2024.07.28

CARS

156を黙って売ったら家族に泣かれた 人生初旧車のアルフェッタGTとアバルト124スパイダーに乗るオーナーがたどった愛と笑のイタリア車遍歴とは?

1975年型アルファ・ロメオ・アルフェッタGTと2017年型アバルト124スパイダーに乗るオーナーの金田さん。

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自動車競技にも積極的に参加するオーナーがイタリア車を都合9台も乗り継いだワケとは? 自らも旧いアルファ・ロメオGT1600ジュニアに乗る高桑秀典がリポートする。

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すっかり免疫ができている

「実はアルフェッタGTのラジエター冷却ファンが回らないんですよ。忙しくて作業する時間が取れなくて。配線をイジってみたいんですが、今やってもいいですか?」

金田さんのクルマのエンジンはスパイダー(シリーズ4)用の2リッターに換装され、45φのウェーバー・キャブレターを装着。トランスミッションも2回乗せ換えたそうだ。

冷却系のトラブルが解決していないことを自覚していた金田裕さん(59歳)は、事前にアルファ・ロメオ・アルフェッタGTとアバルト124スパイダーを一緒に撮影したいとお願いしていたこともあって、少し恐縮しながら我々を出迎えてくれた。

結局、手持ちの部品では対応できず、近くのホームセンターまで買い出しに行くことになったものの、パーツさえあるならば、と彼は手早く工具を出し、配線を直していく。

金田さんがちょっとやそっとの故障で動じず、愛車の修理に率先して挑戦するのは、過去に所有したイタリア車でも似たような不具合をたくさん経験してきたからだ。トラブルが続き、イタリア車のことが嫌いになってしまう人もいるが、金田さんの場合は愛が深まり、さまざまなトラブルを克服してきている。この日もそうだったが、肝心な時に壊れるという、いわばドラマチックな展開すら楽しんでいるようにも見える。すっかり免疫ができているのだ。

アバルト124ラリーR-GTが理想形なので、取り急ぎ赤だったミラーは白に塗り替え、ワンオフのカーボン・リップスポイラーを装着。ホイールはOZレーシング製のウルトラ・レッジェーラを最初から2セット買い、白い街乗り用はシバタイヤを履かせ、ガンメタをサーキット用としブリヂストン・ポテンザRE-71RSを組み合わせている。ボンネット・ピンも購入済みなのだとか。

金田さんにとっては124スパイダーが9台目のイタリア車だ。撮影の合い間に、個性的かつ愛に溢れた彼のイタリア車遍歴を尋ねてみた。

「1998年に初めて買ったイタリア車が96年型のアルファ・ロメオ155V6で、2年半所有しました。この155は大丈夫でしたが、次に買った92年型のアメリカ仕様の164Lでトラブルの洗礼を受けました。ATだったこともあり、この164Lは1年ほど乗って手放し、2001年にMTの164QVにチェンジ。これは91年型で、155と同じようにV6エンジンのサウンドが最高でした。家族にも大人気で、4年半ほど所有しましたね。この164QVを愛用したことで、その後20年以上の付き合いとなる仲間と巡り会うことができました」

164QVですべてを賄うことに限界を感じ、91年型のフィアット・パンダ1000ieを03年に増車し、4年ほど所有。06年に164QVから98年型のアルファ・ロメオGTV3.0 V6 24Vに乗り換え、その後、ファミリーカーとして05年型の156Ti JTSを導入。子どもの習い事の水泳やバレーボールの送迎に大活躍してくれた156は、購入から5年後に黙って売ったら家族に泣かれたそうだ。

GTVを手放した金田さんは、次の愛車として5段MTの964型ポルシェ911カブリオレを購入。筆者が金田さんと出会ったのがちょうどこの頃だったので、てっきりそちら方面の人なのかと思っていたのだけれど、12年に今なお所有する75年型のアルフェッタGTを、さらに16年にはフィアット・グランデプント1.4 16Vスポーツを購入したので、なんだ自分と同じイタリア車好きじゃないか、と思ったことをいまでも憶えている。

GTVを所有していた頃に仲間たちが同じ916型のスパイダーに乗っていて、オープン・モデルに憧れて911カブリオレを買ったらしい。しかしポルシェはあまりにも完成度が高く、飽きてしまったので13年に売却。ただし売った直後から価格が高騰していったことによるショックで体重は10kg減り、勤め先に1週間ほど行けなかったそうだ。

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