2024.07.28

CARS

156を黙って売ったら家族に泣かれた 人生初旧車のアルフェッタGTとアバルト124スパイダーに乗るオーナーがたどった愛と笑のイタリア車遍歴とは?

1975年型アルファ・ロメオ・アルフェッタGTと2017年型アバルト124スパイダーに乗るオーナーの金田さん。

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人生初の旧車はアルフェッタ

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「友人のアルファ・ロメオ75を運転する機会があって、トランスアクスルもいいな、と思いました。それと同じタイミングでトヨタ博物館でカフェレーサー風にモディファイされたアルフェッタを見る機会があって、これにどハマり。ネット検索したら沖縄に1台だけ売り物があって、翌日に電話しました。結局一度も実車を見ることなくアルフェッタGTを買い、現在に至っています」

アルフェッタGTはジュリア・クーペの後継として1974年に登場。

それまでに購入したイタリア車はせいぜい10年落ちぐらいだったので、アルフェッタGTが金田さんにとって人生初の旧車となった。以来12年の付き合いになる愛車を前に、想いを語ってもらった。

「購入してから3年ほどは整備工場に入っている時間のほうが長かったのですが、良い主治医、良い仲間たちに巡り会えたことで現在も所有できています。旧車のレースに出ることができたのも、このクルマのおかげですね。正直、初めの頃はアルフェッタの良さをいまひとつ理解できず、意地で乗っていた時期もありましたが、このクルマならではの楽しさに気づくことができて本当に良かったです」

バケットシートを装着しているが、サーキットを走らなくなったので155 Q4の純正品と交換する予定。

アルフェッタGTを入手後は1.3リッターのプジョー106ラリーや508といったフランス車も買い足し、それらは3年半ほど前にマツダ・ロードスター(NB型)と入れ替わったが、今年の3月に17年型のアバルト124スパイダーをさらに増車する。こうして金田さんは2台の2座オープンカーと旧いアルファ・ロメオという、恐ろしく趣味性が強い3台持ちとなった。

「サラリーマンの稼ぎでは旧車でのレース活動は無理だと分かったので、アルフェッタGTではサーキットを走らなくなりました。代わりにロードスターでモータースポーツを楽しんでいたんですが、いつも参戦している耐久レースやジムカーナ、ヒルクライムで表彰台を狙うとなるとパワーが足りなかったりするわけです。それにイタリア車が主役になることが多いイベントではロードスターがなんでもありの外車枠に入れられ不利なんですよ。そこでアバルトのことも昔から好きだったので、フロント・エンジンで後輪駆動の124スパイダーを選びました。こんなクルマ、きっともう2度と造らないでしょうからね」



確かに日伊合作となった124スパイダーのようなクルマが再び産まれる可能性はそうそうないだろう。金田さんは1年半ほどずっと探していたそうだが、購入を決意する度に「いまさっき売れてしまった」という漫画のような出来事が2度続いた。結局3度目の正直で、知り合いのショップで購入できたと笑う。

これからはアバルト124ラリーR-GTをモチーフとして手を入れ、競技への参戦を考えているという。表彰台の真ん中に立つ金田さんの姿を見る日が来るのは、そう遠いことではないだろう。

文=高桑秀典 写真=阿部昌也

(ENGINE2024年8月号)

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