2024.07.04

CARS

フェラーリが内燃機関からEVまで生産できる新しい生産拠点を聖地マラネロに建設 

写真=Duccio_Malagamba MCA

フェラーリが聖地マラネロに建設した新しい生産拠点となる「e-ビルディング」の落成式が行われた。オープニングを祝したイベントには、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領をはじめ、ジョン・エルカーン会長、ピエロ・フェラーリ副会長、ベネディッド・ヴィーニャCEOらが参列した。

最新鋭の生産拠点

e-ビルディングは、現在拡張中のフェラーリの敷地内北側に建てられた、内燃機関(ICE)、ハイブリッド車、EVを生産する最新鋭の生産拠点となる。

写真=Duccio_Malagamba MCA
写真=Duccio_Malagamba MCA

収益よりも質を重視

フェラーリは、e-ビルディングを通じて収益よりも質を重視するという戦略のもと、生産の柔軟性を強化。フェラーリの身上である「ドライビングの興奮」を提供する内燃エンジン、ハイブリッド、新しいモーターの開発と生産が行われる。すべてのエンジンとモーターを1つのプラントに統合することで、マラネロにある既存の施設間ですべての生産活動をより積極的に再編成し、生産ニーズに素早く応える体制を整えたことになる。

環境への配慮も十分に盛り込まれた。屋根に3000枚を超える太陽光発電パネルを備え、1.3MWの電力を供給。e-ビルディングで使用されるエネルギーは、すべて発電元が保証された再生可能エネルギーになるという。生産サイクルでエネルギー、雨水を再利用するために複数の最先端ソリューションが採用される。たとえば、バッテリーやモーターの試験に使われるエネルギーの60%以上が回生され、電力として再利用される。

写真=フェラーリ

従業員の労働環境に十分配慮

また、従業員の研修専用のスペースが設けられている。新設ライン担当として選抜された従業員に対する研修コースは2年前にスタートしていて、新しいスキルを身につけるとともに、モーターに関する知識などが強化、バッテリー生産の組立などさらなる能力向上が図られている。

生産工程には、オペレーターのニーズに合わせて動作を適応させる協調ロボットや製品や工程のデジタルレプリカを作成するデジタルツインを採用。ほかのフェラーリとは一線を画すモデル・シリーズの卓越性とディテールへのこだわりを実現するため、生産工程における従業員の役割が増すことになるそうだ。

工場内部には、人間工学に基づいたワークステーション、リラクゼーション・エリア、音響や視覚に配慮した環境作りなど、従業員がより良い環境で働けるためのソリューションも導入されている。

写真=フェラーリ

周辺の環境も整備

周辺の環境も整備も行われている。敷地内と周辺地域を接続する1.5kmの自転車専用道路が建設され、さらに、交通量の多い道路を物流ハブ周辺に集めることで、歩行者ルート周辺の交通量の削減も盛り込まれている。

e-ビルディングは、MCA(マリオ・クチネッラ・アーキテクツ)とフェラーリが共同設計し、長方形の高さ25mの新ビルは、周辺の景色と調和していて、オーダーメイドの外装が使われている。

式典の挨拶で、ジョン・エルカーン会長はe-ビルディングについて、「セルジョ・マッタレッラ大統領をお招きできたことを光栄に思います。我々は、人を中心とした職場と環境への配慮を重ねた工場に投資することは、将来のフェラーリに備えるために不可欠です」と語っている。

文=塚田勝弘 写真=Duccio_Malagamba MCA、フェラーリ

(ENGINE WEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement