。ちなみに、初代LMは2020年に発売され、4人乗りと7人乗り仕様が設定されていた。しかし、残念ながら初代LMは日本に投入されなかったのである。しかし市場では、アルファードやヴェルファイアをレクサスLM風のデザインに変更するキットが出回るなど、レクサスLMに憧憬を抱く層も少なくなかった。

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4人乗りのエグゼクティブと2タイプに

そして、フルモデルチェンジを機に、ついに日本でもレクサスLMの導入が開始される。2023年秋の発表時は、4人乗りの「エグゼクティブ」のみだったが、今回新たに6人乗りの「バージョンL」が追加された。



運転する楽しさと乗り心地や静粛性を両立

バージョンLは、エグゼクティブ同様に「素に戻れる移動空間」をコンセプトに掲げている。6座仕様はビジネスやプライベートなど、多様な利用シーンで利用されるともに、オーナー自らが運転することも多いと想定されるので、開放感と見晴らしに配慮した多人数乗車時でもパーソナル感が得られるリラックスできるキャビンを構築しつつ、運転する楽しさと乗り心地や静粛性の両立を目指した。

シートは疲れを誘う揺れの軽減や視線の安定化に配慮。どの座席に座っても快適で自然体でいられるように、身人の動きの計測や官能評価により体の動きを細かく分析。それによって得た、頭部の揺れがとくに疲労に大きく影響するという知見を基に、骨盤を少し立て気味にすることで座面の体圧分散や体幹の保持を追求した、身体を腰で支える構造を持つシートを採用している。

1列目シートは座面の面圧分布を最適化。旋回Gの大小にかかわらず身体をホールドし、疲労を軽減する座り心地が得られる。



構造から見直す

2列目シートは、特性の異なる2種類の衝撃吸収材と柔らかな表皮を組み合わせることで、シーンを問わず乗員を優しく包み込みながら支える構造とした。路面からの入力によるシート揺れを抑えるため、クッション・フレームとレッグ・フレームの間に防振ゴムが配置され、振動を大幅に低減。アームレストは、形状を弓なり型にすることで自然なひじの高さになるよう配慮され、通常使用時もリクライニング時も無理のない体勢でリラックスできるという。クッションチルト・ランバーサポートが備わり、体格を問わず、好みに合わせた着座姿勢が得られるのも美点だ。

さらに、2列目には、オットマン付きパワーシートと頭部を支える大型ヘッドレストが用意される。包まれるような安心感と快適な乗り心地が追求され、レクサス最高級本革である「L-アニリン」により上品な触感、質感が得られる。また、最大480mmのスライド量を実現する電動スライド機構が採用。アームレストにカップホルダーやマガジンラックが備わるほか、シート下部には充電用USB端子(Type-C)も配置する。



3列目でも快適ドライブが可能

3列目シートは、2列目同様に乗員を優しく包み込みながら支え、ゆったりと座れるように背もたれと座面に厚みを持たせた。リクライニング時により自然な姿勢を保てるように、シートバックの形状が最適化されている。さらに、3列目は跳ね上げ式の格納機能を備え、2列目をリクライニングした状態でも荷室スペースを確保できる。表皮には前席シートと同じセミアニリン本革が設定され、専用のトレイや充電用USB端子(Type-C)も用意され、3列目でも快適なドライブが可能だ。

シート・アレンジでは、バック・ドア開口部のデッキ・サイドに2列目シートの操作スイッチが配されていて、荷室側から2列目シートのスライドとリクライニングが可能。2列目と干渉することなく3列目シートの跳ね上げが可能で、荷室奥行きを拡大することができる。



最上級ミニバンにふさわしい装備

最上級ミニバンにふさわしく、装備も充実ぶりも目を惹く。1列目シートバックに、乗降性にも配慮した大型バックボード・クリップを装着したのをはじめ、1列目シート後ろのレッグ部には、2列目専用のエアコン吹出口が用意されている。センターコンソール後端には、アクセサリーコンセント(AC100V)、HDMI端子、ユーティリティボックスを用意。フタ付きなので、機能性とデザイン性の高さを享受できる。

開放感の高さと見晴らしの良さに配慮しながら、前後左右に広がりのあるトリムや3列目シートからの使い勝手にも配慮したオーバーヘッド・コンソールを配し、多人数乗車時でもパーソナル感を抱かせる空間を追求。2列目シートには、スマートフォンのような形状の脱着可能なマルチ・オペレーション・パネルが備わる。また、助手席のヘッドレストは前方への可倒や上下調整が可能で、後席の開放感と見晴らしに配慮した設計となっている。



好みの環境が選べる

また、乗員に最適な車内環境の実現をサポートする「リア・クライメイト・コンシェルジュ」を装備。エアコンやシート・ポジション、サンシェード、照明などが統合制御するもので、乗員は「ドリーム」、「リラックス」、「フォーカス」、「エナジャイズ」という4種類から好みのモードを選択することが可能だ。

インテリア・カラーは、ソリスホワイトとブラックを設定。前者はカッパー色のアクセントを加えて、華やかで心地良さも得られるというモダンプレミアムな世界観が表現された。ブラックは、黒の中にダークグレーを加えることでニューフォーマルなムードを漂わせている。また、リアのスライド・ドア・トリムには、コントロールパーフォレーションが施された表皮が配され、精緻なグラデーションの現代的な柄のパンチングから、レイヤー構成の金属調加飾を透かせることで、先進的でモダンな雰囲気を漂わせている。



前後で違うコンテンツが楽しめる

もちろん、エンタメ関連も充実。「レクサスプレミアムサウンドシステム」として、「マークレビンソン・リファレンス3Dサラウンド・サウンド・システム」(21スピーカー)を用意。スピーカー配置の最適化と音質チューニングをすることで、奥行き感のある包み込まれるようなサウンド空間を享受できる。

また、1列目スピーカーと2列目以降のスピーカーから異なる音声出力ができる独立モードが新たに設定されたのも朗報で、これにより1列目と2、3列目で別々のコンテンツを楽しむことができる。全席で共通のコンテンツを視聴する連動モードでは、ハイレゾ音源の再生にも対応する。そのほか、オーバーヘッド・コンソール格納式の14インチディスプレイを標準装備。TV視聴やHDMI、USB、Miracast接続によるコンテンツ視聴にも対応している。

パワートレインは、エグゼクティブと同じ2.4リッター直列4気筒ターボ+1モーターに後輪駆動用の1モーターを加えた4WD式のハイブリッド・システムとなる。

価格は、エグゼクティブより500万円安の1500万円。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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